ドラマと映画の時間

U-NEXT、Netflix、ディズニー、Amazon、Appleプラスのドラマ、映画の感想と紹介をしていきます。

28.オススメドラマ 将軍/shogun


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今回は空前のヒットを飛ばして最終回を迎えたドラマ、将軍/shogunを紹介致したいと思います。

2回の記事にわたって将軍というドラマの魅力をご紹介したいと思っています。

このドラマは日本の豊臣秀吉が亡くなったあとの政治劇/抗争の歴史をモチーフにしたフィクションドラマです。

 

一回目のこの記事では日本の漫画やアニメ、ゴジラや日本の食文化が西洋でブームになっているだけでなく、海外ドラマ、特にドラマのアカデミー賞にあたるエミー賞の作品をはじめ日本映画に影響されて作られた作品が多数ある事が大きく影響して、その「実績」が今回のドラマ制作の後押しになっているのではないか、という事を書きたいと思っています。

またここがわかればより面白く見れるだろうポイント、カトリックプロテスタントの違いや、大陸と島国の歴史の違いを書きたいと思います。

 

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1.海外ドラマにおける日本映画の影響

 

私のブログをもし見てくださっている方ならばおそらく気づいてると思います。ゲームオブスローンズの記事にかなり詳しく書きました。今後もことある事にそれは指摘する事になると思いますが、改めて書きたいと思います。

 

日本映画で有名な監督といえば黒澤明が浮かびますが、黒澤明の作品で特にハリウッド映画や社会に影響を及ぼした映画があります。

野良犬、羅生門、生きる、七人の侍、用心棒、そして天国と地獄です。

太平洋戦争には映画に携わる人間も多く行ってました。有名なところでは小林正樹橋本忍などがそうですが、太平洋戦争後に戦争体験を反映された映画が次々に公開されます。

 

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国とは軍隊とは組織とはなんなのか。そのような鎖に縛られず、1人の人間として生きる。戦争体験と病に伏せて余命宣言をされた事がある橋本忍の書き上げた脚本を黒澤明が映画化します。

 

 

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有名なシーンでは余命いくばくもない志村喬/しむらたかし演じる渡辺課長が絶望に暮れていた時に、自分にもやる事があると階段を降りる、人生の階段を降りる時にバースデーソングがかかります。自分のやりたい事がわかって生まれ変わるという事です。

 

Netflixのブレイキングバッドという有名な作品の第一話では冴えない化学教師が、ガンを宣告されて家に帰ると誕生日パーティをやります。その時にテレビで警察が麻薬のアジトを踏み込むニュースを見ながらある事を決意します。これは黒澤明の生きるをヒントにしてると直感で思いました。

 

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また生きるのリメイク版も作られたましたし、他にもブレードランナー2049では生きる事をテーマとして誕生日を作るシーンがあったり、ラストの印象的な階段のシーンは黒澤明の生きるのオマージュでしょう。

 

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他にもクリントイーストウッドのグラントリノも生きるがモチーフになっています。凄いですね。

この10年間で4本もの作品の下敷きになっているわけですから。

 

他にも野良犬はtrue detectiveという作品がモチーフになっています。今度シーズン4が配信されますが、楽しみですね。U-NEXTで見れますが、true detectiveというのは警察のバディ/相棒ものシリーズです。2人のコンビの刑事が事件を解決していくストーリーなのですが、その先駆けになったのが黒澤明の野良犬なんですね。

 

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これがシーズン1です。


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こちらがシーズン2で黒澤明酔いどれ天使のストーリーを参考にしています。


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さらにこちらは羅生門を参考にしてます。


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そしてこちらが2024年の4月26日に配信が決定してます。

 

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さらにゲームオブスローンズです。この作品もかなり七人の侍の影響を受けてます。嘘だろ?と思う方がいらっしゃるかもしれませんが、この事を詳しく書いた記事があるのでぜひ読んで見てください。

 

https://spiralout.hateblo.jp/entry/2023/05/16/214330

 

そしてディズニープラスではマンダロリアンですね。こちらは黒澤明の用心棒と東映子連れ狼が参考にされていますね。

 

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他にもU-NEXTで配信されてるサクセッションは黒澤明の悪いヤツほどよく眠るを参考にしてますし、

 

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私が大大大大大好きな作品、BARRY/バリーは用心棒のストーリーラインをかなり意識して作られています。これが本当に気づくまでに時間がかかりましたが、本当によくぞこの視点からストーリーを組み立てたと、ただただ感心しきりで監督、脚本、制作総指揮、そして主演をやったビルヘイダーの才能には、ただただ驚くばかりでした。多分日本で気づいてるのは私だけだと思うのでw、こちらも必ず特集をしたいと思います。

本当に面白い作品なのでぜひ見てもらいたい作品です。

 

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わかりますでしょうか?もう答えがでてますw。

 

というわけで、海外ドラマが好きな方ならば、おそらくみんな知ってると思う作品だったりするし、実は挙げた作品は全てエミー賞の作品賞を受賞、またはノミネートされているばかりの作品です。ではなぜ黒澤明や日本映画が参考にしてるか?という事を解き明かしていきたいと思います。

