2024年のドラマの祭典、エミー賞が日本時間で9月16日に行われました。
ドラマ好きの私にとっては映画のアカデミー賞よりも注目してますから、昨日は途中からですが、見る事ができました。
いやー感動しました。やったぞ‼️将軍‼️やりましたね。多くの人が知っていると思いますが、日本の歴史を元にしたドラマが、なんと19部門もの賞を受賞しました‼️
奇しくも慶長5年9月15日に関ヶ原の戦いの火蓋が切って落とされた日なので、なんという巡り合わせか、と思いました!!
まー9月15日なのだけど今の暦でいうと1600年の10月21日らしいのですが、、、
以前の記事で将軍およびディズニープラスのドラマが多くの部門で最低でも20は受賞する事を書きましたが、なんと将軍だけで19部門も受賞するとは思いもしませんでした。
ちょっとニュースとFXで流れてる情報とは違うのですが、正確には19みたいです。
19部門のうち最も名誉にあたる最優秀ドラマ部門、主演男優賞、主演女優賞を獲得しています。
私の予想では主演男優賞は将軍は今後2シーズン制作される予定ですし、史実通りにいけば関ヶ原の戦い、大阪夏、冬の陣も描かれるかも知れません。
そうなると見せ場が多いし、他に主演男優賞にノミネートされてるゲイリーオールドマンは、窓際のスパイをもって俳優業を引退するような発言をしていますから、今回はゲイリーオールドマンに花を持たせたくて予想しましたw。
ま、はずれたとはいえ、真田広之がスピーチをしている時はやはり涙がでましたね。将軍のレビューで書きましたが、なかなかハリウッド映画でも真田広之の素晴らしさを披露する機会があまりなかったと思います。アメリカに来て苦労の連続だったと思いますが、本当に今回で報われたと思うと涙がでました。素晴らしかったですね。
アンナサワイもAppleプラスのゴジラシリーズのドラマ、モナークではストーリーそのものがあまり好みでなかったところがあるけど、あまり実力が発揮できてないというか、この将軍ではかなり見違えるくらいに素晴らしい演技をしていました。
西洋とは違う作法、表情、所作、見事でした。
真紅のドレスも似合ってましたね。スピーチも素晴らしかったです。おめでとうございます。
そして予想外だったのが、浅野忠信の助演男優賞を逃すという事が驚きました。正直、アンナサワイ、真田広之の主演賞よりも浅野忠信の助演男優賞の方が固いと思っていたのですが.、AppleTV プラスのモーニングショウでCEO役のビリーグラダップが受賞しました。
あー、そうかそうきたかとちょっと苦笑いしましたが、確かにビリーグラダップも素晴らしい演技をしていたので、おめでとうございます、です。
ディズニープラス傘下のFXという会社のドラマがのべ36部門も受賞するという、驚異的な結果になったと言っても良いと思います。
もちろん背景にはNo. 1人気ドラマのハウスオブザドラゴンなどが配信されていなかった理由もあると思います。
最初はリミテッド部門、1シーズンのみのドラマシリーズ部門にエントリーしていたのをドラマシリーズ部門に切り替えたのは、サクセッションやハウスオブザドラゴンがなかったから主要部門で多くの受賞ができるチャンスと捉えたからでしょう。
おそらくハウスオブザドラゴンと将軍の激突になれば19部門もとれたかどうかは分かりません。
しかしハウスオブザドラゴンのシーズン2を見た限りでは、たとえ将軍と激突しても主要部門の多くは間違いなく将軍に軍配が上がったと思います。
しかし今回のFX、ディズニープラスは強かった。36部門、、、株価爆上がりですね笑。FXはコメディドラマが印象的でしたが、これだけ強いとクリエイターもFXに企画を持ち込んだりしますから、ドラマ界は再編が迫られる中でも面白いドラマを作って行く事でしょう。
♾️なぜ日本の歴史なのか♾️
今回、将軍が成功した背景には、アジアで視聴者数を獲得したいというビジネスの点も大きくありますが、確実に日本のドラマならばヒットするという打算がされていたのは間違いありません。
やはり黒澤明をはじめとした日本映画の影響がまだ色濃くハリウッドに残っているからです。
