ドラマと映画の時間

U-NEXT、Netflix、ディズニー、Amazon、Appleプラスのドラマ、映画の感想と紹介をしていきます。

114.イカゲーム完結編/レビュー

久々の更新になります。いかがお過ごしでしょうか?

私はとても忙しくしてまして、なかなかブログ更新できずにいました。まぁ細々とやってますし、期待もされてないから久々と言われても、というのが多くの意見だと思いますがw、現在、話題作がこれでもか、というくらいに配信されています。

紹介したい気持ちもありましたが、なかなか出来ずにいました。ようやく仕事の忙しさから解放されつつあるのでこれから七月は最低でも記事は10くらい更新したいと思います。また、今現在ディズニープラスのベアーの最終シーズンを見ています。

それを見終わり次第、上半期ドラマランキングまたはオススメをご紹介していきたいと思います。

ぜひご覧いただければと思います。

 

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さぁ‼️その中でも2010年代、ゲームオブスローンズやブレイキングバッドという作品がこれからは配信ドラマが主流になるという事実を突きつけ、2020年代は次なる人気作品としてこのイカゲームがゲームチェンジャーとして大きな人気と影響力を持ちました。

そのイカゲームがついに完結するという事で、私も一気見をしました‼️

配信されてばかりですから今回はネタバレなしのレビュー、というよりも紹介になるかなと思います。

年末には総括としてネタバレ全開のレビューをしたいと思います。それでは早速いきましょう。

 

イカゲームseason3/レビュー

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その内容はどこまでもシンプル、デスゲームをして勝ち上がった者は全ての金を手に入れ、それ以外は死、という、視聴する側も面白いと思う一方で、後ろめたさを伴う内容でした。

このストーリー構造は大きな影響与えて、直近で言えばキャシアンアンドーのシーズン1の刑務所のある部品を組み立てるシーンは明らかにイカゲームの影響だと思います。

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このシンプルな内容は、下品でありながらも資本主義の暴力を実にとらえている上に、ドラマ内のデスゲームを楽しんでいる富裕層は、このドラマを楽しんで見ている私達自身ともなるし、デスゲームを繰り広げているメンバーはクリエイターで、それを監視しているのはNetflixという巨大企業ともとれる。

 


私自身はシーズン1より超える内容だとか、そういうのは求めていなかったし、3シーズンで一つの物語だと思っていますので、主人公自身をクリエイターそのものの苦悩ととらえながら視聴していました。

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巨大企業は、生命の誕生から死までを売り物として物語を作れと要求してくる。

主人公は果てがない欲望と要求にどう答えるのか。

今年はアカデミー賞を受賞したアノーラやブルータリストは、クリエイターと映画スタジオの関係を表現してるように見えましたし、ドラマのキャシアンアンドーは、帝国軍/巨大企業に立ち向かうアンドーと反乱軍ともとれるような、素晴らしい作品が印象深く残る年のような気がしてます。

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イカゲームもまた、そのような映画やドラマと同じ肩を並べる作品だと最後まで見て感じました。

なによりアメリカから比べると予算が限られてる中で、世界中に大旋風を起こした事は今もって高く評価すべき事だと思います。これが本当に大きな潮流を生み出した。


なんとなく札幌の繁華街を歩いていて薄暗い路地でメンコをしてる人がいないか所々見ていました。

もし出演してる俳優が目の前に出てきてメンコをやろうと言われたら、ビックリしながら挑戦するかも知れませんw。グロテスクな表現が出てきますから苦手な人はいると思います。

大丈夫な方は最後までお楽しみください。

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個人的に好きなエピソードは、シーズン2の1話目でした。

堂々たる完結。終わり方がとても良かったと思います。

 

星🌟五段階評価

 

個人的満足度:🌟🌟🌟🌟

 

オススメ度:🌟🌟🌟🌟🌟

 

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113.ドラマ:キャシアンアンドーS2/レビュー

今回は前回に引き続きスターウォーズ、キャシアンアンドー特集で、シーズン2のレビューをしたいと思います。

 

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前回はキャシアンアンドーシーズン1の見どころを書いてきました。今回はシーズン2のレビューになりますが、ザックリとストーリー展開は書きますが、一応ネタバレはしないような形でレビューしたいと思います。

シーズン1では帝国軍から色々と盗みを働いていたキャシアンアンドーが、逃亡しながらも抵抗する反乱軍に力を貸しながら、理不尽に刑務所に投獄されつつ、やがて反乱軍に身を投じていく姿を描いていました。

 

さらに一枚岩になれない反乱軍の中で孤軍奮闘し、非情な決断をし続けるルーセンの姿、そしてアンドーを追い続ける帝国軍のシリルカーンとデドラの姿を中心に緊迫感あふれる展開を繰り広げています。

 

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またシーズン1のストーリーの背景に、帝国軍の主要クラスの俳優はイギリスで、反乱軍の主要クラスの俳優はラテンの俳優を起用しており、かつて傍若無人に振る舞ったイギリスと帝国軍を重ね合わせているかのようで、その点でも興味深い展開でした。さらに盗賊が村を襲う黒澤明七人の侍をモチーフにしつつ、刑務所での競争するかのように部品を組み立てる様は、Netflixイカゲームを彷彿とさせ、非常に演出面でも面白く見れます。という訳でコツコツと壁を削り、カンカンと敵が来た事を警告する鐘を鳴らすストーリーはどのようになっていくのか、レビューしたいと思います。

