ドラマと映画の時間

U-NEXT、Netflix、ディズニー、Amazon、Appleプラスのドラマ、映画の感想と紹介をしていきます。

125.チェンソーマン/レゼ編とアルジャーノン

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今回はチェンソーマンレゼ編のレビューになります‼️前回の記事ではチェンソーマンとブランキージェットシティ、そしてNIRVANAとの関係に記事にしました。おそらくほとんどの方が気づかなかった事だと思います。

今回のレゼ編についても違った見方をするとさらに味わい深くなるので、その点についてしっかりと書きたいと思っていますので最後まで読んでいただければ幸いです‼️それでは早速いきましょう。

 

チェンソーマン/レゼ編

 

今回のレゼ編を初めて漫画で読んだ時に、藤本タツキという漫画家が本当に凄いなと思ったのが、アルジャーノンに花束という小説にに対して、こんな敬意を示しすのか、という驚きがあった事です。

 

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アルジャーノンに花束をという小説は映画化もされてますが、読書好きの人が幾千幾万の本の中でこの世に残しておきたい本を選べと言われたら、アルジャーノンに花束をという作品は、30冊の中に選ばれる事は間違いないであろう小説である事。


私も2度3度読んでいますが、私も読書が好きだけど、この世に残すべき名作といえば、パッと思い浮かべるのはカラマーゾフの兄弟百年の孤独にこのアルジャーノンに花束を、という作品を想像します。

この作品は映画やドラマにも大きな影響を与えていて、最近で言うならばストレンジャーシングスというドラマが代表格ですし、マーベルのサンダーボルツという映画もこのアルジャーノンに花束をという小説に強い影響を受けています。

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さらにApple TVで配信されているプルリブスも冒頭からアルジャーノンに花束を、のオマージュが捧げられています。

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はっきり言える事は、ストレンジャーシングスが、アルジャーノンに花束を、という作品をストーリーの核として据えて、これが空前のヒットを生んだ事が地続きでつながり、2025年だけでもこれだけ多くの作品が参考にしているという事は言えると思います。


ではアルジャーノンに花束を、という作品はどんな作品なのか?

 

ある教授がネズミに手術をします。そうするとネズミは解けないはずの迷路を簡単に解けるようになる。ネズミの名前はアルジャーノン。

ネズミは知性を獲得してどんどん頭が良くなってくる。

では人間に同じ事をしたらどうなるのか?ここで主人公が出てきて、何らかの障害をもつ主人公にその手術を施すことになります。これによって運命が変わってくる、というストーリーです。

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このチェンソーマンレゼ編では冒頭で、映画館で映画をひたすら見るというところで、アルジャーノンに花束を読んだ人ならば似たようなシーンがあるのでピンとくるところだと思いますが、つまりレゼはネズミのような生活をしていた。それが都会か田舎か、というところが一つ鍵ですが、悪魔と契約してアルジャーノンのように知性を獲得していくが、人間ではなくネズミのように生きて、迷路の真っ只中にいる、という事が重ねられます。

 

そんなアルジャーノン/レゼに花束を。

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デンジが口の中/心からの一輪の花をレゼに渡す。この一コマの絵を見た時に、感嘆せざるを得なかったし、このシーンを映画館で見た時に、やっぱり感動しました。
アルジャーノンに花束をという作品を読んだ事がある人ならば、あの作品を素晴らしいと思った事がある人ならば、あの結末を思い出すと間違いなく感動すると思います。さらに2人の女性の間で揺れ動くという展開も、両方の作品で指摘できる事です。

ストーリーは全く違うのに、質感はアルジャーノンに花束をに確実に寄せつつさらにアルジャーノンという傑作を汚さず敬意を感じる上にブランキーnirvanaの世界観も体現しているという、これは本当に凄い事だ、とあらためて思いました。

 

もう一つ2025年を象徴する動物がいます。それはネズミです。前々回、前回の記事でタスク、ピットというドラマを記事にしてますが、このタスク、ピット、そしてチェンソーマンに共通するのはネズミが出てくるところです。さらにサンダーボルツにもででくるし、プルリブスにも出てくるのですが、格差社会が広がって生活困窮者が増えてくる、そういう社会情勢の時代ではどうやらネズミというのはよく演出に使われるし、タスクではトムとジェリーになぞらえてトムという男がネズミ/イエスキリスト風の男を捕まえようとするし、f:id:spiralout:20251216060441j:image

ピットでは生活困窮者が運ばれてきて彼の服からネズミが出でくる、つまりネズミ/生活困窮者がどんどん増えている中で、病院のスタッフはそのネズミを見て逃げる/同じ人間同士だがその中でも毛嫌いして分断が起きているという表現していると感じたし、行き場のない状態とネズミがどこに行っていいかわからないという事を演出に盛り込んでいると感じました。

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このチェンソーマンにしても、レゼそのものがネズミにもなるし、デンジ含めた公安そのものがネズミ狩りをする存在と同様に、デンジそのものもネズミのように彷徨いながら生きてきた、という事が重複する意味で演出されていると思います。

アルジャーノンに花束を、という作品はもともと人間はネズミと同様の存在だったが、知性を獲得して人間は人間にたらしめる存在にはなったが、知性を獲得しても、やはり生物は生物、その事実からは逃げられず、ネズミと同じなのだ、という事を示唆される内容になっています。この土台の上でチェンソーマン/レゼ編はストーリーを展開していく。非常に考察しがいがあるし、とても深度がある上に時代を象徴する一本である、という事は私は強く感じています。

 

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ストーリーの深度がある上でも見どころが多いです。

アクションシーンも途中何が何だかわからなくなるくらいカオスでよかったし、この映画は音楽もとても素晴らしかったです。非常にこのチェンソーマンの質感にピッタリと音楽でした。

色んな見どころがあって尽きないのですが、個人的に唯一残念だったのは冒頭の米津玄師の曲がフルで流れてるシーン。
あれは別になくても良かったと思います。あそこはテレビ的すぎて残念でした。
まぁちょっと米津玄師は様々なエンディングに使われすぎというか、あまりに頼りすぎかなと思います。
そこだけが残念なポイントでした。

という訳で今回は以上になります。

2回に渡ってチェンソーマンの特集をしてきましたが、いかがだったでしょうか?

