今回はAmazonプライム・ビデオで配信されているfalloutを取り上げたいと思います。
上半期の個人的ドラマランキングで8位に入れた作品です。
ゲーム原作という事ですが、ゲームを全くやらない私は全然知りませんでした。
それでレビューの前にちょっと衝撃的な事があって、高校生の生徒達の前で話す機会があってそれでスターウォーズを少しネタとして話したら60人中2人くらいしかスターウォーズを見た事がないと答えました。
軽いショックを受けたけどそのあと何気なく最近フォールアウトというドラマを見たのだけど、知っていますか?と聞くとクラスの生徒の5人は見た事があり、15人くらいはドラマとゲームの存在は知っていました。
私は40代の人間ですが、私達の時代は映画館と公共の電波のテレビという一つのスクリーンでエンタメを皆で共有して、そのエンタメの真ん中にあったスターウォーズは皆知ってる存在だったけど、もうそんな時代ではないのだなと痛感しました。
なるほど映画劇場に人々が通わない理由もここにあったりするのだなと感じました。
という訳で、ゲーム業界でも人気作品のフォールアウトについてレビューしていきたいと思います。
最初はなんとなく気分が乗らずにいたのだけど、最後はとても興味深くとても面白く見る事ができました。ゴア描写/グロテスクな映像がドラマではかなり展開するので万人向けとは言い難いですが、見てよかったです。
監督はクリストファーノーランの弟、ジョナサンノーランという事で、彼ら二人の作品、オッペンハイマーとフォールアウトという作品が同時期に見れるというのもなかなか特別な事でもあると思ったりもしました。
1話目からTHE BOYsの後継かと思えるグロ/露悪さを全面に売りにしたドラマ展開に辟易しつつ、それでもラストオブアスと同じようにある事で旅を続ける共通項は同じなので形も質違えど比較しながら見ました。
とはいえブラックユーモアを売りにするのではなく、露悪的な部分を売りにしてるドラマは苦手ではあるので、仕事しつつテレビでつけっぱなしで見たり見なかったりしていました。
なんというか本当に核兵器が好きというか核分裂が好きというか、呆れながら兄貴はオッペンハイマー、弟のジョナサンはこのドラマで核兵器投下した終末的な世界が舞台という事で、ノーラン兄弟の映画にはよく核兵器出てくるなーと思いつつ、その視点でも視聴を続けていました。
ゲーム設定からあったようですが、今は全くないけど、コカインが抽出されるコカノキからコカコーラは生産された事をブラックユーモアでヌークコーラとか、一時期放射能は身体にいいという嘘のような愚劣極まりない話をこの物語に投影していたり、日本人として笑うに笑えないところもしばしば散見していてイライラもしました。
しかし6話目でリモートでやっていた仕事の手を止めて、画面を食い入るように見て残りの2話は仕事をせずに集中してみました。
ノーラン兄弟がこだわるもう一つのテーマが出てきつつ、現実的に横たわる問題がストーリーと絡み合ってくる。
このドラマはAmazonという国家と同規模以上の影響力を持つ企業で制作されている事実。そこに気をつけろ、奴らはなんでも金にする能力があるという言葉が重く響いてくる。
先日、アメリカの議会公聴会で共和党議員が広島、長崎に落とした原爆は正しい判断だったか?という質問に、米軍のトップは世界大戦を終わらせたので正しい判断だった、と発言しています。
次の大統領戦で共和党候補が勝てば、イスラエルでの蛮行極まりない現状を終わらせるために核兵器使用もやむなしという意味で、その正統性を担保するために公聴会で発言したものと思われます。イスラエル軍の虐殺している事に抗議する若者を簡単に反ユダヤ主義、テロリズムだと言って恣意的に言葉を歪めているようにもみえる。
もともと戦争体質で世界に影響力をもつアメリカの、その土壌で育った企業がいかにも作りそうなドラマとも言える、という言い方は皮肉がききすぎているかもしれません。しかし長く続く紛争のカタをつけるあり方として大国が会議や記者会見で核兵器をちらつかせはる発言をしているのはとても気になる事ではあります。
そして企業は彼らは終末すら商売に変えるだろう実態はこのドラマでも指摘してる通りだとおもいます。
見て良かったです。シーズン2でどのような展開になるのか、ジョナサンノーランがどのような世界観を展開させるのか楽しみに待ちたいと思います。
5段階評価
個人的満足度:🌟🌟🌟
オススメ度:🌟🌟🌟🌟