 

2.日本映画の影響の大きさ

 

上記に示した通り、戦争体験が反映された映画が太平洋戦争後に作られています。

七人の侍もサムライ/政治家あるいは軍人と、農民/国民はお互いに仲が悪いが、一致団結して外敵を追い払うという映画です。

リアルな合戦は、ハリウッド映画でも衝撃を与えました。なぜならほとんどが勧善懲悪な物語しか作っていなかったからです。

 

わかりやすい悪に成敗をくだす正義の味方。

 

しかしそこに黒澤明の社会性に富みながらも、娯楽作品としても面白い七人の侍は、大きな影響を与え、海外の映画業界にもこの映画をみたら最後、勧善懲悪な物語は子供じみた映画に見えてきたし、そのような映画は作るのをやめて社会性に富んだ娯楽作品を作る事を模索しはじめます。

 

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奇しくも生きるや七人の侍アメリカで公開された当時は黒人は奴隷ではない、私たちにも人権を、と公民権運動が行われていた時代でした。

国とは、人種とは、人とは何か?ということを問いかける運動/デモ行進をやってる最中に黒澤明の社会性に富んだ作品が公開された訳です。

 

そのような映画を最前線で見ていたのがマーティンスコセッシであり、コッポラであり、スピルバーグであり、ジョージルーカスであり、スパイクリーだったのです。スパイクリーは現在、デンゼルワシントン主演で天国と地獄のリメイクを映画を制作しているとの事です。

 

その黒澤明チルドレンの映画をみて育ったのが、先にあげたドラマを制作した人達です。

 

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ストリーミングにおいて1番大きな事は、スポンサーを介さずともドラマが制作可能という事です。NetflixAmazonプライム、ディズニープラス、U-NEXTで配信されてるドラマ界の王者、HBOは視聴者と契約して、それを資本としてドラマ制作をしています。

日本でいう地上波のドラマはスポンサーありきでスポンサーの商品が買われる事が大前提で、なかなか暴力描写や性描写は描かれる事は滅多にありません。R指定がついてしまえばそれだけ視聴してる購買層は少なくなります。

 

ドラマを制作するクリエイターは常にスポンサーを意識しなければいけない。

 

それに対してストリーミングサービスの会社はスポンサーを限りなく意識しなくいいし、R指定もドラマが始まる前に警告の画面を出しておけばいい。クリエイターにとってはスポンサーを気にしなくていいのは大きな強味であって、多くの映画クリエイターがドラマ業界に入ってきます。

そして時代は黒人による少数派の人々がブラックライヴスマターという人権運動をやり、女性やLGBTQ🏳️‍🌈の人々の声を紡いだ作品が多く公開されたりしました。

 

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つまり質は違えど、国とは人間とはなにか?という問いかけが時代の渦巻く真ん中にあり、クリエイターはこぞって生々しい物語を制作するべく、映画全盛時代の、負けて初めて気づいた人とはなにか?という視線と叫び声を注ぎ込んだ黒澤明をはじめとした日本映画を参考にし、研究をしてドラマ化していったのです。そして上記に挙げたドラマは高く評価されて、制作会社は地位と名誉を確立していきました。

 

まぁ、それだけでなく、黒澤明の用心棒は初めて血が流れる演出した映画として有名なのですが、この後に東映の時代劇映画は、だったらもっと血の流れる映画を作ってやろうとストーリーそっちのけで血の流れる映画を量産するんですね。

代表作として子連れ狼という作品がありますが、映画史上初めてのスプラッター映画と言われていて、まー無茶苦茶な事をやります。

そのような映画がアメリカでバカ受けして日本刀は凄い、人間の身体を真っ二つにすると、ここいらへんから歪んだ日本をイメージした映画が作られたりするようになります。

つまりハリウッドの間違った日本、なんちゃって日本映画を作られるキッカケは東映のむちゃくちゃな日本映画から始まったんですねw

 

この2つの要素が大きくハリウッド映画を変えて、さらにドラマ業界にもいまだに影響力を持っているという事です。

 

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このディズニープラスで制作された将軍というドラマの背景には、日本映画のもたらした影響によって作られたドラマが高く評価されてる事という「実績」が後押しをしてるのは間違いないと思います。

正直、この上半期で最も話題になるであろうドラマは、三体とtrue detectiveシーズン4、simpathizerというドラマだったと思います。


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このドラマよりも現状として評価も話題も大きいのは、小さな島国の歴史的といえど実績をしっかり評価したディズニープラスの策略が功を奏したという事かなと思います。きっと虎永も笑っている事でしょう。

 

続いてはキリスト教の宗派の違いと歴史について、これがわかるとより将軍というドラマを深く楽しめる事を書いて行きたいと思います。

 

 

 

3.キリスト教の宗派の違い

 

まずはキリスト教カトリック教会とプロテスタントの違いを書いていきます。

カトリックとはローマ法皇が神の御言葉を伝える第一の人物で、ローマ教会の決定する事が大事とする宗派です。

 