ぜひブランキージェットシティのスカンク、nirvanaのオールアポロジーズ、そしてアルジャーノンに花束をという作品を読む機会があればぜひ読んでいただければと思います。アルジャーノンに花束をという作品のラストで、宇宙の始まりと繋がる事を描いた文章は、今まで読んだ小説の中でもトップクラスで美しい文章ですし、ラストを読み終えた後の味わいは誰であろうとも記憶に残るのは間違いありません。

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その上でチェンソーマンのレゼ編を観ると、間違いなくより深い印象に残る事になると思います。ぜひ機会があれば読んでみてほしい作品です‼️

 

 

チェンソーマン/レゼ編星🌟五段階評価

 

 

個人的満足度♾️🌟🌟🌟🌟🌟

 

オススメ度♾️🌟🌟🌟🌟🌟

 

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124.チェンソーマンとブランキーそしてNIRVANA

今回は大ヒットしているチェンソーマン、レゼ編について特集したいと思います。

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このブログでは黒澤明や日本映画にの映画に受けたゲームオブスローンズやブレイキングバッドなど分析と考察をしてきましたが、東洋の価値観や精神性を吸収している中で、最大の影響力があるであろう鬼滅の刃そしてチェンソーマンがどのくらいヒットするのか、気になっていました。

鬼滅の刃の特集もしましたが、長すぎる記事を書いてしまったという反省が自分の中でありますw。

今回も長くなってしまうな〜と思いつつ私なりにチェンソーマンという作品について考察をしたいと思います。

 

YouTubeでもチェンソーマンの考察動画をいくつか拝見しました。藤本タツキは映画好きで多くの映画からのオマージュがあるという考察がほとんどで、感心しながら見ました。

ただ音楽からの視点で語られる動画は全くないし、ブログ記事でも見当たりません。

私は実はストーリーの肉付けでは映画の影響はあるけど、このチェンソーマンの第一部は音楽の影響力の方が色濃く反映されていると思っています。まずはチェンソーマン第一部の私なりの考察から始めたいと思います。かなり驚く事があると思うので、ネタバレが嫌な方以外はぜひご覧ください。

 

チェンソーマン第一部/考察

 

まずチェンソーマンは2つのバンドの影響が強烈にあると思います。

それは1990年代に活躍した2つのバンドで、日本のロックバンド、ブランキージェットシティとアメリカのバンドのNIRVANAです。

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ブランキージェットシティは3ピースバンドで、およそ10年間活動して解散しました。彼らの最後のライヴは、フジロックフェスバルですが、実は私は大のブランキージェットシティ好きでこの最後のライヴに行ってました。セッティングが上手くいってない中でも白熱のライヴパフォーマンスは、これが最後のライヴかというくらい驚くべきもので、数多くのライヴを見てきた中でもベストライヴの一つとして記憶に残っています。

チェンソーマンにどのようにブランキーが影響してるのか?

それはスカンクという曲がとても影響してると推察しています。

 

この曲の歌詞はこうです。

 

俺の憧れ/アラスカ帰りのチェンソー/なんでもかんでもめちゃくちゃに引き裂いてくれる/カン高いエンジン/青白い煙吐いて/法律だろうが鋼鉄だろうが/


この後の歌詞は、

 

真っ赤なボディに彼女も悲鳴をあげる/500馬力は人間以上のぬくもり/感情もない/と、続きます。

 

真っ赤なボディに彼女も悲鳴をあげる。

 

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浅井健一の書く歌詞は、自己意識に縛られていないところが特徴です。自由であるが故にその歌詞はポストモダン散文詩のような歌詞で整合性はあまりないですが、ボーカルの浅井健一の作詞は、どこかチェンソーマンのデンジの発言と似ているな、思います。

さらに浅井健一のニックネームはベンジーと呼ばれています。

 

ベンジーとデンジ。

 

どうでしょうか?実はチェンソーマンの第一話こそがとても重要で、初めてチェンソーマンを読んだ時に、ずいぶん音楽が好きな漫画家が出てきたな、とても楽しみだ、と感じたのを覚えています。漫画の面白さよりもブランキーNIRVANAの影響力が垣間見えるところにとても親近感を持ち、最後はどうなるのか楽しみに思いました。

 

ではブランキーの影響力の次にNIRVANAの事も指摘したいと思います。

まずブランキーNIRVANAの1990年代に活躍したバンドという共通点があります。ま、正確にはNIRVANAは1994年にカートコベインが自死して解散してしまうわけですが、ちょっとカートとデンジが似ているかな?と思いました。

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デンジの髪は金髪で生い立ちも悲惨で身寄りがないという点、カートコベイン自身も身寄りがなく親戚をたらい回しにされて暮らしていた過去があるし、金髪ですしロックスターを毛嫌いしていて、普通である事を望んでいたにも関わらずロックシーンの寵児としてまつりあげられて苦しんでいた事があります。
チェンソーマンに変わって暴れ回るのは.カートコバーンがサビの時にギターをディストーションをきかしてノイジーで轟音を掻き鳴らす姿とどこか重ねる部分が個人的にはありました。

 

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そして第一話の話の流れが、NIRVANAの曲でオールアポロジーズをモチーフにしてるのでないか?と思いました。

 

オールアポロジーズの曲はこちら🔽🔽🔽

https://youtu.be/m0drC8qVMRk?si=VyDt5FuaLiPwj7Pq

 

