ドラマと映画の時間

U-NEXT、Netflix、ディズニー、Amazon、Appleプラスのドラマ、映画の感想と紹介をしていきます。

20.映画オッペンハイマー

今回は映画オッペンハイマーについてレビューしたいと思います。

もうすでにアカデミー賞を受賞していますし、多くの事を知っていると思います。

オッペンハイマーの人生を追っている映画なのでネタバレというのもなんですが、なぜクリストファーノーランが時系列をバラバラにしてわかりにくくしてるのか、その事について言及するのでなるべく鑑賞後にこのレビューを読んでいただければな、と思います。

 

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クリストファーノーランのオッペンハイマーは昨年のうちに友人が一足早くBlu-rayを買っていて、アメリカ版には日本語字幕がなくて内容がさっぱりわからないからという事で譲り受けました。

英語がわかるとはいえ、かなり専門用語も飛び交うし、字幕を見ながら鑑賞しましたが1回目はほとんど理解できなかった、というのが実際でした。

妻と話しながら2回目でようやく理解できた、という感じで、今回札幌のシネマフロンティアで3回目の鑑賞となりました。あらためてIMAXでの鑑賞は情報量が違うと共に音がとても重要なので、Blu-rayなど待たずに映画館での見る事をオススメします。

 

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ポスターそのものが全てを語っていると思いました。ポスターではオッペンハイマーの背後に鉄塔の部分が写っているけど、よく見ると背中から蜘蛛の巣のように広がりをみせている。これは原爆を作った事によって闇の部分の広がりをみせているような気がします。

同時にオッペンハイマーが牢屋、あるいは時空の檻の中に閉じ込められているかのようにも見える。

ノーランの時系列をいじってわかりにくくしてるのは、オッペンハイマーを決して英雄視させないためもあるけど、時系列をいじる事によってオッペンハイマーを時の檻から出さずに罰を与えているかのような印象を受けました。

 


そしてオッペンハイマーの眼差しは真っ正面を見てこちらを見ている。

もし俺や人々がオッペンハイマーのように原爆を作れる頭脳を、技術があったとするならば踏み止まれる勇気があるか?こちらの心をのぞいているかのように見えます。

 

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俺自身は昔からプラモデルを作るのが趣味だったし、バイクやパソコンを分解してどのような仕組みで動いているかみるのが好きでした。映画やドラマも見始めた途端に色々と考察してしまう。

そのようにして考察ばかりしてストーリーを楽しんでいない気がするし、バイクせよパソコンにせよ使って楽しむものを、そこにはあまり興味がない自分が今でもそんなに好きではありません。

そんな自分が19歳の時に物理を勉強してる友人に核分裂の話を詳しく聞いた時、脳が熱くなるような興奮をしつつ、しばらく熱病にかかったかのように考えていたのを憶えています。

俺自身の中にも巨大なオッペンハイマーがいるし、今まで取り入れてきた知恵の実の中にも、確かに毒はあった。

 

 

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広島の原爆資料館に行った時にどれだけ自分が覚悟もなく足を踏みいれたか、思い知らされました。今でもそこで買った写真集はめくる事はなくても自分の中での巨大な欲望の抑止力として、本棚に置いてあります。

映画内では広島や長崎の惨状が出てきませんし、少しだけ喜ぶ人々が悲鳴に変わっていく様にしても、はっきり言ってあんなものでは表しきれてない、というのが本音ではある。

ただこれだけ多くの人が鑑賞したというのは、大きな成果でもあるし、原爆によって戦争が終わったという認識のアメリカ人に本当の惨状を見せてここまで見られたかというと、そうではない。複雑な心境は今も変わりません。ただこの映画をできれば昨年の8月に公開できて日本でも議論がおきていればな、という想いは今も変わらず感じています。

 

