ドラマと映画の時間

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46.オススメドラマ‼️ベアー/シーズン3 レビュー

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今回はディズニープラスの大人気ドラマであり、9月に行われるドラマ界のアカデミー賞にあたるエミー賞でも数多くの受賞が予想されるベアー/一流シェフのファミリーレストランのシーズン3のレビューになります。

 

シーズン1は亡くなった兄の店を経営していき、シーズン2では新たにオープンするレストランのためにスタッフとカーミーとシドニーが奔走するストーリーになっています。

 

シーズン3のネタバレはなるべく含まないようにしますが、このドラマとシカゴ、アメリカについての言及はしますのでできればシーズン3を見終えた状態でこのレビューを読んでいただければと思います。

 

 

 

シーズン3 :レビュー

 

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視聴者の多くが頭を抱えたであろう、シーズン2のラストから一体どうなっていくのか?と1話目からかぶりつくように視聴しました。
感想としてはシーズン4への期待が高まった、と言ったところです。もしかしたら今回のシーズンはシーズン1、2に比べて何も起きないので不満に思う人もいたかなと思います。

 

でもこのシーズン3はこのドラマの全体像が見えた事が大きくこのレストランは、シカゴはアメリカはどうなっていくか?という事が主題としてあると感じました。

 

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その意味では今回はシーズン4、最終シリーズに向けて大きな風呂敷/ふろしきを広げる形で終わらというのがとても重要な事であったように思えます。その上でシカゴの歴史を知っておくと見えてくる事があると思います。

 

 

シカゴはアメリカ建国時に工業中心地として引っ張ってきた重要な拠点でした。人口もニューヨーク、ロサンゼルスに次ぐ3番目に人口が多い都市です。

工業が発展すると工業製品になる材料や出来上がった製品を運ぶ交通網も発展していきます。そして中西部のネブラスカに近いという事もあり、アメリカの農業の穀倉地帯、あるいは畜産業も盛んで、工業、農業においてもシカゴの鉄道、船舶、航空の分野でもシカゴは重要な交通網です。

 

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しかし脱工業化が進み、ラストベルト/錆びたベルトと言われるようになるくらい落ち込んでいる街でもある。
アメリカの工業中心として、父親的な存在/柱として牽引していたのに、それがいつの間にかシカゴから失われていきます。


儲かっている間は家族などかえりみず男は夜も昼もなく働き続けて、女性は家を守る者として存在している。

 

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これは主人公の家族を反映していると感じました。父親はロクに家族をかえりみず、母親は四六時中家事に明け暮れ、感謝される事もなく常にストレスフルな状態であった。
そして子供達の教育は強くあれ、強くなければ競争社会に負けて死ぬのみ、アメリカンドリームを手に入れろと、強要されます。

 

 

それはまるで軍隊のように。

 

レストランとはアメリカのこと、シカゴのこと。主人公の兄のマイケルは、アメリカンドリームの夢の裏側にある残酷な、家庭崩壊と軍隊のような教育の軋轢の犠牲者にも見えてくる。

 

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主人公のカーミーもまたそのトラウマを克服できず、愛を捨て情けも捨て、周りも見捨てて、ただ夢を掴みとろうとする。それは一体どんな味なのか。旨味はあるが、周りはついていけない。

 

今回の最も印象に残る人物としてのティナ。このドラマのベストエピソードであるだろうあるシーンで落涙しました。
それは家族を支えようともがき苦しみながら生きる人の言葉でもあるし、背景には南米からの移民で、ただ食べていくために、生きていくためにひたすら下を向いて生きてきた移民の人々の歴史の重みを感じられる言葉でもある。

 

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デザート担当のマーカスは母親が長期入院をしていて、母親想いに溢れた人物である。
母親/アフリカの大地にルーツがある事を感じます。その上でマーカスのある場所での告白は静かに胸を打ちました。

 

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主人公のカーミーにせよ姉のナタリーにしても今のアメリカのような立ち位置にも感じます。

今のアメリカは強くあろうとする事で、その下で大きな負担を女性をはじめ少数派の人々が犠牲を強いられてきた。

多くのアメリカの人々が彷徨い続けている、カーミーやナタリーのような、自信をもてずにいる人が大勢いる。

 

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ストレスによって奈落の底にたたき落とされた母親の下で、幸福とは無縁であった中で、今回はついにその母親と向き合うエピソードがあります。


個人的にはこのベアーというドラマの中でベストエピソードだと思いました。車という時代から降りて、母親と向き合う。他のドラマならばほぼ2人だけの対話のみで構成するエピソードなど作らないと思います。

徹底的に向き合う事。重すぎるかもしれないが、周りの意見など知った事ではないと徹底的である事にこのドラマの意義を見たし、とても嬉しかった。
まぁ母親は相変わらず恐怖でしたがw。

様々な人種/登場人物がいる中で、それぞれの立場とルーツがあってレストラン/アメリカは形成されている。 

 

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日本とて急激な進歩と共に多くのついていけない人々がいる現状で、そういう意味では同じ目線で立てるところがあるかなと感じます。

苦味が多いシーズンでしたが、シーズン4ではどんな味がする展開になるのか、非常に楽しみです。

 

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次回が最終シーズンです。おそらく来年配信されると思います。この歴史的にみても間違いなくベストドラマの一本である事は間違いないので、期待して待ちましょう‼️

 

星🌟5段回評価

 

個人的満足度:🌟🌟🌟🌟🌟

 

オススメ度:🌟🌟🌟🌟🌟

 

 

 

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