 

キャシアンアンドーシーズン2/レビュー

 

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これほどまで愛せるスターウォーズシリーズはこれから先、生まれるのだろうか?
本当に本当に良い時間を過ごしました。

まずはセットと美術は褒めても褒めても足りないくらいに素晴らしかった。
小物の品から大掛かりの建物まで、よくぞここまでこだわったなと思いました。アナログ感満載な無線機から近未来的な構造物まで、本当にたまらないものがありました。

第一話を見た時には、反乱軍として一枚岩で戦う姿が見れるものと思っていたのですが、その真逆でまーだバラバラなのか、と思い眠気が襲ってきました。
3話目になってなるほど3話構成での配信はこのためかと集中して見るようになりました。

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3話目まではバラバラな反乱軍に対し、一枚岩で粛々と計画を進める帝国軍が描かれ、デドラの軽い一言が大きな被害を呼ぶ計画である事を全く理解していない、そしてシリルカーンよ、お前は全くどうしてそうなんだ、と呆れてしまうが、実は1番自分に近い人物はこの男だと思うのは私だけでしょうか?というやりとり、ヒトラーのヴァンゼー会議という、ユダヤ人を他所へ強制的に移動させ、できない場合はやむなし、という歴史史実をなぞったような会議、モン・モスマが人生を踊らされてる事を象徴するシーンは、本当に印象的でした。

 

そして6話目。個人的にはApple TVプラスの窓際のスパイのシーズン3で高官同士が駆け引きを繰り広げる中で、部下はネズミのように這いつくばって戦闘を繰り広げるシーンを思い出しました。ラストは因果応報。
刹那的な別れと血まみれの反乱軍に対して、帝国軍はそれでも粛々としている。

 

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私には2人子供がいて小学四年生の息子はスターウォーズのアニメもほぼ見ていて、このシリーズも一緒に見ていましたが、5話目の途中で突然泣き出して、何が面白いのかわからない、パパは夢中で見ているし、きっとみんな面白いのがわかるのだろうけど、それが全くわからないと泣きました。色々と説明しながら見ていたのですが、帝国に対抗するアンドー達が、どうしても良い人間に見えない、正義にはみえなくて混乱して泣いてしまったようです。

その息子でさえ7話目から9話目までの展開は、時にソファーのクッションで顔を隠しながらビクビクしながら見ていて、こういう事は本当に歴史の中であったのか、私に聞きながら見ました。
シリルカーンの人生の空虚さ、デドラにせよアンドーにせよ、ホテルのフロントマンにせよ、現実の世界でも気づいた時には遅すぎる、そのような事を実感する回を見せられた気がします。

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10話目の初めから15分で涙に濡れ、ルーセンの過去を知ってエンドロールでは、私の息子が反乱軍の人はみんな、ウソを自分につきながら生きてしまっているんだね、ジェダイは嘘は言わないけど、この人達はウソをつかなければダメだったんだね。ルーセンが可哀想だ、という感想に思わず泣き笑いしながらお前は良い子だなぁと実の息子を抱きしめてしまいましたw
私よりも的確なレビューをしている。

11話目。あぁ、何もかもつながってきた。

12話目、緊迫感あふれる展開。つながった。

妹の夢を見るアンドー。K2SOがアンドーを起こした時に、人を起こすのは難しいと言う。
人を目覚めさせるのは難しい。目覚める事がない悪夢を見続ける運命のデドラ、真理を求めて彷徨う森に本拠地をかまえる反乱軍、そこから旅立つアンドー。

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ラストシーンは子供と一緒に見ている私には辛かった。
ここからローグワンへ続いてゆく。妹を、愛を抱く事がなかったアンドー。

 

決して子供が楽しめるシリーズとは言えません。それは子供でも楽しめるスターウォーズという点で本懐とはかけ離れてるとも言える。そういう意味ではスピンオフと言わざるを得ません。しかしキャシアンアンドーのドラマ2作品と映画ローグワンは立派な「3部作」として素晴らしい出来であると同時に、スターウォーズを見た事がない人でも是非一度見てもらいたい作品です。

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この世界の、人類の歴史は戦争を繰り返してきた歴史とも言っていいかも知れない。
ドラマで見つけられた娘は実は幸運だったかも知れない。

人類史を遡ると、見つけられた子供よりも見つけられなかった子供の多かった時代は、確かにあった。
私達の祖先も実はそうやって生きてきた。

アフリカで人は誕生して、生きていける地を求めて、命からがら、虐殺や略奪を逃れながら、この日本に辿り着いた可能性があるという事は言える。それでもこうやって繋がってきた。パパもお前もそうやって生まれた子供である事、それは確かな事実だという事は覚えておいて欲しい。それ以上に大切な事はないかも知れない。
このドラマの意味がわからなくてもニュースで戦争や不幸な事件を見た時に、このドラマのシーンを思い出す事があるなら、その時に立ち向かった人々もいた事も同時に思い出しくれれば、とても嬉しい、と息子には伝えました。