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キャストの演技も素晴らしかった。DUNEpart 2でもオールスターキャストで画力がありましたが、このオッペンハイマーも同様に見事なオールスターキャストで、特に会話劇が盛んなので迫真の演技見れてそこは本当に楽しめた。特にロバート・ダウニー・Jr、エミリーブラント、フローレンスピューの演技は記憶に残るもので、フローレンスピューはDUNEにも出ていてドゥニビルヌーヴ、クリストファーノーランというこの2人の監督から信頼をおかれる俳優という事で、最も注目の俳優と言っていいでしょう。素晴らしかった。

 

 

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重力に星はもちこたえる事ができずにブラックホールになるという説を唱えたオッペンハイマー

監督のクリストファーノーランは、その罪によってブラックホールオッペンハイマーを閉じ込める様な構造で映画制作をしようと思ったのかなと感じたし、またその仕組みを理解して先走ってしまう欲望そのものも、永遠に出られないような構造にしたのだと推察します。

 

ゼウスがプロメテウスに与えた罰のように。

 

映画館のフロアに大きく貼られたポスターを真正面に、座って映画上映時間を待ちました。

ポスターのオッペンハイマーの背後にはハシゴがかけられている。

 


石を植える事より種を植える事。

 


アインシュタイン曰く、時間は一直線ではなく過去、現在、未来があるなど幻想だ。

ノーランのこだわり続けた時系列の変換と歴史の重みが結実した一作。個人的にノーラン作品では最も素晴らしい作品だと思います。

 

星🌟5つに対し

 

個人的満足度:🌟🌟🌟🌟

 

オススメ度:🌟🌟🌟🌟🌟

 

 

 

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19.DUNE 砂の惑星パート2 について

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久々の更新です。もう初めましてと言っていいでしょう、ドラマと映画が大好きな人間でございます。

昨年から少しずつ更新してきたのですが、仕事が忙しかったりコロナで痛い目をみたりしてました。

それでもドラマや映画をたくさんみてきましたので心機一転、ゆっくりマイペースでやっていきたいと思います。よろしくお願いします。

 

今回紹介するのは映画、DUNE/砂の惑星part2です。もう素晴らしい鑑賞体験でした。はっきり申し上げて今年の暫定的No.1映画です。原作も読んでいるのでより感動もしました。ストーリー上のネタバレはしませんが、本質的な部分で解説するので鑑賞されてない方はお気をつけください。

 

 

 

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これはもう映画館で鑑賞というより体験すべき映画で、ポールがサンドワームに、あるいは火ぶたが切って落とされる戦闘シーンには、本で読む以上の迫力と興奮を味わえました。

 


待ってた。この時を待っていたんだ、と万感迫る思いで、立て続けに二回観てしまいました。

前作PART 1も今回のPART2でも大幅に原作小説からカットされてはいます。

それでも納得いく出来で、ドゥニビルヌーヴはかなりサンドワームの進み方と映画のペースを意識したのではないか、と思いました。

 

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その進み方はサンドワームがゆっくりと砂漠と人間の欲望の底を這い進んでいくようでしたし、ラストにむけてのペースが急速に上がって様々な人間模様が繰り広げられるラストは、サンドワームがついに地上に姿を現したかのようなカタルシスがありました。

1、2を通して大幅にカットした部分と映像として映画にした事を考えると、やはりこれはドゥニビルヌーヴ自身の私的な映画であり、ルーツを遡っているのだろうなと推察しました。

 

ここからはDUNEの小説/映画のストーリーに隠された歴史を書きたいと思います。DUNEの小説を書いたフランクハーバートの秘めた想い、そしてドゥニビルヌーヴ監督のストーリーと共に描きたい事とは。もしかしたらこのDUNEをより面白く感じるかも知れないし、逆に損なうかもしれません。

今一度書くと、ストーリーのネタバレはしませんがDUNEの裏側に隠されたある神話と事実があり、この事をあてがいながらストーリーは進みます。なるべく鑑賞後に読んでいただければな、と思います。

 

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♉️ケツァルコアトル神話♉️

 