ある時ルターという人物が声をあげます。

 

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彼の主張は聖書では神の前では誰もが平等でローマ法皇も同じであり、カトリック教会/バチカンが何もかも決断してそれに従うというのはおかしいのではないか、とカトリック教会に疑問を投げかけたのです。そしてカトリック教会が仕切るという事は聖書には書いてないし、聖書に準じて教会は全てを執り行うべきだ、と主張しました。

 

この一つの疑問の投げかけに地方の王族/貴族や農民がそれまでたまりに溜まった不満を爆発させて、一気に論争や戦争に発展しました。

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死んだ人からも税金を徴収したり、免罪符/死んだ人が無事に天国に行けるようにする制度があったり、かなり無茶苦茶に思える事をやっていたのですが、カトリック教会からしてみると、その権威を保つために教会を建立したりして色々な事にお金がかかるために、やっていた側面もあります。

 

仏教のお寺でも檀家が少なくなって大変だという話は聞きますが、檀家が少なくなるとお寺が維持できなくなるので大変です。同じような現象がカトリック教会にもあったという事です。

 

そしてカトリックのローマ教会が決定するのではなく、そこから分離して聖書の言葉を重視する大きな宗派がプロテスタントになります。宗派という言葉は違和感があるのですが、権威を保つために豪華絢爛といえばいいか、非常に絢爛な教会を建立したカトリックに対して、非常に質素なのがプロテスタントになります。そしてプロテスタントの勢いによって逆にローマ法皇並びにローマ教会の唱える事は絶対に守るべき、守らない人間は厳重に処罰すべきと生まれた集団がイエズス会です。

 

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さらにイギリスではヘンリー8世が妻と離婚して他の女性と結婚したいがために、離婚を許さないカトリック教会を脱退してイギリス国教会を作ります。このようにルターの一言と民衆の不満によってによってカトリック教会の信頼は失墜してその機に乗じて様々なアクションが生まれました。

この時代背景をわかっているとより将軍というドラマが楽しめると思います。

 

 

4.歴史的背景

 

島国日本と大陸との違いは言うならば侵略を受けた数が日本は少なく、それで独自の文化を形成した点があります。また海外との交流がなかったわけではないのですが、極めて自国内で完結する事が多く、大陸の社会形成と違って、村社会のような秩序が作られたと言っていいかも知れません。その政治体制は複雑でオスマン帝国と同じくらい、海外の人から見ると複雑だと思います。例えば今現在でも仏教の葬式一つとっても、仮通夜、通夜、告別式に鳥越法要と、どれが一体本当の葬式なのか?というのが海外の人にはわかりませんが、日本人にはわかってなくとも受け入れているところがあります。

 

仮に海外の人間で中世の日本と貿易商売をやるとしたら1番えらい人は誰か?そのえらい人に貢ぎ物を持っていくとなった場合、天皇を中心とした朝廷と、侍率いる幕府があって、権威が朝廷、権力が幕府、どっちがえらいの?となります。

 

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朝廷に貢ぎ物持って行って商売させてくださいと言ったら、幕府の人間がキレてるんだけど、どうして?守護、地頭ってなに?という事になったりしますw。

実は日本の歴史はかなり複雑なんですね。そして豊かでもあった、という事があります。

 

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ヨーロッパの食べ物といえば小麦、トマト、イモ、かぼちゃなど思い浮かべる事ができますが、トマト、イモ、カボチャやピーマンなどは実は南米を原種とした作物です。つまり南米を植民地化した事からヨーロッパに流入したのです。ですから食生活はそこまで豊かではなかった。もちろんギリシャなどは豊かな物産がありましたが、オスマン帝国の脅威にヨーロッパは怯えていましたから、貿易はほぼできていませんでした。

 

例えば中国の清族が中心となっていた清国では人口が末期までに3億人ほど増えたという資料があったりします。そして日本は質の高い金、銀がマカオなどで出回っていた事によって、黄金の国ジパングとして、どうしてもヨーロッパは貿易と植民地化したかった背景があります。それでコロンブスが旅立ち、アジアに着く前にアメリカ大陸に上陸したという歴史があります。

 

カトリック教会は世界規模で布教と共に権威の拡大、そして資金集める事によってより教会の母体を大きくしたい狙いがあった、というわけです。

 

アジアは貧しく弱かったからのちに中国、東南アジアは植民地化された、と思ってる人がいますが、それは真逆で豊かであったから狙われた、というのが本当です。

この後に植民地化を許した背景には根底には木炭から石炭へのエネルギー革命があって、そこにうまく移行出来なかった背景もあります。

 

このような歴史を知っておくとより楽しく深くこの将軍というドラマが見れると思います。本当はもっと歴史を事細かに書きたかったのですが、侍の歴史を書くと公地公民あたりから書かなければならないので、やめておきますw

残念💥💥💥

 

という訳で次回はドラマ将軍の感想と、将軍を見たいけど他に面白いドラマがあるのか、その事について書きたいと思います。

忙しいのでなんとも言えないのですが、

 

明後日までには次の記事がアップできたらな、と思っています

 

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