 

本当に素晴らしいドラマでした。

 

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星🌟五段階評価:キャシアンアンドー2作品

 

個人的満足度:🌟🌟🌟🌟🌟

オススメ度:🌟🌟🌟🌟🌟

 

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1102スターウォーズとキャシアンアンドー

今回はスターウォーズとキャシアンアンドーについてご紹介したいと思います。

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ディズニープラスで配信されて大好評で終わったキャシアンアンドー。スターウォーズシリーズであってスターウォーズとは別の異なるドラマシリーズです。

これは全くスターウォーズを知らない人にも是非見てもらいたい作品です。

言うならばスターウォーズの設定を使ったSFヒューマンドラマと言っていいところが魅力で、私が個人的に映画、ドラマ通じて2025年の作品で最も期待した作品がこのキャシアンアンドーです。

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およそ1ヶ月前に見終わりましたが、面白くて2周目しています。

キャシアンアンドーは2シーズンあるドラマで全24話あります。そしてこの24話の後にすぐスターウォーズローグワンという映画にすぐにつながる作品となっていて、言わばシーズン1、シーズン2、そして映画の「3部作」と言っていい作りになっています。

 

キャシアンアンドーのあらすじ

キャシアンアンドーのあらすじは主人公のキャシアンアンドーは宇宙全域を支配しようとしている「帝国軍」から武器や部品を盗んだりして売っているその日暮らしと言いますか、盗人のような存在です。しかし幼少期は穏やかに暮らしていたが、ある出来事によって親を亡くし、その日暮らしをする事になってしまった過去があります。帝国軍がどんどん支配力を高める事によって少しずつですが抵抗する者達が増えてくる。

 

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しかしそれぞれの主張が違いすぎて一致団結する事が出来ずにいる。そこにキャシアンアンドーがある盗んだパーツを売ろうとする時に帝国軍に抵抗する、ある大物に会う事で運命が変わっていく、というストーリーです。

私はスターウォーズシリーズが大好きですが、実はスターウォーズの映画の中ではローグワンが1番好きなのです。とてもいびつというか、途中で監督が交代したりして、編集の面とかではやや唐突なところも感じたりしますが、それでも大好きで自分の好きな映画TOP10にもこのスターウォーズ/ローグワンは入るくらい好きです。このスターウォーズ/ローグワンは、実際にはスピンオフ作品で、ディズニーにルーカスフィルムに買収されてから初めて作られた作品ですが、スターウォーズファンからしてみるとやっぱりディズニーに買収されたところに抵抗感があったりしたのですが、

実際にはその巨大企業に買収された事に対する抵抗、という意味合いも含まれた作品でもあるな、と感じました。

 

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スターウォーズは1番盛り上がるストーリーのエピソード4、5、6が最初に作られ.その次にエピソード1、2、3が制作されましたが、私は映画館ではエピソード1、2、3から鑑賞してますが、ローグワンは劇場で3回見ています。本当に好きでキャシアンアンドーがドラマで制作されると聞いた時は、とても嬉しかったです。ここからは少しキャシアンアンドーのシーズン1の見どころとポイントを書いていきたいと思います。

 

🌌シーズン1の見どころ🌌

 

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シーズン1の見どころ/ポイントとしては、スターウォーズらしい世界観でありながら、様々なジャンルの要素が入っているドラマになっています。正直、シーズン1の最初の3話はとてもスローペースで、あんまり面白くないかな?と思ってしまいました。

とにかくこのキャシアンアンドーのドラマは全編通してスローなテンポであるという事が言えますが、でも尻上がりに面白くなっていき、最後はとても感動する形で幕を下ろします。スローペースだが丁寧に描くからこそ、その感動や興奮が厚みを増すというのがこのドラマの最大の特徴と言ってもいいでしょう。支配力を増す帝国軍に対して、やがてその魔の手が遂に自分達の惑星に轟き始めた時に危険を迫っている事を鐘を打ち鳴らすシーンは、黒澤明七人の侍をオマージュだろうし、とある刑務所での作業は、Netflix配信ドラマのイカゲームを想起させます。またアンドー始め抵抗する側は、ラテン系の俳優が出演していて、帝国軍側はイギリスの俳優が主要キャストを務めているところも、歴史と重ね合わせているところが伺えます。

 

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出演陣も素晴らしい俳優ばかりです。キャシアンアンドーを演じるディエゴルナは勿論のこと、このドラマの2シーズンに渡って重要な存在のルーセン演じるステランスカルスガルドの迫真の演技は、間違いなく記憶に残るでしょう。

 

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さらに帝国軍側のデニースゴフ演じるデドラミーロとカイルソラーのシリルカーンの関係が本当に素晴らしい演技をしています。ぜひこの2人の関係も見ていただければと思います。

という訳でシーズン1の紹介をしてきました。続いてはシーズン2のレビューをしたいと思います‼️

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111.アノーラ/アカデミー賞作品をレビュー

今回はU-NEXTで配信されている今年のアカデミー賞受賞作品、アノーラについてレビューしたいと思います。

 