南米のアステカ、マヤ文明にはある共通の神話があります。ケツァルコルトル神話で、それぞれの地域によって神話が変わっていますが、ケツァルコルトルは羽毛の生えた蛇、と言われたりしてます。

人々に農業を与えた神であり、生贄の儀式をやめさせたと言われてもいます。この地の文明ではカカオはとても貴重な価値があり、貨幣価値としても機能してました。

そしてカカオ+とうもろこし+唐辛子を入れた強烈な強壮剤のショコラトルは王族のみが飲む事が許される飲み物でした。

神話では人身の生贄をやめさせた事でテスカトリポカという神の怒りを買って呪術によって作られた酒を誤って飲んでしまい、妹に暴力を振るってしまいます。

それに後悔したケツァルコルトルは美しい鳥となって金星に変わったとも言われるし、白い顔の者となってある時期に再び帰ってくるとも言われてました。

そのある時期に、見た事もない乗り物に乗ってきた集団が来ました。その集団をアステカ帝国のモンテスマ2世大王はケツァルコルトルの再来と信じてショコラトルを振る舞い歓迎します。

 

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その集団はスペイン人でした。のちにスペイン人は彼らを虐殺し、金、銀、動物、イモ、かぼちゃ、トマト、ピーマンなどをはじめとした食糧など強奪します。植民地時代の始まりです。そしてショコラトルはチョコレートという名に変わり、スペインの王族内で流行する飲み物変わりつつ、やがてヨーロッパ全土に広まりやがてパウダー化と砂糖の大量生産によって今のチョコレートとホットチョコレート/ココアと変わってきました。

 

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話をまとめます。duneの主演のティモシーシャラメは白人で鳥のようにフワリとした髪型をしていつつ、救世主として崇められそうな役としてPart1から演じていました。

ウォンカとチョコレート工場という作品も出ています。それはおそらくduneの主演してる事が大きいと思われます。

 

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さらにフレメンの民のリーダー的存在のスティルガー役のハビエルバルデムはスペイン人です。つまり植民地支配した側の人間が、虐殺される側の役をやっているという事になります。

ケツァルコルトルは決してワーム/ミミズではないですが、羽毛の生えた蛇という言い伝えと似てはいると思うし、今回の映画ではそのサンドワームから抽出された液体がストーリーに重要な役割があります。

 

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それはケツァルコルトル神話でいうショコラトルにあたると推察します。

フローレンスピューはイギリス人。巨大な無敵艦隊と言われたスペインとのつながりも想像できてしまう。

他にもいくつかありますが、まあそんなところです。

原作小説は大幅にカットしつつduneはケツァルコルトルの神話をなぞるようにストーリー展開してるようにも見えます。

 

 

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ドゥニビルヌーヴは移民と空虚な主人公をテーマに映画を撮り続けている監督だと思います。代表例はボーダーラインかなと思います。

このduneでもそのテーマ性は変わらず、そして作られるであろう次作に関して、原作小説を読んでいる者としてその結末を考えた時に、このDUNE Part2のエンドクレジットが終わっても座席から離れられずにいました。

 


ドゥニビルヌーヴの、移民としてカナダに移り住んだ彼の持つ底知れぬ闇。砂漠という植物が育たぬ死の地で、死肉を争うような歴史を重ねて、ドゥニはずっと砂漠を彷徨っているのだなと感じました。

 

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ドゥニビルヌーヴだけではなく、それは自分にも当てはまる。日本人とて多くはユーラシア、中国大陸から流れ着いた流浪の民でもある。

王族もいたろうが、多くは戦禍を逃れてきた難民だった可能性も高くある。結局私達とてドゥニと同じ砂漠を彷徨っているのだ、と思います。

 

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ラストのあのカット。サンドワームを呼び、待ち受けるあの人物のように強くありたいと思いました。


鑑賞、いや体験する時はぜひIMAXで。飲み物はホットチョコレートがオススメです。

 

