ドラマと映画の時間

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33.映画 フュリオサ 鑑賞後レビュー

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今回はMAD MAX SAGA、フュリオサを鑑賞しましたので、そのレビューとなります‼️

まず始めに私は作品自体は全て見ていますがそこまで熱狂的なファンではありません。

その中でもひっくり返るくらい面白かったのは9年前のMADMAX怒りのデスロードでしょう。

この作品のあまりのスケールのデカさとスリリングでかつ迫力あるアクションシーン、それに加えてバカバカしさ、汗、血みどろな展開に、なんつー映画だと笑いながら劇場で2回鑑賞した記憶がありますし、モノクロバージョンのBlu-rayも持っています。

 

その前日譚という事で、今回の主役はアニャテイラージョイで予告動画を見た当時から期待値はMAXになりました。

 

下の予告動画を見ていただきたいのですが、予告が始まって29秒くらいでフュリオサがマスクをしている姿が映ります。

これ完全に風の谷のナウシカナウシカじゃないか、、、?、、‼️と思いました。

 

https://youtu.be/LDptvI0QWQQ?si=5Y3ov2pnEMEkjjsC

 

ナウシカはある日突然現れた巨大な戦艦から村の守る人物として存在しています。フュリオサはどうでしょうか?予告動画を見た段階でブチ上がりました。それではレビューしたいと思います。

 

 

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まずストーリーについてはネタバレはしないようにしたいと思いますが、私は札幌の映画館で見たのですが、あまり人が入ってないので驚きました。

劇場の人に聞いてもやはり人が入っていないらしく、とても面白い映画なのにここまでヒットしてないのに驚いているとの事でした。

ですからまずは興味はあるけど見ようか迷ってる人や、何か見たいのだけど何見ようか迷ってる人を前提として、ジョージミラーが何を描きたかったのか、また影響された映画について言及していきたいと思います。

このフュリオサを鑑賞予定な人、あるいは鑑賞したいが忙しくて見れない人には、結果的にこのレビューは魅力を削がれる可能性が高いです。できれば鑑賞後に読んでいただければと思います。それでは参りましょう。

 

 

 

 

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まず主人公のフュリオサについてですが、上記に示した通り、が幼少期からナウシカに顔が似ている事が前提で俳優を選んでるのではないかと思いました。

 

実際にナウシカが風車を修理するシーンがあるけど、それに似たようなシーンがありました。もう一つ、終末後の世界観という点でも一致してるし、ある日突然、戦艦と軍隊がやってきた事から村を守ろうとするナウシカと、このフュリオサでは村の森に侵入者がやってきた事で事態が動くという点が大きく重なってくる。

監督のジョージミラーは運命にあらがう主人公をベースにした作品を作り続けています。

ナウシカも運命にあらがい戦う主人公ですから、かなりフュリオサにナウシカを投影してる部分が大きく感じました。この映画に興味のない人や見ようか迷っている人はその点で注目して欲しいと思います。

 

 

 

今回私が最も注目したのは悪役として存在するクリスヘムワーズ扮するディメンタスという存在です。いやはや雷神マイティソーとは全く違う、見事な悪役っぷりを演じていました。

そのルックス、たたずまい、存在感、もう一人の恐ろしいキャラクターのイモータンジョーよりも少し小粒だけどどこかユーモアがあって憎めないところがありました。

そしてもう一つ気づいた事があって、どことなくイエスキリストに似ているという点です。

 

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エスキリストは砂漠の民、ユダヤ人であり同時に神の子として誕生します。

ユダヤ教の神はユダヤ人だけでなく人種も肌の色も関係なく神を信奉すれば天国に行く事ができる、と民衆に説いて回ります。

しかしユダヤ人の歴史は砂漠という植物が生えない地域で生まれた事もあり、生存競争に負けて奴隷と虐殺が続く歴史でもありました。

その苦難の歴史からいつか私達/ユダヤ人を救ってくれる神が現れる事を願っていたのに、イエスキリストは奴隷化/虐殺したエジプト人ローマ帝国の人々も救われるという事を説いていたので、それは反ユダヤ主義だと言われてやがてローマ帝王の命令のもと、十字架につけられ処刑されます。

 

いわばディメンタスというキャラクターはイエスキリストに似てはいるが、その真逆で暴力と嘘と恐怖で支配をして存在している。

 

それは同時に映画を見ている私達は真実を信奉してるのではなく、恐怖と嘘によって固められた神を信奉してやいないか。

エスキリストでなくとも無宗教だとしても、パワースポットがあれば何がなんだかわからないが拝み倒し、ペットやぬいぐるみなどを可愛いというだけで天使のようだと言って人間よりも尊み、偶像化してやいないか。それは空虚でまるで砂漠の浮かぶ蜃気楼のようなもので、実体のないものである、それ自体が、畏れと憎しみを増幅させてやいないか。ディメンタスという人物を通してジョージミラーはそのことを言いたいのかなと推察しました。

 

 

 

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ストーリーはアダムとイヴがリンゴを食べた神話と重ねて始まります。そして監督のジョージミラーは砂漠という不毛の地帯でフュリオサが辿る戦いの道と人類の歴史を重ねていると推察しました。

それぞれが神は我についていると謳い、戦いに明け暮れ、人類は命を繋いできたが、それ以上にある物を守り続けてきた。いつもその物に犠牲になってきたというのに、その物を信奉し、犠牲になってゆく。

 

その物とはなにか?

 

 

その果てに人類には、この物語では何が実ったというのか。

 

ぜひ興味のない人も、ジョージミラーの心血注いだこのヒューマンドラマを見て欲しいと思います。

間違いなく今年の代表する一本だと思います。そしてこの後フュリオサは怒りのデスロードで何を運ぼうとするか、その事を考えるとジョージミラーの力強い意志が感じられます。諦めちゃいけないという希望がそこにありとても感動しました。

 

とまぁ、ずいぶん真面目に語ってしまいましたが、肝となるその世界観のぶっ飛び方は今回も健在で目を伏せたくなる描写はあるものの、ラジエーターの冷ます方法だとかあきれて笑ってみたり、本当に爆笑しそうになったり、とにかく心の底から面白いなーと思いました。

また黒澤明の影響をジョージミラーは受けていますが、二つの集団の抗争という点でも完全に用心棒を想起させます。その点でも日本人にはぜひ見てもらいたい。

 

 

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しかし本当にシビレました。特に車‼️そしてタンクローリー‼️野良犬または狼のように吠えまくるV8エンジンの爆音。

フュリオサがクランキーブラックなる車を爆走する姿はカッコいいと本当にしびれました。乗るべき者が乗って、唸るべき時に唸り、爆走していくあのシーン‼️

 

カッケェーわー‼️となりました。

またアニャテイラージョイの出演している作品もクィーンズギャンビット、ザ・メニュー、ラストインソーホーなど、主人公が抑制から解放される点、ファッションが実に主人公の意志と連動している映画に出続けている事と今回も重なります。

その点でもアニャテイラージョイの映画と言えます。ぜひご覧ください‼️

 

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