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予告編はこちら

https://youtu.be/2WtOa7PWqFA?si=b9f93ARbXo3Ae4hS

 

ショーンベイカーが遂にアカデミー賞を受賞という事で、私が好きな映画をザッと思い浮かべる中でも、だいたい30本はパッと出てきますが、その中でも確実にショーンベイカー監督のフロリダプロジェクトは確実に入る作品です。

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ショーンベイカーは貧困の中で苦しむ人々の人生を描いた作品が多い監督ですし、演技経験がない人を出演させたり、その手の有名な監督としてイギリスの名監督、ケンローチの系譜にいる監督というのが個人的な認識です。

そういえばケンローチ監督作品をまだ扱っていませんでしたね。特集したい監督なのでぜひ今度記事を書きたいと思います。

そんなショーンベイカーが、今回は演技経験がない人はメインには置かず、全員俳優で撮った作品がまず一つの特徴かなと思います。

このアノーラという映画を見て思ったのは、ショーンベイカーにしてはちょっと意外なところも感じつつ、最後のラストシーンはとても印象に残りました。

アカデミー作品賞、監督賞、主演女優賞と受賞してましたが、心から祝福したいと思います。とても素晴らしい作品でした。

 

主演のマイキーマディソンはのっけから体を張った演技をしてましたが、実は昨年Apple TVプラスで配信されたドラマ、レディインザレイクに出演していて知っていました。

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原作小説は読んでいて大好きですし、日本でもローラリップマンの小説は人気が高い作家なので、このブログでも記事を書こうと思っていました。しかしこれが本当にどうしようもないドラマでよくもまぁあの素晴らしい小説をここまで酷くしたもんだ、と怒り心頭で、記事を書いても悪口と愚痴になってしまうので、やめましたw。

しかしその酷い内容のドラマの中でも唯一輝いていたのが、このマイキーマディソンでした。彼女の演技だけは良かった。

あの女優さんか、と思っていました。こんなに評価されてとても嬉しいです。これからも頑張ってもらいたいです。

 

というわけで今回はネタバレ全開で書いていきたいと思います。ショーンベイカーは様々な解釈を残す映画を作る監督です。ですから明確な答えはなく、あくまで私が感じた事は決して正解ではないという事は最初に書いておきます。

しかし演出面についてはおそらくこのブログを読んでいただいてる人ならば、ピンとくるシーンがあると思うし、おそらく日本では気づいてない人が多いと思います。

ぜひ鑑賞した上で読んでいただければと思います。それでは早速いきましょう。

 

アノーラ/ネタバレレビュー

 

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心掴まれる映画でした。フロリダプロジェクトという名作を作り出したショーンベイカー作品で楽しみにしてましたが、ちょっと驚いたのはこのアノーラという作品は、ガチガチに構成した作品だなと感じました。

最初に感じたのが、黒澤明の用心棒、野良犬に主演した三船敏郎を意識した用心棒/ガードマン役のヒゲを生やした人物が出るところです。このブログではダークナイトなどの映画レビューで言及してきましたが、法律に基づいた組織の警察やFBIは「番犬」として演出される一方、法律とは関係なく自分の利益を優先するガードマン/用心棒は、番犬ではなく「野良犬」という立ち位置があります。
その用心棒役で強そうな野良犬のような男が、不快に思う人がいるかも知れませが、のちにキャットファイトを繰り広げる猫のようなアノーラにワンパンチならぬワンキックでのされるところは笑いましたが、同時にこんなベタな演出をするのか、という驚きもありました。

 

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川があって農業が発展して文明が築かれた上に都市があるというのとは違う経路で、ラスベガスはそもそも欲望によって生み出された都市であり、荒廃した砂漠で何も生み出さない街で、愛がないにも関わらず契約を結ぶアノーラとイヴァンに対して、上から見ると十字架の形の飛行機に乗って、そもそもこちらも愛がないイヴァンの親夫婦によって罰を与えられるという演出にしても、今までのショーンベイカーの映画とはちょっと違う毛肌を感じました。


前半はド派手に音楽が鳴っていたのに、ピタリとやんでストーリーは進みますが、プリティウーマンやフェリーニカビリアの夜を彷彿とさせながらも、個人的にショーンベイカーはコンパートメントNo.6という映画にとても影響を受けているという印象を受けました。

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アノーラのイゴール役のユーリーボルソフはコンパートメントNo.6に出演しているのですが、コンパートメントでは女性の主人公がロシアの古代遺跡を訪ねる旅に出かけると思いのよらぬ事に巡りながらも自分の住む世界とは全く違う世界の人々に触れ合いながら、閉ざされた/凍っていた心が解放されていき、ここで重要な役としてユーリーボルソフの存在がいるという映画です。

極寒の地に行くラストとアノーラのラストの雪が降るシーン、コンパートメントNo.6の女性の主人公とアノーラを重ね合わせて見てしまう自分がいました。

 

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この映画で最も考える余地がとてもあると感じたのは、お菓子屋のお爺さんと出演してないが、イゴールのおばあさんの事。

