ドラマと映画の時間

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11.映画:ザ・メニュー ディズニープラス配信

ゴールデンウィークも終わりに近づきつつありますがいかがお過ごしでしょうか?

今回はアガサクリスティの小説、そして誰もいなくなったをモチーフにして制作されたザ・メニューという映画と、小説をドラマ化した作品を紹介します。

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推理小説が大好きで、特にアガサクリスティは中学生の時に夢中になってからいまだに彼女の作品を読み返しています。

 

特にこのそして誰もいなくなったは20回は読み返している大好きな作品です。

まずディズニープラスで配信されている映画、ザメニューからの紹介からしたいと思います。

 

この映画はアガサクリスティの本を読んでなくても楽しめるとは思いますが、そして誰もいなくなったを読んでいればより楽しめて、よりこの作品のテーマがわかる作品になっています。

 

ただ今から読めとは言えませんし、今回は紹介ではなく完全ネタバレでいきたいと思います。ラストにいたるまでその意味を書きたいと思います。

もちろん、これはあくまで私の感想なので正しいかどうかはわかりませんが、確実にこれを読んでしまうと作品の面白さを損なうのは間違いないので、必ず鑑賞してから読んでくれればと思います。

ご注意下さい。

 

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まず冒頭の限定された人々だけが島に行けるという時点でアガサクリスティの小説、そして誰もいなくなったから着想を得ているのだなと思いました。
島に行くという時点でこのお客の結末はだいたいわかるというか、どういう風にそっちにもっていくのかという事を考えるようになる。

これはアガサクリスティもいれてイギリス人の、イギリス人によって制作された映画です。歴史的にも仲の悪いフランス料理を題材にした映画で、こっぴどくフランスの事を悪く言わないわけがない笑。

シェフは生も死も司るという立場というのは確かで、それは神が生を与え、死も与えるといえる立場でもある。でもストーリーが進むとその考えは神ではなくて、、、となってくる。
エスキリストはキリスト教において神の子と言われマリアが産みましたが、現代においてそのイエスキリストという存在が政治的にも商業的にも利用されて犠牲者も多くいるので、母親は産んで良かったのか、飲まずにはやってられないという事かなと思いました。

 

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主人公のマーゴという名前はマーガレットの略語です。マーガレットという花がありますが、花言葉は安らぎや癒しという意味らしいですね。
彼女がなにに対して安らぎを与えていたか。
ネブラスカアメリカの真ん中にあります。この地域は竜巻が起きやすいところで有名です。彼女はストーリーの竜巻の渦でありストーリーの真ん中にいるという事。

このレストランの大半はアメリカ人がお客です。そしてオーナーもアメリカ人。これはイギリス人が作った映画だが、相手にするのはアメリカ人でアメリカの会社によって作られているという事なのでしょう。そしてそのアメリカの資本主義的価値観によって世界が回っている事にウンザリしていると。とまぁ、万事がこんな感じで、名前から料理に至るまで徹頭徹尾、細工と演出がほどこされています。
正直5品目あたりからウンザリしつつ退屈になってしまいました。でもそうやって退屈になるのもこの映画は折り込みづみで退屈になるように作っている。

全てに意味を置いて演出をほどこしているのに、この演出にはどんな意味があるのか?という事ばかり考えてストーリーを味わう事ができない。

 

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フランス料理は料理だけでなく、お客にもある一定のマナーが必要として、同時に空間の一部になってもらう。でも生きる事は食べる事であり、フランス料理や芸術は、その自身の内包する欠陥によって自らをおとしめている、という事を指摘している。

とはいえあと50分くらいこの映画に付き合うのかよとウンザリしつつ、おそらく完璧である事が必ずしも心を満たしてくれるという事にはならないんだという事を言いたいんだろうなと思いました。

それはアガサクリスティのそして誰もいなくなったの結末と似ている,。ある犯行におよんだ犯人が最後、自分の犯行をした事を紙に書いてボトルに入れて海に投げ入れます。

大海原/人生で真実を見つけるのはほとんど不可能だ。そして仮に見つけたとしてもそこにいい事が書かれてるとは限らない、という事。

 

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食べる事で生きて、それができなくなったらこの世から去る。ただそれだけの事なのに、あまりに生きる事に仰々しくなって飾りつけていやしないか、死ぬ事もそうで、あまりにも大袈裟にしすぎていやしないか。
そういう事をテーマにしてるのは確かだろうなとは思いました。他にも恐怖によってコントロールすることや家父長制の事、恐怖政治、そしてフランスとアメリカの悪口を言いたかったのもあるでしょう笑。


でも伝えたかったテーマはそういう事ではない。

 

本当に伝えたかった事はアガサクリスティへの敬意と愛なのではないか、と思いました。

黒闇の海の中で船に漂っている、それは彼女の小説のラストに似ています。
アガサクリスティはボトルの中に書かれた真実というのは良い事が書かれているか別問題だ、として悲劇的な結末でしたが、マークマイロッド監督はアガサクリスティに対して、あなたが多くつむいできた物語のおかげで夢中になり、心を奪われ、世界は拡がり、豊かになったと伝えたかったのだと思います。

 

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アニャテイラージョイ演じるマーゴは、アガサクリスティ本人である。

 

ここで初めてマーゴ/安らぎと癒しという意味が輝いてくる。
チーズバーガーを食べるというのは、男性社会優位の世界を喰らい尽くすという意味にとれる。それはアガサクリスティが男性ばかりもてはやされた世界の中で戦い抜いた事と重なります。

そしてチーズバーガーはおそらく商業的な世界を喰らい尽くすという事ともとれるし、これは深読みしすぎかなと思うのですが、実はディズニーはアガサクリスティのナイル川殺人事件とオリエント急行の映画を制作しています。

ディズニー映画としてはできた映画ですが、アガサクリスティが喜ぶような映画であるかというと、到底喜ぶような映画とは言えない作品でした。
オーナーが海に沈むという意味がここで生きてくるような気がしますし、アガサクリスティがディズニーをくらい尽くすという意味にもとれます。まー深読みしすぎかな。f:id:spiralout:20230505220115j:image

 

正直、途中までは評価はマークマイロッド監督の意図はわかったけど退屈で星5つなら1くらいだなと思っていました。

しかし重層的な展開はアガサクリスティの小説と重なるし、ラストは100点満点なのは間違いない。

アガサクリスティが大好きな人ならば、誰もが思うのではないしょうか。

こういう敬意の表し方があるのだなと笑いました。これは拍手を贈らないわけにはいかない。あっぱれです。

 

ザ・メニュー、星5つに対し

 

個人的満足度🌟🌟🌟🌟

 

オススメ度🌟🌟🌟🌟

 

 

とても良かったです。でもフランスの方はぜひイギリス料理よ映画を作って欲しいですね。

美味しいカレーはイギリスにある、タイトルはこれでいきましょう。

 

引き続きそして誰もいなくなったのドラマについて語りたいと思います。

 

よろしくお願いします。

 

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