ドラマと映画の時間

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10.映画 13人の命 Amazonプライム

ゴールデンウィーク期間中にオススメ映画として大ヒット映画、トップガン/マーヴェリックを紹介しました。今回はもう一本、Amazonプライムのオリジナル映画、13人の命を紹介します。予告編はこちら⬇️⬇️⬇️

https://youtu.be/R068Si4eb3Y

 

2つの映画の共通点はスリリングな展開と不可能に近いミ

ッションを達成しようとするストーリーです。

トップガンはフィクションですが、こちらの13人の命は実話をもとにした映画です。

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Amazonプライムを開いた時に何気なくこのタイトルとあらすじを読んで、タイで13人のサッカー部員が閉じ込められた話か、と思いました。
ニュースで連日報道していたので憶えていました。ロンハワードといえばアポロ13で脱出劇映画を製作したので、ここでもまた脱出ものか〜とちょっと浮ついた感じで見てみました。

filmarksという映画レビューサイト/アプリの点数は4.0で見た方はほとんど絶賛してるのですが、その面白さに反してあまり見られてないような気がします。

個人的にAmazonプライムのオリジナル映画は数えて8本見ていますが、見返したくなる映画という意味では1番ですし、2022年に上映/配信された作品としても個人的にベスト映画ではケイコ目を澄ませて、カモンカモン、バルド、私は最悪、ベイビードライバー、トップガンというような映画と並んで素晴らしい出来の映画だと思います。

 

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実話だし救出作戦で実際に犠牲者が出てるので不謹慎な事は言えないけど、皮肉にも密室/洞窟という場所で、しかも水が満たされている中での救出劇というのは、パニック映画の設定を兼ね備えてしまっているという事。
しかし単純なパニック映画にせず、娯楽的要素と実話のバランスがよく、ロンハワードの手腕が光っています。

この潜水士達のような潜水技術があったとして、自分だったらどうするのか、ぜひ潜水士と同じ立場を意識して鑑賞してください。それを考えながら見るだけでもこの映画の面白さが倍になるし、人を救うという事はとてつもなく難しい判断の連続なんだという事を実感出来ます。
音楽的演出も少ない事で、それが逆にリアルで結末がわかっていてもドキドキするし作為的にならない。そしてなにより素晴らしかったのは、英雄譚として映画にしなかった事です。

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人種は関係ない。人間が人間を救うのだ、という事を意識して制作されているし、脚本もドキュメンタリータッチのようでいてかなり何度も書き直したと思います。

潜水士を演じた俳優も徹底的に個を消して演じていて、このような演技は評価されにくいけど、とても素晴らしかったと思います。

コリンファレルはイニシェリン島の精霊、バットマン、アフターヤン、そしてこの映画と2022年は話題作に出演していて、アカデミー主演男優賞とかなにか与えてやりたい心境になりましたね。とても素晴らしい俳優です。ちょっとホントに何か賞をやってほしいw。

 

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ここ数年の映画は120分をこえる長さの映画が多くて見るのを躊躇します。この映画も時間にして147分という長さでちょっと配信されてから一か月ほど敬遠していました。

ただ洞窟に水が流れ込んだ状況で、音楽もなく暗闇の状況が多いので時間はあっという間でした。

 

タイの俳優達の演技が素晴らしかったし、特に子供を持つ親の演技は迫真があって子を持つ親として胸を打たれました。

この映画は無言である事を指摘しています。

ここにいる子供達は普段慣れ親しんだ洞窟で雨季の時期でない限り、よく出入りして遊んでいた。

しかし雨季でないにも関わらず、水が流れ込んできた。環境の変化によって自然災害が多くなり、危険が迫っているという事。

 

Apple TVプラスで環境問題を訴えるドラマを見ましたが、個人的にはいただけませんでした。あまりに主張が強すぎで感情的になりすぎている。しかしこの映画は無言でありながら、実に考えさせてくれました。

もう一つ大きな点として、災害や遭難になった時にどう対処すべきか。山で遭難した時のよくある行動パターンの本を読んだ事があります。

遭難した際に歩いているうちに深い森に入り、視界が開けず、また音も木や植物に吸収されて静寂なので、その孤立感からパニック障害を引き起こすらしいです。ここに食糧や飲み水がないと、さらに悪い傾向を引き起こし、沢を下り始めて二度と登れなくなってそのまま絶えてしまうか、パニックになって崖から落ちてしまって身動きがとれなくなってしまうパターンが多いとの事です。

 

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想像してもらいたいのですが、洞窟の奥の方で明かりもなく閉ざされた空間で、食糧もなく子供とコーチだけでどうやってパニックにならないでいられるのか。大人でも耐えられないのに子供達が親に会いたいと泣き始めそれが伝染して皆でその悲しみが連鎖したら、パニック障害は起きるのは目に見えて明らかです。ケースバイケースですが山で遭難するよりも困難な状況かも知れません。なぜ、彼らはパニック障害を起こさなかったのか?

タイという仏教国だからこそというのは確かにありますが、これは災害に対する備えとしてとてつもなく大きな教訓であり、広く知られるべきではないか、と思います。

 

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ロンハワードは生き延びた子供達をとても敬意と尊敬の念を持っているのだと思いました。だからこそ絶対に商業的な視点で英雄譚として語るべきではないと感情的にならずに淡々とカメラに映像をおさめたのだと感じました。

とても好感が持てたし、映画そのものに学びもあるし、個人的にそういう映画がとても好きです。

子供を救うために国を越えて世界が一丸となる。
このような映画こそ世界中で劇場公開して観られるべきなのにAmazonプライム限定ってのはいただけない。
そこはとても残念でした。

こういう映画を撮らせたらキッチリ撮るなーとあらためて思いつつロンハワードのアポロ13バックドラフト、ビューティフルマインドと並ぶ傑作がまた作られました。


ぜひゴールデンウィーク中にトップガン/マーヴェリックと共に不可能なミッションに立ち向かうテーマを題材にしたこの13人の命をご覧ください。

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映画13人の命星5つに対して

 

個人的満足度:🌟🌟🌟🌟🌟

 

オススメ度🌟🌟🌟🌟🌟