ラストはイゴールのおばあさんの車に乗ってアノーラは送り届けられる事になり、そこで性行為に及ぶ事になりますが、これは一体どういう事なのか。野良犬のような用心棒がアノーラに鼻の骨を折られておばあさんの薬を飲む事になりますが、おばあさんは言わば薬/治癒の効果があるという立ち位置の存在になるし、お菓子屋のお爺さんは孫やイヴァン、アノーラが騒いでいても怒ることなく見逃します。
お菓子屋の主人は孫やその世代には甘い存在という立ち位置になるし、その代わりアノーラは親の事をあまり語りたがらないし、イヴァンも親については語りたがらない上に、会ったら高圧的な態度を取る厳しい存在となります。
祖父母の70代以上の世代は治癒、甘い存在、アノーラやイヴァンの親/50代以上は厳しい存在、ここに何か意味があるような気がしました。

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ラストのおばあさんの車で性行為をしようとする、車は前に進むという意味で車/時代を表す物として表現してるならば、夢や癒しがあった時代で性行為をしようとするが、もうそんな時代ではなくなってしまった、外では雪が降り積もって外からも車の中からも何も見えないまま、世間/雪に埋もれてゆく事に悲しんでるという事なのかな?と思ったりしつつ様々な解釈ができる作りになっていると思いました。

 

一方で映画制作について言及してるな、と感じます。
映画は孫のように可愛い存在、映画は人生にとって薬のような存在、70年前の映画には夢があった、それに影響受けた親父達の世代は夢の物語を産業化してストーリー/人生はそっちのけ、パーティと刺激があるシーンを増やせ、金を産めとイヴァンのような中身のない映画が作られる一方で、アノーラは母子家庭で貧困の中で暮らしてきた/インディペンデントの映画会社はいつもお金がなく、身売りしながら映画制作を続けているという事も表現してるのかなと思いました。

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そういう視点で考えると、アノーラはあくまで職業倫理に基づいてイヴァンと契約したわけですから、アノーラのように自身の人生を丸裸にして映画監督をやっていて、作りたい映画をちゃんと説明して契約したにも関わらず、スポンサーや株主が口出しして映画制作の契約を破棄し、映画会社のおぼっちゃま達はスポンサーがダメだってんだからダメなんだよ、と言ってきてダメになると。

冷え切った現実でおばあさん/夢の映画を一心に受けた、本来作られるべきストーリー/イゴールと最後は性行為/一体化するはずが、キスもできぬまま終わっていくという風にも受け取れてしまうなと思いました。
イゴールがバットを少し見つめて投げるシーンがありますが、おばあさんが見たら悲しむだろうなと思ったのかなと感じました。隠れた名シーンだと思います。

 

本筋とは関係ない話を書いてきてしまいましたが、国は関係なく富裕層同士はつながっていて、貧困の中にも差別があり、その一番犯罪の犠牲になりやすい女性を中心にして、世界をよくあぶりだしていたと思います。

 

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エンドロールでは車のエンジン音が響きわたっている。前にも動かない車。いつの時代も前に進んでいない、変わってない現実がある。ショーンベイカーが最後に静かに怒りを発露してるように思えました。

あらためてアカデミー賞受賞おめでとうございます。

バットは捨てよう。

 

星🌟五段階評価

 

個人的満足度:🌟🌟🌟🌟🌟

オススメ度:🌟🌟🌟🌟🌟

 

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110.満点の面白さ‼️ザ・スタジオ

今回はApple TVプラス配信ドラマ、ザ・スタジオの紹介をしたいと思います。今回はネタバレなしでやっていきたいと思っています。

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今年はコメディドラマが面白い作品がとにかく多い‼️ホワイトロータス、MO、人生最期にシタいコト、そしてこのザ・スタジオと、例年になく本当に面白いドラマが多いです。

そしておそらく今のところコメディドラマとしてダントツに人気があるのはこのドラマなのではないでしょうか。特に映画ファンには刺さる小ネタ満載のドラマであり、さらに豪華なゲスト出演を迎えて濃密でとても面白いコメディを展開していました。

1話目はマーティンスコセッシ、2話目はグレタ・リーとハリソンフォードの逃亡者や死ぬまでしたい10の事で有名なサラポーリー、3話目はロンハワードとキャプテンアメリカのアンソニーマッキーが出演していたり、本当に話題に事欠きません。

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撮影方法も長回しで流れるように撮影されていますが、非常に効果的でそのドタバタ劇が歩きながらも展開されていたり、特にゾーイグラビッツがゲスト出演してる回は爆笑ものです。

映画もシックスセンスやユージュアルサスペクツ、ビューティフルマインドやラスベガスをやっつけろだとか、マニアックなネタから有名な映画のネタまで満載でとても楽しい時間を過ごせると思います。もちろん映画に詳しくなくても大丈夫。とにかくセスローゲンとアイクバリンホルツの2人を中心としたチームが足を引っ張りあい、さらにドタバタしながら映画制作現場の現実を笑いを散りばめながら存分に楽しめる内容となっています

一つポイントを言うならば、このドラマは映画会社の内輪の話ですが、会社のトップがブライアンクランストンである事。

 