ファンならば最も好きなの一曲として有名ですが、破天荒な振る舞いをしてきた事を謝りながら、この曲のサビでは"太陽の下/一つになった気分/太陽の下/太陽の下で結ばれて、葬られる"という一節があります。

 

太陽の下で結ばれて葬られる。一つになった気分。

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太陽の存在のようなマキマ。

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抱きしめられる/一つになる。そして抱きしめられてチェンソーマンからデンジに再び戻るこのシーン。

そしてこのチェンソーマン第一部のラストはどうなるのか?この漫画は明らかにブランキーやオールアポロジーズという曲を参考にしてるが、ラストはどうなるのか、かなり気になっていましたが、あのような終わり方をするとは思ってもいませんでした。

でもまさしくその結末は曲と一致する。本当に驚きつつ凄い漫画家が出てきたな、と感じました。

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いかがでしたでしょうか?これは私の憶測という名の考察になりますがw、それなりに説得力のある理由にはなってるような気がします。という訳で今回は以上になりますが、次回はチェンソーマン/レゼ編のレビューになります。

 

このレゼ編はサンダーボルツや今、海外ドラマで最も話題となっているプルリブスと共通点があります。

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他にも前回、前々回記事にしたTASKとピットというドラマとも共通点があります。

 

この共通点こそが2025年のドラマや映画を語る上でとても重要であり、欠かせない事だと思います。次回もぜひご覧になっていただければと思います‼️

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ちなみにNIRVANAのオールアポロジーズは私が最も好きな曲です。ラストのワンフレーズがカートの精神性を表現してるかのようで、たまらなく好きです。

あとブランキージェットシティを聴いた事がない、聴いてみたいという方は、love flash feverかロメオの心臓がオススメです。

 

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123.U-NEXT配信ドラマ ピット

 

今回はU-NEXT配信ドラマ、ピットを紹介したいと思います。このドラマはドラマのアカデミー賞にあたるエミー賞を多く受賞した作品です。

私は予想していませんでしたw

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というのも何を勘違いしたのか、全8話だと思っていて、そこで視聴をやめていたのです。エミー賞終わりにそこまでのドラマだったのかな?と疑問に思っていると15話まであるという事で、やってしまったと思いました。

私自身もコロナで重症化してしまって、入院していましたが、もう退院間近のタイミングで全て視聴しましたが、これは本当にヘビーでキツいドラマでした。

病院にいると尚更キツく、かなり内容が骨身に沁みました。それでは早速レビューにうつりましょう。尚、今回は完全ネタバレになります。おそらくある事実に気づいているのは、ほとんどいないのではないか?と思います。

間違いなく面白く深く突き刺さるドラマとなっていますので、まだ見てない方はぜひご覧になってから読んでいただければと思います。

 

壮絶でまた濃厚なドラマでした。2025年のドラマの中では1番ヘビーなドラマでありつつ、エミー賞受賞も納得の出来でした。
ERのあの若く生き生きしていたカーター先生が、こんな姿になったのか、と驚きがありました。

 

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2話見た段階でそのノアワイリーが制作に携わっているという事で、おそらくノアワイリーのノアはノアの方舟から名前がつけらたと察すると、時代とアメリカ社会の荒波に揉まれて病院という生命を守る方舟が沈没してしまいそうだ、という事を描きたいのだろうなと思いました。
ERも途中で離脱してしまったのですが、ノアワイリーは心残りが相当あったのだと思います。
エミー賞の結果を受けてあらためてこのドラマを見始めたのですが、ひたすらシビアな現実を見せられる医療現場に心底大変だと思いつつ、患者、医療スタッフの俳優陣の迫真の演技にただただ凄いと感心しました。

 

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話数を重ねるごとに俳優陣の演技はどんどん厚みを増して、一気見してしてしまうところですが、それぞれの生命の危機に対する事を考えると、なかなか一気見できなかったのも事実です。
特に子供のあの溺死はキツかった。子供を持つ身としては、ちょっと小休止してしまいました。


ピットではネズミが病室で戸惑いながら逃げ惑うシーンがあります。あれは単に驚かす演出かとスルーしがちですが、あそこに実は深い意図が隠されているような気がしました、

それは私達自身がネズミのように戸惑いながら行き場を失っている、私達がネズミのようにうろたえていないか?という事です。
そしてそのネズミを同じ種族の私達自身が嫌っている、その中で唯一逃げる事もなくネズミを捕まえる研修医がノアワイリー扮する主人公を、ノアの方舟のノアに手を差し伸べるという展開は、色々と考えさせられる部分があります。


最終話で朝日がまだ見えない夜道を、社会が見えない世界を、答えが出ない迷路を帰って行く事になる。

 

ネズミのように。


もう一つ絶望に暮れる主人公を、ノアを研修医が手を差し伸べてロビーを立ち上がらせますが、ノアの方舟のノアに手を差し伸べると過程して考えてみると、次の主人公は誰なのか?と考えさせられるところがあります。

そしてもう一つ大きなストーリーが意図的に作られていると感じました。音楽フェスで銃乱射事件が起きたという件はおそらくイスラエルで起きた痛ましい惨劇を参考にしてると感じました。

音楽フェスのチケットを義理の息子に渡して行く→→→惨劇が起きる→→→主人公のロビーが錯乱して亡くなった人々の名前を言う→→→血が繋がっていない息子に、お前なんて父親ではないと言われてロビーが絶望する、、、この件を現実的に置き換えてみると

アメリカのユダヤ系の助成/チケットがあってイスラエルは建国される→→→建国されてまもない若いイスラエルと若い未成年の息子→→→音楽フェスの惨劇→→→アメリカのユダヤ系の人々がその亡くなった人々を忘れていないと哀悼を示す→→→アメリユダヤ系の助力があってイスラエルは建国されたが、ノアの方舟よろしく様々な人種が乗っている/住んでいる国際協調路線のユダヤ系に対して、若いイスラエルはお前達はもう私達の父親ではないと言われる、、、という事になるかなと推察しました。

