ドラマと映画の時間

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26.三体に影響を与えた映画コンタクト 

今回は3回に渡って三体に最も影響を与え、個人的にも大好きな映画、コンタクトの紹介をしたいと思います。

 

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当時公開された時は、映画館で6回は見た挙げ句に、いまだに毎年一回はBlu-rayで見返している映画です。カールセーガン原作も3回は読み返しているくらい好きな小説です。

この映画の影響はとても大きく、クリストファーノーランのインターステラーはその代表例でしょう。父と娘の話でありながら、主演のマシューマコノヒーはこのコンタクトに出演してる事がとても影響してると思います。

 

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三体の小説では、5冊あって第二部の黒暗森林まで読むといかにコンタクトをとる事が危険な事か、という事が書かれていてこの映画/小説の内容を否定してしまう形になるけど、第三部まで読み進めていくと最終的にはコンタクトの小説/映画と共鳴する形になっていきます。
ぜひ三体を読んだ方、あるいはドラマを見た方はこのコンタクトの小説や映画をご覧になっていただきたいですし、コンタクトを鑑賞した方はぜひ三体の小説/映画をご覧になっていただければと思います。

私が小説三体の魅力書いた記事はこちらです🔽🔽🔽

https://spiralout.hateblo.jp/entry/2024/04/14/210913

 

実はこの記事を書くにあたり、何度となく書き直しているのですが、色々と考えた結果、ネタバレ全開でいきたいと思います。とにかくインターステラーアカデミー賞を受賞したメッセージにも影響を与えた作品です。

 

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あまりにインターステラーやメッセージの映画が有名になったのでその影に隠れてしまってあまり見られていませんが、この映画なくして上記の映画もなければ三体の小説/ドラマもなかったと思います。

U-NEXTで配信されてますから、ぜひご覧になった上でこの記事をご覧ください。

 

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このコンタクトの映画の見どころは、なんといってもオープニングの映像美。ノイズまみれの地球からどんどん離れていくにつれて音が聞こえなくなってきます。だんだん地球から離れてゆく事によって過去の電波の声が聞こえてくる。そして日本でいう七夕の織姫星のヴェガのところでぷっつりと音が途絶えてしまいます。

 

これは電波自体はここまで届いてはいる、という事です。もちろんエネルギーそのものは弱まっていて仮に受信したとしても全く聞こえないと思いますが、理論上そういう事を映像化しています。

そこからエリーの目が映るシーンまで、何度見ても飽きません。

映画のオープニングはとても大事ですが、コンタクトと2001年宇宙の旅は群を抜いて素晴らしいオープニングではないか、と思っています。

あと昨年のバービーも良かった笑。

 

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父との思い出を胸にコンタクトを取り続ける主人公が痛ましくも感じつつ、ある電波をキャッチします。調べ方がとても良いんですよね。しっかりと他の国と連携してこの受信した電波が人工的なものでないかをチェックします。

そして自然の数字列ではありえない素数列である事を確認する。これは割り切れない数字という事で、これは間違いなく知能をもった生命体が送ってきた電波である事が判明します。その後の展開でヴェガである事が判明する。

映画館で見た時、およそ40億年以上の歴史がある地球でようやく人が月に行ったくらいだというのに、4億年しか経ってないヴェガに文明があるという設定はあり得ないと思いながらも、それは自分の物差しでそう思っているだけであって、完全に否定できないところで未知の世界にとても心が躍動したのを憶えています。

当時は20代で若さを言い訳にしてはいけないけど笑、あまりに周りが見えていませんでした。

とにかくマシューマコノヒーにイラつきましたね笑。

私は宗教を信じてる人間など馬鹿だと思っていました。徹底的にこきおろしていたのだけど、マシューマコノヒーの言ってる事全てに腹が立っていました。

 

だからこそこの映画で自分がどれだけ浅はかだったか、わかる事になるのですが。

 

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エリーは実証されたものこそが事実であるという事を科学者として、自分の人生の1番大事な柱として生きています。
しかしその生き方が彼女を苦しめる事になる。証人喚問でのあのエリーを演じるジョディフォスターのあの表情。
あの表情を映画館で初めて見た時に、本当に悔しくて悔しくてたまらなくて、涙が出てきました。
エリーを問い詰める政治家や官僚がどれだけ多くの戦争を引き起こしてきたか、どれだけ歴史を歪めてきたか、そんな奴らがどうしてエリーを攻めることができるのか、冗談じゃないと思いました。

しかしその後の展開。いつ見ても扉を開けたそのシーンに大号泣してしまいます。後にも先にもこの映画くらい毎度泣かされてしまう映画はありませんw。

冒頭のオープニングシーンで様々な星々/銀河が映りますが、あれでも1000ピース以上あるパズルの1ピースにしかすぎません。それでもあれだけ星々があるという事は、個人的にも生命体はいる、あるいは誕生するだろうと思います。

 

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科学と宗教。水と油の関係と思っていたましたが、実際は隣あわせである。エリーは公聴会で自らの信条を否定する事になりますが、それは彼女自身が、マシューマコノヒー扮するパーマーの宗教価値観を否定した事と重なります。

 

神はいるのか?それをどうして否定できるのか。映画館でエンドロールを見ながら動けずに自分の未熟さを恥つつも新たな世界観を獲得して気分でとても爽快であったことを憶えています。

コンタクトという意味には宗教と科学の、未知なる世界に対してコンタクトをとる、という意味も含まれているし、エリーのコンタクトを取っていたようにヴェガの生命体も同じようにコンタクトをとっていたという流れはとてもドラマチックだなと思います。

 

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小説では5人の科学者を中心にストーリーは進んでいくのですが、ラストは計算された数字の中で0と1だけの数字で埋め尽くされた部分があります。ノート一面のページにゼロの数字で埋め尽くされた状態、そのページにマルを描く。
そのマルの描いた線が1という感じです。

 

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メッセージのポスターです。コンタクトの影響が伺えます。

天体物理学者でもあるカールセーガンの本音は別として、この宇宙は誰かが創造したものだという形で終わっていきます。映画を鑑賞後にこの小説を読んで、面白い終わり方だなぁと思いつつ、いまだに星空の写真を撮る時には様々な事を考えます。
夜空を見上げても、日常でも自分の中で神は見つけられていませんが、この映画の影響があってジョディフォスターは神のような存在だと崇めています。
彼女に迷信はするな、という映画でもあると説教されそうですが、それでもこの妄想に依存してこれからもニコニコ生きていければと思います。

 

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演出、演技、全てにおいてトップクラスの出来といえるこの映画をぜひ見ていただければと思います。