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ブライアンクランストンは、Netflixで配信されているブレイキングバットの主人公のウォルターホワイトという人物を演じています。

このブレイキングバットは、化学の先生が癌の末期を告げられ、今まで自分らしく生きてこなかったことを悔いながらも、元生徒が麻薬の売人をしていて、その麻薬のクリスタルを見た時に、俺だったらもっとすごいクリスタルを作れると、ここからクリスタルを作り、売りまくりながら街の縄張り争いに踏み込んでいくという話になっています。

このドラマが空前のヒットを飛ばして人気を博し、映画よりも配信ドラマの方が面白いのではないか、と多くの視聴者に印象を与えたドラマでもある。

ウォルターホワイト、ウォルトディズニーと白人を重ね合わせたような名前で、さらに麻薬というのは快楽と絶望を与える薬物である。その中毒性は映画やドラマとしてもなぞらえられている。

 

そのウォルターホワイトを演じたブライアンクランストンが麻薬/映画の売人として、映画会社のトップとして君臨するという事、映画業界とドラマ業界のバランスを壊して映画業界がブレイキングバットしていく様が描かれていく、という事になります。

 

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この構造がおそらく多くの日本人がまだ気づいてないかなと思いますので、ぜひその点に注目しながら見ていただければ、最終話の意味がよくわかってくると思います。

 

おそらく7月には上半期のドラマランキングをやりたいと思っていますから、その時にネタバレ全開の感想を記事にしたいと思っていますが、やはりApple TVプラスは、映画はイマイチですが、ドラマのラインナップは本当に充実してます。あまりに見られてなくて昨年、ニュースで話題になっていましたが、このブログでも実はユーネクストの次にApple TVプラスのドラマを取り上げている回数は多いです。今現在もSFドラマのマーダーボットというドラマを見ていますが、本当に面白い。

ドラマを中心としてレビューをやっているYouTubeにせよブログにしても少ないですが、やっている人ならば間違いなくApple TVプラスのドラマを取り上げる回数は多いと思います。

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その中でもこのザ・スタジオは間違いなくApple TVプラスの1番のオススメドラマと言ってもいいでしょう。本当に面白いドラマですし、間違いなくエミー賞の争いにとっても最重要作品なのは間違いありません。

正直、私は映画のアカデミー賞よりもドラマのエミー賞の方が圧倒的に注目してますし、時代分析をメインにしてますから、映画よりもドラマの方が分析できると思っています。

今年の映画の祭典、アカデミー賞はアノーラとブルータリストを見ましたが、この2作品は少なくとも映画制作になぞらえた作品に感じました。

アノーラのレビューを近々したいと思っていますから、そこで詳しい事を書きたいと思いますが、私にはアノーラ自身が、ブルータリストの主人公が映画監督の苦悩にも見えました。

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映画業界の下り坂を転がっていく中で、その業界の仕組みの中で苦悩してるクリエイターの姿はわかるけども、時代の反映とはまた別です。

ドラマではMOがパレスチナという少数派の人々の苦悩を描いていたり、ラストオブアスやスターウォーズのキャシアンアンドーにしても、時代を反映している作品でした。

 

ホワイトロータス、MO、このザ・スタジオ、そしてディズニープラス配信の人生最期にシタいコトというコメディドラマがノミネートされるのではないか、と思いますが、どの作品がエミー賞を取るのか、今年のエミー賞の最大の争点だと思っています。

このような点でもぜひこのザ・スタジオをご覧になっていただければと思っています。まぁ、賞レースなんて下世話な事を抜きにしても本当に面白い作品ですのでぜひご覧ください‼️

 

星🌟五段階評価

 

個人的満足度:🌟🌟🌟🌟🌟

 

オススメ度:🌟🌟🌟🌟🌟

 

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1話目にこのシーンが出てきます。砂漠という何も生み出さない場所に生えてるヤシの木。ここでの会話が私にとって最も印象的でした。

 

 

 

109.完遂‼️ラストオブアス/レビュー

今回はゲームをやった事がない人間が、このドラマをどれだけパニックになりながら見たか、最終回をむかえたU-NEXT配信ドラマ、ラストオブアスのレビューになります。

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いやー衝撃的なラストでしたが、怖々とそれでも本当に楽しい時間を過ごしました。

あまりにショックな2話目以降、私のブログではこのドラマは書く事が多すぎると毎話レビューをしようかなと試みたのですが、ラストオブアスの考察は自分なりによくできたものの、忙しい上に他のドラマレビューや映画レビューができなくなり、なかなか思うようにはいかないな、と思った次第です。

とは言ってもこのラストオブアスの考察に関してはかなり満足はしています。2話ずつまとめてレビューしていますが、全部総括して記事にするとあまりに書きたい事が多すぎて、なかなか記事化できなかったでしょう。

それでは最後の総括でレビューしたいと思いますが、2話目と6話目については少し内容に触れます。全体的なネタバレはしません。まだ見てない方のためにポイントを押さえる形でレビューはするつもりでいますので、何もネタバレされたくない方はご注意ください。

 

ラストオブアス/レビュー

 

