ドラマと映画の時間

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69.大傑作ドラマ‼️セイナッシングを見よう

今回はディズニープラス配信ドラマ、セイナッシングの紹介をしたいと思います。

以前、ポスターはストーリーを語る、という記事で第5位にこのポスターを取り上げました。こちらですね。この時にはまだ3話くらいしか見ていませんでした。

 

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でも1話目を見た時にこれは今年ベスト級のドラマであろう事は確信しましたし、このドラマの制作会社がディズニー傘下のFXですので、期待はしていました。

 

♾️注目のFX作品♾️

 

FXはベアー、将軍で今年のエミー賞をほぼ独占した会社で今一番注目すべき制作会社です。そのFXがどんなドラマを作ってくるのか、今回のドラマはリミテッドもの、1シーズンの完結ものとして配信されましたが、ほとんど知らない俳優ばかりなので、見る前はちょっと地味だなと思ったのが率直な感想です。

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さらにアイルランドの歴史ものという事で、かなり暗いトーンのストーリーになる事は予測できたので、FXが次に着目したアイルランドの歴史をドラマ化というのは、エンタメ要素は少なめな非常に暗いドラマなのだろうと思いました。

 

ましてやリミテッドシリーズものではディスクレイマー/夏の沈黙というアルフォンソキュアロン✖️ケイトブランシェットという黄金タッグで期待以上の作品を作ったばかりで、来年のエミー賞予想では誰もがこのディスクレーマーを押すだろうと思っていた直後なので、見る前からこのセイナッシングという作品は劣るのではないかと思っていました。

 


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なにせ聞いたことのない俳優、知らない監督と、ディスクレイマーから比べるとネームバリューでは劣ってしまっているのは確かなので、キツいと思っていましたが、、、これが第一話目からわかりやすい歴史説明から始まり、暗いトーンながらも非常に演出が素晴らしく、とても面白いです。面白い上に第5話まで見た時点では頭を抱えました。

U-NEXTで配信されてるペンギン、AppleTVで配信されたディスクレイマー夏の沈黙、もうこれ以上傑作は今年は出てこないだろうと思っていたのに、この両者が最終話が終わって余韻がまだ残っている段階でまだこんな傑作が残っていたのか、こんな傑作が、、!!といった感じでした。

 

さすがFX、期待を裏切らないとんでもない大傑作を世に送ってきたなと最終話を見ずとも実感しました。

そして最終話まで見終わった感想は、ただただ素晴らしいの一言です。

 

まぁ一言目にエミー賞だとか、権威を振りかざすかのごとく説明するのは下品かなと思いますが、実はセイナッシングというこの作品、日本では全く見られていないみたいですから繰り返しになりますが、間違いなく来年のエミー賞の1シーズンもの、リミテッド部門でApple TVプラスのディスクレイマー/夏の沈黙と共に主要部門を争う最有力候補である事は間違いないでしょう。

 

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今後先もリミテッド部門では多くの作品が配信され、Netflix百年の孤独がおそらくリミテッド部門で配信されると思うのだけど、おそらくこの3つの作品で争う事になるのかな、と予想します。

 

私自身も12月末に下半期ドラマランキングを記事にしたいと思っていますし、年間ベストランキングも正月あたりに記事化したいと思っていますが、今年はドラマの傑作が多すぎて、どの雑誌、媒体でも一位にどの作品を選ぶかとても難しいでしょう。

毎年ならば1位はこの作品で2位以下がどうすべきか考えるところですが、全く逆で1位にどの作品を置くのか今年は相当難しいと思います。

そしてこのセイナッシングという作品をどの順位にするのか、ここが注目です。ランキング10位以内に入ってないのはこれはあり得ない。これは断言できます。

この作品を10位以内に入れないのはかなりおかしい結果だと思います。

 

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この作品をどこのポジションに置くかによってその媒体の質がわかるという結果になると思います。

 

 

♾️セイナッシングのご紹介♾️


非常に歴史ものとして腹の底に残る、そしてキレキレの演出によって、ポリティカルクライムサスペンス、政治的でありながらも犯罪ものとしても超一級品として面白いドラマです。