ノアワイリー扮する主人公のロビーはノアでありながらもユダヤ系指導者の始祖エイブラハムも彷彿しましたし、イエスキリストのようにも風体は見えました。
父親=父なる神となるし、エイブラハムは指導者としてユダヤ系の父、イエスキリストは神の子ですが、ユダヤ人のみ救われるとユダヤ教聖典ユダヤ人でなくとも救われるという、ユダヤ教からしてみるとイエスキリストは反ユダヤ的な立ち位置にもなります。

 

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ノアワイリーはこのような事も含めてドラマでは悩める指導者として、1人のユダヤ系の人間として演技の部分でも現実の世界でも、もうどうしていいかわからない、という絶望感にくれている事を吐露しているのだ、と実感しました。

第一次、第二次世界大戦でヨーロッパやアジアは火の海になって、復興と復旧で格差の是正で国民保険や生活保護の充実をベースに社会形成されてきましたが、世界大戦でアメリカは本土は戦争状態にはならず、国民保険、生活保護制度はほとんど適用されません。

人権意識は高いが、何かあった時の保証はされず、基本的な人権の尊重はされてないという現実があるのだけど、一向に良くならないという矛盾があります。そして銃社会で人々は好戦的であるから医療現場でも暴力が振るわれたりするケースは日本以上に起きやすい。

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あらゆるアメリカ社会の問題を病院という方舟で表現しつつ、ユダヤ系としての苦悩、そして迷路に迷い込んだネズミのように、暗澹たる気持ちで明日を待っている、歩き出しているという、ヘビーな内容だが、とてつもなく高次元で制作スタッフ、キャストが一丸となってやっている素晴らしいドラマになっています。

先に示した通り、私事ですが入院したことで、どれだけ医療現場が大変か身をもって知りましたし、やはり医療や第一次産業、生活必須従事者がいてこその社会であって、この人たちが行き場を失ったネズミのような事になってはいけないな、強く感じました。今年最も見るべきドラマとしてオススメです。

 

以上となります。いかがでしたでしょうか?90年代に制作されたERというドラマはリアルタイムで医療現場を映し、それは革新的な手法と演出で多くの視聴者を惹きつけましたが、ラストの方は医療従事者の人間関係にフォーカスがあたり、私も視聴をやめたし、尻すぼみな形で終わってしまったのは歪めません。正直、私は命ををエンタメ化するような医療ドラマは好きではないし、ERそのものも、ラストは命そのものの物語よりも、商業的な物語に走った事で見飽きてしまったのは確かです。

ノアワイリーはじめ製作陣は、かなりのリスクを覚悟した上で、しっかりとした生命と社会問題の物語を作り上げたと思います。2025年を代表する映画、ドラマ含めても代表作としてオススメいたします。

 

星🌟五段階評価

 

個人的満足度🌟🌟🌟🌟🌟

 

オススメ度🌟🌟🌟🌟🌟

 

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次は彼にも注目です‼️

 

 

122.U-NEXT配信ドラマ/タスク

今回はU-NEXTで配信されているドラマ、タスク/TASKのご紹介をしたいと思います。

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こちらのドラマはシーズン2が更新されるという情報が入りました。HBOと言う会社がこのタスクを制作していますが、HBOの人気ドラマといえばtrue detectiveという作品があります。

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シーズンごとに違う設定で、違う俳優が演じているのですが、おそらくタスクもそうなると思います。つまり今回のシーズンはマークラファロが主演ですが、次のシーズンでは全く違う俳優が演じる事になるのではないか、と思います。

実はtrue detectiveは黒澤明酔いどれ天使羅生門、用心棒と野良犬をストーリーの構成の基盤としてシーズン化している作品である事がわかります。

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同じスタンスでこのタスクがドラマ化されると思いますが、true detectiveが黒澤明ならばこの作品は一体何をベースにストーリー構成するのか?その答えはこのブログを読んでる方のみわかると思いますので、ぜひご覧いただければと思いますw。ただ何も知りたくない方がいらっしゃればここでやめてください。具体的なネタバレは避けますが、ストーリー構成については言及してしまうので、充分に考慮の上、お読みください。

 

TASK/タスク♾️レビュー

 

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5話目を見ながらラストに心を打たれ、6話目でその赦しを見て感動はするが、そこから今までとは違った展開と言えばいいか、考えてみるとその通りで、視聴者のためのドラマではなく、互いに生きていく上であのような選択をする結末は教えられた気持ちになりました。

第二話まで見てストーリーのおよその全貌がわかった時点で、ドストエフスキーの小説、カラマーゾフの兄弟の下敷きにしてると思いました。


強欲な地主家族の遺産の分配で、もめながらやがで父親が何者かに殺されるというストーリーなのですが、三人兄弟の長男はトラブルメーカーですが、次男と三男は真面目で、次男は無神論者でありながら神を否定できない者で、三男は熱心なクリスチャンである、その2人で会話される有名なエピソードがあります。
次男は三男にむかって言います。戦争や紛争で子供が惨殺されている時に神は一体何をしているのか、どうして救わないのか?