以前からこのブログでは何度となく指摘していますが、黒澤明の野良犬、羅生門、七人の侍、生きる、天国と地獄そして用心棒という映画を徹底的に研究し、そのストーリーの構造や展開を生かしたドラマがエミー賞を受賞している経緯があります。
ゲームオブスローンズは地域ごとに争いがあって仲が悪いが、北から謎の軍団がきて打ち倒そうという物語です。
これは侍と村人は仲が悪いがお互い協力して盗賊を打ち倒そうという物語に構造が似ているし、雨の中の合戦シーンはゲームオブスローンズにもあります。
生きるという映画で癌の末期を告げられた冴えない主人公が、自分にもやる事があったと階段を駆け降りる、人生を駆け降りるシーンではバースデーソングがかかります。
ブレイキングパットというドラマの第一話目の展開はどうであるか。
他にもサクセッションというドラマは、明らかに悪いヤツほどよく眠るを参考にしてますし、
true detectiveの刑事2人のバディもの/相棒ものは野良犬を参考にしてる上に、伝説となっているtrue detectiveシーズン1のマシューマコノヒーの演技は天国と地獄でのあの印象的な山崎努の演技を参考にしたるのは間違いないと思います。
そしてマンダロリアン、私の大好きなドラマ、バリーは用心棒を参考にしてる事がわかります。
これら先に挙げた作品の中でブレイキングパット、ゲームオブスローンズ、サクセッションはエミー賞の主要部門を制覇してますし、バリーも主演男優賞を2回受賞しています。
特にHBOは黒澤明の映画をかなり意識してるのは間違いないと思います。
♾️戦後、少数派のヒューマンドラマ♾️
なぜ黒澤明なのか。それは日本が太平洋戦争に負けた事が大きな要因になっていると思います。
国のために死ぬ、玉砕という言葉にあらわれるように、多くの国民が命を失いました。
戦後の日本の映画は盲目的に滅私奉公的な精神について、戦争の反省の意味をこめて沢山のヒューマンドラマが作られます。
その代表的な例が黒澤明の生きるという映画です。
国のためでなく、軍隊や役所のためでなもなく、自分のために生きる。この当たり前の「自分のために生きる」という精神を映像化した最初の作品が生きるという映画でした。
そしてアメリカやヨーロッパでも1950年代にこの映画が公開され、神のために生きる、という思想の元で生きてきた人々に大きな影響を与えます。
アメリカでは私達は奴隷ではないという公民権運動が盛んに行われていて、黒人の差別と神の在り方について、人とはなにか?という問いかけ、人権意識について考える機会があった時代に大きな衝撃を与えました。
さらに七人の侍が公開されて、そのリアルな合戦と娯楽的ながら侍は政治家、農民は国民で仲が悪いが一緒に戦うというストーリーがハリウッド映画に大きな影響を与えます。
やはり戦争に負けて初めて国は暴走する時もある、国ために生きる事よりも自分のために生きるという思想は、敗戦したからこそ生まれたものであって、戦勝国であったアメリカにはなかなか生まれない思想だったかも知れません。
映画は芸術ではなく娯楽だ、という意識が当たり前で勧善懲悪な物語ばかりだったのに、そこに黒澤明の映画を見て衝撃を受けて、自分達も黒澤明にならえとハリウッド映画は変わっていきます。
そして再びエンタメ産業が拡大あるいは肥大化して、大作が作られるようになり、スポンサーを募って映画やテレビ制作がされていきます。
やがて制作費用、俳優のギャラがドンドン上がっていくにしたがって、スポンサー企業に依存していくようになり、見る人間よりもスポンサーの商売の方が重視されて再び勧善懲悪の物語が量産されていきます。
そこに現れたのがHBOをはじめネットフリックスといったストリーミング配信するドラマを作る会社でした。
スポンサーがなくとも個々の契約者から料金をもらう事で映画やドラマを作れて、アメリカだけでなく世界中を相手にビジネスをするようになる。
クリエイターからしてみると1番の魅力はスポンサーに気を使わなくてもいいわけです。
さらに1950年代に公民権運動があったように、今の時代もブラックライヴスマターという黒人を中心に女性やLGBTQ🏳️🌈の人々の、生きる権利を訴える運動が盛んにありました。