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まず私が注目したのは、ラストオブアスに出演する俳優陣でした。主人公のエミーはゲームオブスローンズで非業の死を遂げ、ホワイトウォーカー/ゾンビになってしまったベララムジーが演じ、ディーナ演じるイザベラメルセードは、ボーダーラインという映画で、復讐と報復が止まらない中で、殺されるはずだったが暗殺者が自身の死んだ娘と重ね合わせて、生き延びるという役でした。暗殺者との短い旅路はラストオブアスのジョエルとエミーの旅路を想起させる。

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そしてエミーとディーナが出会い仲良くなっていくのは、その背景を知ってるとロマンチック以外の何物でもありませんでした。
さらにこの2人が復讐に旅立つという演出。ゲームオブスローンズ、ボーダーラインが大好きな作品として見ている自分にとっては、これは本当にたまらない展開です。

2話目である女性が雪壁から滑り落ちて、植物すら育たない雪/死の大地で、ゾンビがゆっくりと復讐する者を見る。
そこから復讐する者を一斉にゾンビが追いかけるシーンは、復讐と報復の連鎖の人類史で、再びその闇が復讐する者によって呼び起こされる、まさに歴史の一端を見せられているようで息をのみました。

 

まさにあのゾンビが復讐を駆り立てる者を見た瞬間に、このドラマはパニックホラーからボーダーラインの描いた復讐と報復が繰り返される人類史の闇のテーマ性に、ガラリと変わったと思います。

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その闇が生きる者達の街/現実を襲う。世界をわかったふりをするな、と言わんばかりに、それはボーダーラインの映画のテーマ性でもあり、そして2話目の戦いはゲームオブスローンズのナイトウォッチとホワイトウォーカーの戦いを想像させて、興奮もしたし、怖ろしくもあった。

私にとっては2話目はHBOのドラマ作品の中で、最も記憶に残る回になりました。 


さらに涙に濡れた6話目。太古の時代から現代の宇宙開発の流れを見せ、その機体に乗り込んで夢を見る。
これも人類史の歩み。空を越えて自らの心を解き放つあの瞬間。

もしかしたらこのラストオブアスの原作者は、自身の体験から夢を見た光景を、空を見上げで解き放たれる事を願ったのかも知れません。

復讐と報復の連鎖の中でも、このように夢を見る者はいる。世界はあなたの思い通りにはいかないとストーリーで見せながら、解き放たれる事を望み、パールジャムの曲でエンディングをむかえるというのは、とても考える余地があると感じました。

 

最終話はほぼシーズン3の始まりという終わり方でしたが、ラストのエンディングはサウンドガーデンというバンドの楽曲が使われていました。

6話目はパールジャムでしたからこの二つのバンドはシアトルの代表的なバンドです。

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パールジャム


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サウンドガーデン

 

後半はシアトルを舞台にしてましたから、シアトルのバンドという事も大きな要素だと思いますが、となるともう一つシアトルの代表的なバンドといえばNIRVANAがいますので、おそらくシーズン3では楽曲が使われるのではないか、と思います。いや、シーズン4の最終話かな?

NIRVANAにはオールアポロジーズという名曲があります。直接的に訳すと、全てに謝罪するという意味ですが、エリーもアビーも謝る事しかないと思うのでw、オールアポロジーズという楽曲が使われる可能性はあると思います。

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私自身もこの曲は最も好きな曲なのですが、ぜひ名曲なので聴いてみてください。

https://youtu.be/0zF5kg08sfs?si=m_YsDgXwqJC4DCEP

 

期待はしてましたが、なにぶんホラーが苦手なので、グロすぎずボチボチであれば良いなと思いましたが、2話目以降はテーマ性が変わって4話目以降からレビューするようになりました。シーズン2がシリーズ最高傑作なのか、それともこれからもっと自分を絶望の底に叩き落とされる事になるのか、シーズン3に期待です。
ゲームオブスローンズやBARRYを超える傑作ドラマになるのかも知れない。
いずれにせよ、憎たらしいぞ‼️HBO🧟‼️

 

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108.ラストオブアス第5話目、6話目レビュー

今回はゲーム原作のラストオブアスの5話目と6話目のレビューをしたいと思います。

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このラストオブアスは想像以上に面白いので、1話1話レビューしていきたいと思っていて、今回も5話目、6話目も見応えがある内容でした。

それでは早速いきたいと思いますが、ネタバレありの感想となってますからぜひご覧になってから読んでいただければと思います。

ちょっと考察しすぎかも知れませんが、今回も色々と考えさせられました。

 

第5話目レビュー


かつてゲームオブスローンズで哀しい死の後にホワイトウォーカー/ゾンビとなったベララムジーに対して、復讐をやり遂げる事をディーナが説くシーン。

映画、ボーダーラインの麻薬カルテルのボスの娘を演じ、親は殺され暗殺者演じるベネチオデルトロは本当はその娘を殺さなければいけなかったのに、逃避行を選び、それはこのラストオブアスのジョエルとエリーの旅路を連想させられるところがあります。

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私がこのラストオブアスにハマっているところはまさにここなんです。あのボーダーラインの途切れたストーリーから地続きでストーリーが展開してるかのようで、うまいと思ってしまっている。