そして自分の中でその疑問が、あるストーリーを作り出した、キリスト教を信じない者たちを魔女狩りをして殺してる最中に、イエスキリストがやってきて人々を救おうとしてる。
魔女狩りの大審問官はイエスキリストに対して余計な事はしないでくれ、これはあなたのためにやっているのだ、と言います。
このTASKを見て良かった人は、おそらくこの後のエピソードは胸を掴まれると思います。


ロビーの顔はどことなくイエスキリストに似ています。そしてマークラファロ演じるトムはFBIであり魔女狩りをする側であるという事。

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またイエスキリストはユダヤ教ではユダヤ人しか救われないという教えをユダヤ人だけでなく神を信じるすべての人が救われるという風に説き、エイブラハムを指導者として歩んできたユダヤ教信者からしてみると反ユダヤ的な人物として見られてもいる。

TASKというタイトルを考えると、Tは小文字だと十字架の形になるので✝️askつまり十字架を問う=神に問うという事になります。
そしてタスクフォース=アスクフォースでそのメンバーは

「神に問いかける者達」とも考えられる。

父とはなにか。父なる神とはどのような存在か。
主人公のトムの名前の由来は、トムとジェリー、彼はネズミを追いかける。

カラマーゾフの兄弟での強欲な地主である父親とはドストエフスキーの父親をモチーフにしているとも言われ、実際に彼の父親は殺されてしまいます。
同時に歴史的な観点で見るとフランク王国カール大帝ローマ教皇が結託して勢力を伸ばして戦争で勝っていき、神を信じぬ者や当時、多神教であった地域の人々を改宗したあるいは殺戮した事実があります。
カラマーゾフの兄弟での強欲な地主/ナワバリを持つ者あるいは集団とは、宗教権威を振りかざす者達という解釈ができる。


恵みを与える森/天国でトムとロビーが彷徨うというのは、ユダヤ系の築きあげてきた価値観や歴史が揺らいでいるようにも感じました。
2025年の代表的な作品におけるブルータリスト、ザ・ピット、ラストオブアスはいずれもユダヤ系の人が制作に携わり、歴史、分断、やまぬ報復と復讐を描いています。このTASKもその時間軸上にあり、揺れ動く価値観を描いていると思います。

依存するのではなく共存の道を選んだこの作品。
先に示したtruedetectiveシリーズは黒澤明酔いどれ天使、野良犬、羅生門を基軸に再解釈しながら新たなストーリーを紡ぎ出しています。ま、シーズン4はオマージュはあるけど、脱線もしていて色々と揉めてはいましたが、このTASKもあの面倒くさいw、ドストエフスキー作品をモチーフにしてシリーズ化できるのではないか、と思いました。

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2025年見るべき作品、少なくとも個人的には今年のベスト級の作品としてオススメしたいです。

 

星🌟五段階評価

 

オススメ度:🌟🌟🌟🌟🌟

 

個人的満足度:🌟🌟🌟🌟🌟

121.今後のお知らせ

ご無沙汰しております。4ヶ月ぶりの更新になります。

前回のブログ記事をアップして次の日にインフルエンザとコロナの合併症になって2週間ほど入院してしまい、退院後は体調がすぐれない中で仕事をしていましたが、かなり心身のバランスを崩してしまいました。

このままだと精神的に追い詰められて崩壊するかも知れないと判断して、長期休暇をとりながらSNSやネットサービスをやめて、ゆっくり回復するように努めました。

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なかなか仕事と家庭の両立が難しいながらも、色々と会社と相談しつつ、10月以降から仕事を再開しながら、完全復活に近い形になったので、再びブログをやっていきたいという意欲も湧いてきたので、またやりたいと思います。

長期間にわたって休んでいましたが、アクセスされて見られている事に驚きつつ、モチベーションもそれによって上がってきてますから、やっていきたいと思います。ありがとうございます。

実は二週間前から2025年のドラマと映画の傾向を振り返るという記事を作成していましたが、どうしてもヨーロッパ、アメリカ、日本の歴史を振り返らずにはいられなく、一万字以上の文字数、勿論2回3回の記事にわたって読みやすくしようと努めてやっているものの、なかなか込み入ってしまうのでうまく書けない状態でした。

 

やるからには読まれる読まれない関係なくしっかりと書きたいと思っていますが、書く事に時間がかなりかかるならば、ポッドキャストという手段も考えていこうかなと思っています。とは言っても頭の中でしっかり整理できるのは断然ブログで記事を書く方が良いので継続していきたい事には変わりありません。

また有料記事という手段もありますが、そういうのはやるつもりはございません。制作現場の裏側や俳優や製作者のインタビューならば有料記事化すべきですが、私の場合は「分析と考察」が中心であり、評論家ではないにせよ、はっきり言って日本ではかなり詳しい分析をしているのではないか、と思っていますし、そういう事は多くの人々に共有すべきだと感じています。

という訳で、ドラマと映画のレビューを振り返る記事は一旦諦めてw、やはり色々なドラマと映画をレビューしながら2025年のドラマと映画はどんな情勢なのかという事がわかる方が良いかなと思い、これからぜひご覧になって欲しいドラマ、映画を紹介していきたいと思います。

 

 

今後レビューするドラマと映画

 

まずはU-NEXTで配信されているタスク/TASKをレビューしたいと思います。こちらのドラマは今年のベスト級で、下半期でも窓際のスパイと同様にお気に入りのドラマです。また2025年を振り返る上でこのドラマは欠かせないので、ぜひ読んでいただければと思います。間違いなくこのタスクとピットというドラマは日本では私以外気づいていない情報があるので、とても面白いレビューになると思います。

 

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続いてはピットというドラマです。こちらは映画のアカデミー賞にあたる2025年のエミー賞を受賞した作品となっています。こちらも演出面でかなり込み入った事をやっていて実は深い深い裏ストーリーが隠されている事がわかります。ネタバレありのレビューとなりますが、世界情勢を反映している事がわかるし、より一層、このドラマの奥深さがわかると思いますので、ぜひご期待ください。

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そして今、鬼滅の刃と共にアメリカでも大ヒットしているチェンソーマンの映画レビューをしたいと思います。実は上記のドラマ2作品とチェンソーマンは共通する部分があり、かなり時代性を反映している事がわかります。