そこに娯楽産業は、ストリーミングサービスで展開する娯楽産業が目をつけたのが、黒澤明や日本映画で、敗戦によって導かれた精神性とストーリーを取り込んだ作品、徹底的にリアルな戦いと1人の人間として生きる姿のドラマ配信をはじめて、スポンサー重視の娯楽産業との差別化したという事でした。
将軍/shogunの成功というのは、実はその上に立っていて、ドラマ制作したFXはその事をわかった上で日本の歴史ドラマならば間違いなく歴史に名を残すだろうという事を見越して、この偉大なドラマに多額の投資をして制作したわけです。
⚔️将軍/shogunのシーズン2について⚔️
というわけで、リミテッド部門でノミネート予定だったのに、制作されるかどうかわからないけど、強力なラインナップがノミネートされてないという事で、将軍はドラマシリーズ部門に討ってでたわけですが、確実にシーズン2、3が制作される事になりました。
歴史的史実を追えば関ヶ原の戦い、大阪冬の陣まで描いてシーズン3にて完結となるわけですが、あくまで私の頼りない考察ですが、関ヶ原の戦いはやらないかもしれないのではないか、と思います。
ハウスオブザドラゴンのシーズン2も本来ならば10話までやる予定だったのに、多額の制作費を受けて8話に削られました。
将軍/shogunでもし関ヶ原の戦いをやるとなると莫大な制作費がかかるし、シーズン1の結末からしてみると、関ヶ原の戦いはどうだろう?と思ったりします。
個人的にはぜひ見たいけど、やはり現実的に考えると相当な費用はかかりますから、やるならばシーズン3のラストで関ヶ原ではなくて何か別の合戦が繰り広げられる事になるのではないか、と思います。
それよりも二階堂ふみ演じる落ち葉の方を中心にドラマが展開する事になるのではないかと思います。やはり男性中心になっていくと戦いばかりになりますし、抑圧を受けながら抗う物語というのが支持される傾向はあるので、特に二階堂ふみがどのように運命に抗い、宿命と対峙する事になるのか、
そして開国を迫るポルトガル、もしくはイギリスの存在を軸に、落ち葉の方と外国勢と対する景虎の軍勢のストーリーラインでシーズン2は終わって、シーズン3で景虎との激突が描かれるのではないかと思います。
やはり安針の存在はアメリカ、ヨーロッパの視聴者からしてみるととても重要な視点、人物ですから、安針の背景にあるポルトガル、イギリスが大きな仕掛け/開国を迫る事はストーリー上で重要なのではないか、と思います。
シーズン1の成功はサスペンスドラマとしてとても良かった点があります。大掛かりな戦争はなくともここまで成功したのですから、戦争で物語を紡ぐよりも政治的な駆け引きを中心にしたドラマ展開になるのではないか、と思います。
いずれにせよ賽/サイは投げられました‼️
どうでしょうか、今後の事を考えると、ハウスオブザドラゴン、ラストオブアス、それにまだ見ぬ人気作品がこれから将軍/shogunとエミー賞を巡って争奪戦を繰り広げる事になります。
多くのクリエイターがエミー賞を意識する時には将軍並みの面白さが要求される事になり、今回の受賞結果というのは大きな指針になったのではないかと思います。
私はハウスオブザドラゴンは原作を読んでますから、今後の展開は問答無用の面白さ、賛否両論にはなるだろうけど、誰もが予想しない展開で結末をむかえる事になっていて、個人的にはゲームオブスローンズと合わせても今度のハウスオブザドラゴンのシーズン3、シーズン4は間違いなくベストシーズンとして歴史に名前を刻む事になると思います。
ぜひ将軍/shogunとのエミー賞での作品賞争いはみたいですね。今まで考えもしなかった夢が、日本を舞台にした歴史ドラマがハウスオブザドラゴンと競り合うなんて、こんな素晴らしい体験があるかも知れないと思うととてつもなく嬉しく思います。
それもこれもFXや監督、この将軍/shogunに携わった人々のおかげです。
本当に心から感謝とお礼を言いたい気持ちです。
おめでとうございます。そしてありがとうございました‼️