日本は村社会だから住みにくいと思われがちですが、ヨーロッパを旅しながら生活してると、日本とは違った住みにくさがあるなと思う事はありました。

実際に1話目ではそのキリスト教においても違う思想を持っているという事実を突きつけてくる。

思想と見解の相違、青春を、血の流れるスピードが速い若者2人の主人公はやがて、独立運動の過激思想に囚われ身を捧げる事になる。

 

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固唾を飲みながら見ていくと5話目から一気にドラマの展開からより濃厚さは満ちていき、今年も多くのドラマを見てきましたが、このドラマの6話目は私が見てきた限り、最も記憶に残った将軍/shogunの第8話目に匹敵する出来栄えだったと思います。

独立を勝ち取るために身を捧げてきた2人の結末はどうなるのか、歴史の教訓としてもこのドラマは非常に優れている。

上記に示したとおりですが、ドラマのポスターは女性がしゃべるな、say nothingというポーズをしています。
背景は燃え上がるようなグリーン/緑色ですが、アイルランドのカラーは緑色です。
セントパトリックがキリスト教を布教した事で父/神、子供、聖書の3つを重んじる三つ葉のクローバーが国花となっています。

ポスターでは赤毛の色の女性ですが、赤は流れた血を、またはアイルランドの大地を表現していると思います。口元を隠しているタートルネックの色は黒、暗い歴史を表現し、指をあてて何も話すな、/沈黙しろというポーズは、見ようによってはロウソクの灯にも見えなくもない。
仮にロウソクの灯りだとするならば、私達は希望を捨てないという意志表示になる。

血または大地の赤、暗い歴史の黒、希望の白、あるいは黄色。三つ葉のクローバーの歴史には赤と黒と白の三色によって紡がれている。
その歴史の一端の重みを感じますが、演出のおかげで本当に面白い作品となっています。

 

♾️最後に♾️

アイルランドは現在人口がおよそ500万人くらいで、そこまで大きな国ではないのですが、それでも有名な俳優やミュージシャンが沢山います。

代表的な存在を挙げるならばU2でしょう。

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彼らのバンドの軌跡はアイルランドやヨーロッパと共にありました。

デビューからヨシュアトゥリーというアルバムまでの楽曲の多くは祖国アイルランドのための曲が多くあります。

中でもSunday bloody Sundayという曲は有名な曲ですが、日本人で最も知られている曲はwith or without youという曲でしょう。

 

https://youtu.be/IrQ7QDAxAl8?si=mNbjlE5VEYhDxfuA

 

あなたがいてもいなくても私はここで待つ、という歌詞がありますが、おそらくこれは内乱の激しいアイルランドがいつか平和になるまで待ち続けるという意味にもとらえられます。

アイルランドに住んでいる多くのケルト系の人々はイギリスに広く定住していましたが、ゲルマン人の侵攻によって多くの命が落とされ、さらに北欧では寒冷地であるが故に農業はできずに冬になるとデーン人がイギリスに侵略してここでもさらに多くの命が失われます。

 

つまりイギリスそのものの歴史が血で塗られていて常に内乱による虐殺が繰り返されていたという事と言えます。

そしてその多くの命が失われ土地を暴れたのがケルト系でありその人々がアイルランドに住んでいるという事になります。

このドラマを見ればどれだけ荒んでいたのかわかると思うし、立ち直れないのではないか、と感じる人もいると思います。

私自身も20年以上も前になりますがアイルランドに行った事があります。

その時の実感としては非常に閉鎖的であまり友好的な態度ではないというか、そこまで良い印象はありませんでした。

しかしこの10年でアイルランドは国家的な戦略によってヨーロッパでは最もGDPの伸び率が高い上に、福祉の充実によって、国連の幸福度ランキングでは16位で日本47位ですから、大きな差をつけています。

ま、幸福度ランキングと言ってもそもそも人口自体が全く日本とアイルランドでは比較になりませんから一律に一緒に語る事はできませんが、しかしそれでもアイルランド人が努力をして国を成長させた事には変わりありません。

 

虐げられた歴史があって、そこから立ち直り歩み続ける。日本もまた同じ道を歩んだわけですが、日本人とアイルランドの復興にはきっと様々な共通点があると思います。

 

悲惨な歴史からも逃げずに立ち向かい、立ち上がる。今現在のアイルランドの成長を考えると、決して人間は捨てたものではないと勇気をもらえるし、歴史の偉大さを感じる事もできるのではないでしょうか。

ぜひご覧いただきたい作品です。

 

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