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そしてこの共通する部分と共になぜ鬼滅の刃チェンソーマンが、もっと大きく言うならば、日本の文化が受け入れられているのか?という事がわかると思います。

 

さらにマーベル映画、サンダーボルツも共通する点があるので、こちらもレビューしつつ、DCコミックの代表格スーパーマンとドラマピースメーカーもレビューしたいと思いますし、

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Netflixで大人気となっているドラマ、イクサガミも原作小説も読んでいますからこちらのレビューもしたいと思っています。

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他にもApple TVで配信されている話題のドラマ、プルリブスも2話ごとにレビューしてみようかなと思っています。

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ブレイキングバッドという名作を作り上げたヴィンスギリガンの新たな作品、なかなか今回も面白いなと感じています。同様にブレイキングバッドのレビューもしたいと思います。

 

他にもストレンジャーシングスが配信されてサーバーがダウンしたという、本当に大人気なんだなぁと思いましたが、シーズン4はあまりも長く、ちょっと期間をあけながら見たけど、今回のシーズン5はさらに長いという事で、どうなのかこちらも2話ごとにレビューしていこうか、それとも1話1話長いから来年にレビューしようか、考えております。

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とりあえずはタスク、ピット、チェンソーマン、そしてプルリブスとブレイキングバッドのレビューに加えて2025年のドラマと映画を考察する記事をアップしたいと思います。仕事上、年末は大忙しになりますからどうなるかわかりませんが、できるだけ楽しくやっていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

それではタスクの記事は明日の夜にはアップする予定です。今後ともよろしくお願いします‼️

 

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120.鬼滅の刃/無限城編レビュー

今回は鬼滅の刃/無限城編の映画レビューになります。

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昨日、北海道は室蘭というところで海釣りをしつつ、ヒラメと黒ソイを釣り上げて、さーこれから釣るぞっていう時にイルカが30頭くらい泳いできて、ピタリと釣れなくなってしまいました。

全国的にはイルカが肉眼で見れんのかい?って言われるかも知れませんが、北海道の太平洋側の漁港ならば一日いればどこでも見れる光景ではないか、と思います。

写真まで撮れなかったですが、今度撮って紹介しましょう。

 

ちなみに北海道に今度くる予定がある方は、新潟→苫小牧フェリーに乗ると晴れて良く見ていれば青森、函館の間でイルカ、マグロ、クジラなんかも見れるし、函館から室蘭、苫小牧あたりでもイルカは見れると思います。これからライジングサンロックフェスなんかで来る方も多くいらっしゃると思うので、日にちの余裕がある方は、そのようなルートで来るのもアリだと思います。カモメの群れを探してください。群れを見かけたらそこの近くに必ずいます。

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脱線しましたが、まー釣りがうまくいかず、なんだかこのまま帰りたくないな、って思いながらコンビニに入ったら、鬼滅の刃のイラストを見て、室蘭の映画館で朝イチだったら見れるかもな、と思って見に行きました。

札幌だとどこも満員で見る気も起きませんが、中、小都市の室蘭だったら大丈夫かなと思いつつ、見れるチャンスは逃してならないとだんだん思いたった次第です。

 

映画館に行って155分もあると知って、ちょっと躊躇してのですが、火曜の朝でも7割の席が埋まっていて、意外だったのが50代以上の人がほとんどだったような気がします。映画館が消えてゆく中で、室蘭のような都市でも厳しい経営が続いていると思いますが、鬼滅の刃のような作品があると、どのくらい収入が入るかわかりませんが、ありがたいだろうなと思いました。

それでは雑談交えながら早速レビューしていきたいと思います。

 

鬼滅の刃/レビュー

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以前、鬼滅の刃についての特集をしました。マーベルとデアデビルというドラマのレビューと合わせての特集でしたが、あれはあまりに長すぎたと反省していますw。

 

ま、詳しく書けばいいってもんじゃないという一言に尽きると思いますが、良ければこちらをご覧ください。この2つの記事は、おそらくこのような視点で語っているのは私だけだと思うので、参考になるのではないか、と思います。

https://spiralout.hateblo.jp/entry/2025/04/26/213519

 

今回の記事はこちらの短縮版と言ってもいいかなと思います。ゲームオブスローンズとの関係性はかなり詳しく書いています。

🔽🔽🔽

https://spiralout.hateblo.jp/entry/2025/05/01/192752

 

さて映画を見た感想ですが、子供に向けてのメッセージ多めの映画というか、説明が多めで、音楽も好きにはなれないし、みんな泣きすぎかなとも思ったし、回想シーンも冗長なところもあったり、早朝から釣りをしていた私はウトウト眠ってしまったりして、退屈とは言わないまでも我慢しなければならないところもありました。

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ただ圧巻の戦闘シーンやラストの過去パートの流れにはやはり涙が出そうでしたし、冗長とはいえ説教臭くなく、子供が見るためのストーリーという点で考えると充分満足する出来だったと思います。

 

個人的にこの鬼滅の刃は漫画が面白いだけでなく、アメリカでどれだけヒットするか注目しています。漫画やドラマでもイカゲームや将軍というような作品を通じて、どんどんアジアの文化が広まっている、共依存社会の在り方が広まっています。移民排斥が世界各地で起きてる中で、次世代の思想体型はこれまでと違うものになる。

 


そのアジア/日本の共依存文化の精神性を抽出された作品と言うべきか、最も大きな影響を与えるのが、この鬼滅の刃の三部作のストーリーだと思います。

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もともと鬼滅の刃はゲームオブスローンズに影響されて作られているのが、見ていてわかります。

ゲームオブスローンズでは地域ごとに仲が悪いが、結託してホワイトウォーカーというゾンビと戦う姿が描かれ、ニオイ以外は全て見せるグロテスクな表現もされますが、鬼滅の刃も鬼という存在と戦うストーリーでありながら、グロテスクな表現も厭わず、そこに末法思想と兄妹は仲良くすべきという七歩詩という詩から着想を得ていることがうかがえます。