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18.オススメ海外ドラマ:窓際のスパイ

前回に引き続きオススメスパイアクション作品を紹介します。Amazonプライムのシタデル、Netflixのナイトエージェント、Apple TV➕のリエゾン、そして多少イレギュラーですがディズニープラスのキャシアンアンドーを紹介しました。

 

そしてとりわけスパイアクション、あるいはサスペンスドラマとして個人的満足度、オススメ度共に5つの星をつけたいドラマがこの窓際のスパイです。

予告編はこちら⬇️⬇️⬇️

https://youtu.be/O9ZJChzPn0U

 

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厳密にに言えばスパイものだけどアクションドラマではないかな。ただこれは見て欲しいイチオシのドラマですし、2023年見ているドラマの中でもNetflixビーフ、U-NEXTで配信されてるメディア王と並んで面白いドラマだと感じています。

 

MI6/エムアイ6から飛ばされて落ち目の連中がある誘拐を捜査します。この誘拐の捜査は1シーズン通して捜査されるのですが、この間にメンバーもなぜ飛ばされて落ち目になってスラウハウス/泥の家に来る事になったのかが描かれます。

 

まぁホントにこの手があったかと感心しました。イギリスのスパイものと言えばジェームズボンド。ハンサムなボンドがあらゆる難敵を倒して問題を解決するというというところが見どころだけど、これを全て逆転した話。

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タイトル通り窓際族、落ちこぼれ集団でゲイリーオールドマンのひねくれ加減が酷すぎて笑えます。

 

これがこうです。

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イングリッシュマン特有の後味の悪いブラックユーモアのセンスを全てぶちこんだ最悪の人間をゲイリーオールドマンが本当によく演じてる。出てくる言葉はグチか文句ばかりでひどすぎる。

見どころは組織内部の駆け引きがとてもヒリヒリしていてとても良かったし、このパターンのストーリーは見た事がなかったのでとても新鮮でした。シーズン2も同じ2022年に配信されたみたいで一気見したけど、こちらの方が笑えるところが沢山あって面白かったです。

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特にコールドプレイのサイテンティストという曲がずっとかかる所は大爆笑しました。過去の戻ってやり直そうという曲だったけど、あれがひっきりなしにかかるというシーンはうまいな〜と思いました。

 

シーズン2も立て続けに見たけど、個人的にはシーズン1の方が笑える場面が多かったので好きでした。
こちらはやはり仲間に悲劇が最初の方で起きるので、ちょっとコメディ要素がなくなってしまって少し魅力が落ちた印象がありました。

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とはいえサスペンスドラマとしては極上で、充分満足のいくものでした。窓際族の落ちこぼれという設定をうまく利用したストーリー構造になっているし、なぜゲイリーオールドマンが落ちこぼれの集団のリーダーなのか、それが明かされる展開はとても良かった。

そしてコールドプレイのサイテンティストという曲をシーズン1では笑える展開に使っていたのに、今回は感動しましたね。見事でした。できればこの曲のMVを見るとストーリーに深みがますかもしれません。


https://youtu.be/RB-RcX5DS5A

 

シーズン3の予告もあったので2023年内に配信されるかわからないけど、これは本当に楽しみです。コメディ要素にもう少し時間を割いてもらえればと思いますが、どうなのかな。

 

書きたい事は色々あるのですが、これ以上情報は入れずまっさらで楽しんでいただけたらと思います。

Apple TVプラスは本当にラインナップが充実しています。テッドラッソのシーズン3も相変わらず安定的に面白いですし、サイロというSFドラマもなかなか面白く今年の代表する一本の予感がします。

 

 

というわけでスパイアクションものが充実してる事を書いてみました。それぞれ好みがあると思うので視聴の際には参考にしていただければと思います。

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窓際のスパイ、星🌟5つに対して

 

個人的満足度:🌟🌟🌟🌟🌟

 

オススメ度:🌟🌟🌟🌟🌟

 

2シーズン通してオール5です。ぜひご視聴してみてください。ありがとうございました😊

 