復讐と報復の連鎖が止まらない物語がボーダーラインのストーリーの中心でした。そしてドゥニビルヌーヴが監督した一作目は、エミリーブラント扮するFBI捜査官が、あまりに法律など関係なく違法捜査してる実体に、上層部に報告しようとベネチオデルトロ扮する暗殺者に言います。

しかしそれに対して暗殺者/シカリオは、お前に世界の何がわかる?と言わんばかりに銃を突きつける。

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このラストオブアスというドラマもまた、2話目で復讐に向かうアビーが雪壁から足を滑らせ落ちた時に大量のゾンビがいて、その中の1匹がゆっくりと顔をむける。

そこから一気に復讐に向かうアビーを追いかける。それは復讐と報復の人類史が彼女の後を追いかけているようにも見えました。

そしてそのゾンビ/人類史の闇が今を生きる人々の街を襲う。

2話目で完全にゾンビに対抗する物語から、ボーダーラインの復讐と報復の物語に転換した瞬間であり、お前らに一体世界の何がわかる?という問いかけを受けてる気分になりました。

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そしてボーダーラインで、復讐と報復の連鎖の中で絶望に暮れた女の子が大人になって、復讐をやり遂げる事を説くシーンは、今回は死なないで復讐するのよ、と言ってるようなもので、ゾッとしながらもこのキャスティングのセンス、さすがHBOと思ってしまいました。

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ゲームオブスローンズで非業の死を遂げた姫君と、ボーダーラインで生き抜いた娘が、復讐のために手を取り合い、愛し合うという展開は、両方のドラマ、映画が好きな自分にとってはなんてドラマチックなんだ、と思ってしまいます。

WLFの本拠地に突っ込んだが、逃げる展開になり、ここでジェシーに救われて森に逃げる。

カルト教団がそこに本拠地を構えていますが、森は真理を求めて彷徨う場所であり、人に恵みを与える場所としての演出がありますが、いまのアメリカを連想させました。

トランプ自身はキリスト教を信仰はしてないが、キリスト福音派の支持層が厚い。

しかしそのアメリカの立ち振る舞いは、一体何を信仰してるのか?

 

アメリカではアジア系とラテン系の人口増加の割合が増えてる中で、矢を足に受けたラテン系のディーナ/歩みを止められたラテン系とも取れるし、ジェシー/アジア系の人間と共にその狂信的なヨーロッパ系の森から逃げるという意味合いにもとれる。

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そしてエリーはその森をくぐり抜けて再び、病院へ向かう事になります。その病院もまた急進的な組織によって占拠されてますが、人々を救うはずの病院では、空気感染でゾンビになってしまう新たな媒体となっている。そこで対立する事になるエリーとノラ。

ノラはノアの方舟から由来してる名前かなと思いましたが、ノラがエリーにジョエルのやった事を話したが、お構いなしに撲殺するシーンは、ヨーロッパ系の人間が少数派である有色人種に暴力を振るうような現実の合わせ鏡にも見れる展開でもありましたし、WLF自体が環境破壊に対して過激な行動に出るグループに対して、暴力に訴えるような見え方もできました。

 


いやはや疲れるストーリー展開でしたが、さすがHBOと言ったところです。キャスティング、演出の深み。

 

ラストオブアスはゲーム原作ですが、一つ確信したのはやっぱりスーパーマリオが元ネタだなと思いました。

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実際にペドロパスカルはサタデーナイトライブでスーパーマリオのコントをやっていました。

ペドロパスカルはマリオにそっくりですし、今回、弟のトミーをルイージとして考えると、ピーチ姫はゲームオブスローンズの姫君のエリーという事になるw。

もともとスーパーマリオインド神話ラーマーヤナから由来されていて、ラーマ王子の姫君が拐われてそれをラーマ王子と弟のラクシュマナが猿軍を率いて救いに行くという話を参考にしてますから、ちょっとそこもなぞっているのだろうと思いました。

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スーパーマリオからずいぶん飛んだな、HBO。私はゲームが超がつくほどド下手なので、一度もクリアした事ないけど、平和なゲームがなんでこんなに怖いドラマになってるのか、いやはや人間の想像力というのは本当に怖いと思いましたw

 

第6話目レビュー

 

6話目は過去を振り返るシーンでした。これについてはほとんど言う事がないですが、やっぱり感動しました。一度娘を失っているジョエル。

あそこで再び愛する者を失う事になったら。子供を持つ身としてはジョエルの気持ちがとてもわかる。私とて同じ行動をする可能性がある。

 

俺はうまくやってるだろうか?

 

と自問自答してしまいました。この悲劇的なドラマだからこそ宇宙遊泳のシーンはとてもロマンチックでした。かつて宇宙へ飛び立ったアポロに乗り込み、カウントダウンが始まり、そこからアコースティックギターの美しい音色に重ねながら、エリーは夢を見る。

 

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本当に名シーンだったと思います。こういうところですね。名作/傑作であるところは、こういうシーンをしっかり描いているところにある。残すところあと2話です。楽しみに待ちましょう。

 

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