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そして鬼滅の刃に影響を与えたゲームオブスローンズは、黒澤明七人の侍から影響を受けているという事実。農民/国民と侍/政治家や軍隊はお互い仲が悪いが、それでも結託して外からくる盗賊と戦うというストーリーです。

その七人の侍は太平洋戦争が色濃く影響している映画でもある。

 


七人の侍からゲームオブスローンズ、そして鬼滅の刃へと遺伝子が受け継がれている。

 


日本の映画や漫画家は敗戦して、あの戦争はなんだったのか?という事を描き、「もう2度と争いはしてはならない」という経験と信念を元に大衆が死んでゆく姿を描いた作品が数多く残されています。

今回の猗窩座/アカザの過去パートは、鬼にも人生があり、同情の余地はないが彼自身も人生を翻弄され、憎しみが彼を変えなければ別の人生があったのだ、という事を強調しているところが、実は映画の一番の見どころだったと思います。ゲームオブスローンズでも主要クラスはケルト系の血を引く人物達で、歴史的に見ると虐げられた側の人間達のストーリーでもあります。

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アメリカは戦勝国であり、第二次世界大戦を通じて、争いはしてはならないというよりも、悪は必ず滅ぼさなければならないという精神性の元で多くの映画が作られていると思います。

マーベルの映画やドラマは悪役の人生はほとんど描かれないし、特殊能力を持った主人公はがいかにヒーローとなり得るか、大衆的な目線よりも正義を遂行する事、尊重よりも「生きる権利」を獲得する事を重きとして描かれているのが多いという印象を個人的感じています。

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そのアメリカで鬼滅の刃のような作品がどこまでヒットするのか、敗戦国で培われた精神性が、アジアの共依存的な文化の真ん中にある作品が受け入れられるのか、とても興味がある。

おそらく順調に行けば2028年あたりに三部作の最後の作品が公開されると思いますが、その頃にはマーベルの最大の見どころと言われてるシークレットウォーズという映画も公開される予定のはずです。下手をしたら鬼滅の刃の方がヒットする可能性はあるかもしれないと感じました。

制作費、宣伝費を引いた興行収入で見ると、という事ですが。

 


神話は民話に語り継がれ、やがて子供の寝物語に変容されながら受け継がれてゆく。

 


七人の侍という神話が、ゲームオブスローンズという民話に語り継がれ、鬼滅の刃という子供の寝物語として受け継がれてゆく。

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やがてその寝物語は、神話を生み出す大きな原石になる。

私は鬼滅の刃という作品を読んだ時に、この物語に影響受けた人物が、いつかきっと壮大な物語作品を作るのだろうと思いました。

 


それは今でも変わりません。

 


猗窩座の一生を見て、その想いは強くなりました。これからあと2作品も劇場で見たいと思っています。

 

星🌟五段階評価

 

個人的満足度:🌟🌟🌟🌟

 

オススメ度:🌟🌟🌟🌟

 

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119.エミー賞ノミネート作品発表‼️

今回は9月15日、日本では月曜日にU-NEXTにて配信される第77回エミー賞のノミネート作品について紹介したいと思います‼️

前回の記事でアイアンハートのレビューをすること書きましたが、その後ノミネート作品が発表されたので、こちらを先に取り上げたいと思います。

 

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まずは連続ドラマシリーズ部門を見ていきましょう。こちらです。ロッテントマトを参考にしてます。

 

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昨年は将軍/shogunが受賞するのはほぼ確定でしたが、今回は連続ドラマシリーズが最も激戦で、予想学校難しいと思います。

私は連続ドラマシリーズではパラダイスとピットという作品はあと2話で見終わります。

ディプロマットはイギリスの空母艦が何者かに攻撃を受けて空母に乗っていた乗組員44人が亡くなり、どうやらイランがやったのではないか?というところから物語が始まります。 

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とても面白く見ていて第2シーズンも見ようと思った矢先にアメリカがイラン、イスラエル問題に介入して、ここでドラマ以上の事が起きた事で完全に見る気が失せてしまいました。

ただこのノミネート作品が発表された段階で、あらためて見ようと思っています。

ただディプロマットに関しては、この政治情勢では作品賞は難しいかなと思います。主演女優賞ならばあり得ますが、ちょっと波風が立ちすぎるし、ディプロマット関係者にとっては不運としか言いようがないです。

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私は他のノミネート作品はピットとパラダイスも見終わりますと、全て見る事になりますが、最有力候補はラストオブアス、キャシアンアンドー、セヴェランス、窓際のスパイかな?と思います。

 

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窓際のスパイはこれから面白くなるところで終わったので、脚本、脚色賞はあっても作品賞はちょっと難しい、となると残りの3作品になりますが、私の予想では最終シーズンを迎えたキャシアンアンドーが作品賞、主演男優賞を受賞し、脚本、脚色賞はセヴェランス、主演女優賞はラストオブアスのベララムジーかなと思います。主演女優賞がちょっとわからないかな。

セヴェランスのブリットロワーも受賞する確率は高いと思います。助演女優賞はラストオブアスのイザベラメルセードかなと予想します。

個人的には美術賞がラストオブアス、キャシアンアンドー、どちらに軍配が上がるか興味がありますね。

毎年高評価を得ていますが、窓際のスパイはなかなか主要部門を受賞できてませんが、来年は間違いなく主要部門を多く受賞するのではないかと予想します。下半期のドラマでは最も期待していますが、間違いなく来年の連続ドラマシリーズの目玉は窓際のスパイだと思います。

 

♾️リミテッド部門♾️

 

続いてはリミテッド部門、1シーズンだけのドラマ部門を見てみましょう。

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こちらは間違いなくアドレセンスだと思います。多くの視聴者を惹きつけたSNSによって、親の在り方によって悲惨な事件を招いたアドレセンスは大きな影響を与えました。その影響を考えると確定かなと思います。

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しかし私はどうしても人生の最後にシたいコトを激推ししたいw。無理だろうけど、ただ作品賞を争うという点ではこの2作が最有力候補だと思います。正直、人生の最後にシたいコトはあまりに日本で視聴されていません。将軍/shogunを作ったディズニー傘下のFXは今最も面白いドラマを作っている会社です。この作品はぜひ見てもらいたいです。

 

🐧ペンギンについて🐧

 

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ペンギンはリミテッド部門でノミネートされてますが、主演男優賞はコリンファレルが受賞すると予想します。ただ作品賞はないと思います。というのも、これは明らかに続編が作られら可能性が高い上に、政治的なところでリミテッド部門に応募した経緯があるからです。

連続ドラマ部門でノミネートするとなると、同じHBOのラストオブアスと主要部門を争うことになるしので避けたい。さらに2024年の年末に行われたゴールデングローブ賞では、もし連続ドラマシリーズでは応募し、ノミネートされたとしても、勢いのある将軍/shogunには大惨敗したことでしょう。受賞する、しないによって会社としての株価にも大きな影響を与えますから、それで続編は作られるのは確実でもペンギンはリミテッド部門に応募することによって、確実に主演男優賞は受賞する事ができる、という政治的力学が働いたはずです。こういう政治的なやりとりは珍しくありません。

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昨年で言えば実は将軍/shogunがそうでした。原作小説そのものが続編ものではなかったし、1シーズンで完結するドラマの予定でしたが、多くの反響とヒットした事によって続編構想が持ち上がり、かつ昨年のエミー賞ではリミテッド部門よりも連続ドラマシリーズの方が強力なライバル候補がいなかったために、続編が作られなくても受賞できる確率が高いなら、という事で将軍は連続ドラマシリーズの方に応募した経緯があります。

 

ペンギンもまた同じと言いますか、エミー賞ゴールデングローブ賞においてラストオブアス、ゲームオブスローンズシリーズとバッティングするのはなるべく避けながら、制作していく事になると思います。


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という訳で、今回のリミテッド部門でアドレセンスが作品賞、監督賞、撮影賞、あと主人公の少年を演じたオーウェンクーパーが助演男優賞も受賞すると思います。オーウェンクーパーは主演男優賞でノミネートされるべきですが、ここもやはりペンギンのコリンファレルが受賞する可能性を考えて避けたのだと思います。

脚本、脚色もアドレセンスが受賞するような気がしますね。

個人的にはペンギンと人生の最後にシたいコトのどちらかに受賞してもらいたいのですが、あえてペンギンが脚本、脚色を受賞すると予想しましょう。

主演女優賞、助演女優賞間違いなく人生の最後にシたいコトの主人公を演じたミシェルウィリアムスとジェニースレイトだと思います。

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♾️コメディ部門♾️

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最後にコメディ部門ですが、これはわからないですねw。これから急いでアボットエレメンタリーを見たいと思います。ロッテントマトではとても高い数値ですが、あまり信用できませんが、とにかく毎回ノミネートされてるハックスというドラマが日本では配信されていない上に、昨年の2024年のコメディ部門の作品、主演女優賞など独占した経緯があるので、今回もそのような可能性はあると思います。そしてアボットエレメンタリーは毎回とても面白く、評判は高いのですが、作品賞は受賞してませんから受賞する可能性はとても高いと思います。

おそらくハックス、アボットエレメンタリー、スタジオ、このうちのどれかが作品賞を受賞すると思いますが、作品賞はアボットエレメンタリー、脚本賞、主演男優賞、はスタジオ、主演女優賞はハックスと予想しておきましょう。

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実はアボットエレメンタリーがシーズン更新していたのは知りませんでしたw。今回のノミネートで知りましたが、正直面白さで言えばザ・スタジオの方なのですが、毎年コメディドラマとして面白く見れるアボットエレメンタリーにも愛着があるし、敬意を表して今回は受賞してもらいたいと思います。

 

ざっくりですが、私なりに主要部門の予想をしました。当たる当たらない関わらず、連続ドラマでは注目作としてはラストオブアス、キャシアンアンドー、セヴェランスの作品から受賞する可能性が高く、

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リミテッド部門では人生の最後にシたいコト、アドレセンス、ペンギンを見ておけば、この三作品から主要部門は受賞すると思います。

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コメディはわからないなりにアボットエレメンタリーとザ・スタジオを見ておけば、エミー賞はどちらかに軍配が上がると思います。

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まだ9月までは日にちがありますから、是非チェックしてみて下さい。

 

♾️最後に♾️

 

エミー賞の注目度はどんどん上がってきています。日本では実感できませんが、アメリカやヨーロッパでは、注目作品は映画よりもドラマの方が多かったりします。

Apple TVプラスのザ・スタジオというドラマは、映画会社の悲喜交々を笑いを交えて制作されましたが、現実では笑えないところも多いのだろうな、と思います。

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ドラマもイカゲームを始め将軍/shogunなどのヒットでアメリカ一辺倒ではなくなりつつあり、これから16億人以上いるインドを舞台にしたドラマなども注目されてくると思います。ますますエミー賞は注目されるでしょう。しかし今回残念だったのはサムバディサムウェアやMOといったドラマがノミネートされてないところです。

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特にMOはイスラエル側の視点ではなく、パレスチナ側からの視点という意味で重要なはずですし、主要部門にノミネートされるべき素晴らしい作品でした。これを評価しないのは、とてもおかしいと私は感じます。決してエミー賞にノミネートされてないからといって、そのドラマが評価されてないという事ではありません。

 

ノミネートされなくとも素晴らしいドラマは沢山あるという事は指摘したいと思います。

 

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