 

17.海外ドラマはスパイアクションが流行中

今回はAmazonプライムNetflixApple tvプラスで大型スパイアクションドラマがあるのでそれぞれ紹介していきたいと思います。

それぞれの動画配信サービスでは当然様々なジャンルを作っている事をアピールする事によって顧客を増やしていきたい思惑があると思いますが、人気コンテンツの一つとしてスパイアクションドラマをずいぶんアピールしてるような気もします。

Amazonプライムのcitadelはまだ5話まで配信されたばかりで終わってない状態です。

 

 

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Netflix:ナイトエージェント

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FBI捜査官のピーターサザーランドは夜の緊急電話番号がかかってきた時に対応する電話番だったが、ある緊急電話によってホワイトハウスに潜んでいるスパイの陰謀に巻き込まれてゆく、、というストーリー。

 

明らかにキーファーサザーランド主演の大ヒットドラマ24を意識したドラマで、主人公の苗字がサザーランドというのはちょっとおかしかったですね。

見ようかなと思ってトレイラー見た後にあらすじ読んで笑いました。

率直に言って荒唐無稽といえばいいか、ありえない事も受け入れた上で見るべきドラマです。

あと俳優の演技もお世辞にもうまいとは言えないというか、ちょっとこんな捜査官も補佐官もシークレットサービスもいないと思ったりしました。でも話し運びのうまさ、緊張感漂う雰囲気、キレのあるアクション、ソファで寝そべりせんべいを食べながら、妻にこりゃまたソファを汚してと叱られるな、と思いながら見て楽しめたのは確かです。

予想以上に怒られましたが。

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24以降の王道ドラマと言って良いと思うし、見ながらNetflixが作ったという事実を考えました。ちょっと意外に思われる方も多かったのではないでしょうか。明らかに今まで作ってきたNetflixドラマとは気肌が違うと思いました。

Netflixは格安サービスを提供したり事業見直しを計っています。昨年1899というヒットしたのにも関わらず打ち切りにしたりして話題にもなりました。多額の予算を注ぎ込んで制作するドラマよりも、イカゲームのように少ない予算でもNetflix史上1番視聴されたようなドラマを制作するべきと方針を変えたところがある。

方針展開した上でのこの24を意識したドラマがヒットするかどうかNetflix側としてはかなり注目していた作品ではないかと推察しました。

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もうシーズン2の制作が決定したみたいですが、Netflix2020年代は王道ドラマを量産していくのかなと思ったりしました。個人的にシーズン2は見るかどうかは微妙ですが、多くの視聴者から支持される理由は充分納得できるレベルです。

 

ナイトエージェント星5つに対して

 

個人的満足度:🌟🌟

 

オススメ度:🌟🌟🌟🌟

 

Amazonプライム:CITADEL

 

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現在5話まで配信中です。マーベル映画、アベンジャーズでお馴染みのルッソ兄弟が手がける作品。なかなか面白いです。こちらは007がベースにした作りになっています。冒頭のド派手なアクションシーンからグイグイ見せ場がありますがやがて記憶喪失になり、なんかそんな映画あったなーという展開になってきます。

007をベースにしてるという事は、それなりに荒唐無稽であるという事ですが、主演のリチャードマッデンとプリヤンカーチョープラーの演技の達者さがドラマを退屈にさせません。かなりあり得ない話しなので苦笑いを浮かべてしまいますが、なんとなく許してしまう不思議さがある。ルッソ兄弟らしい作品といえばいいか、ソファで寝ながらせんべいを食べるのではなく、ちゃんと皿を持ってこぼさないようにして集中してテレビを見るような力があります。

ルッソ兄弟の作品にシリアスな社会派ドラマを求める人はいないというか、こういうのを楽しむ前提で見る作品だと思います。

ですから自然に個人的満足度、オススメ度も3以上になるのは間違いないと思う出来です。

終わったらあらためて感想記事を書きたいと思います。

 

 

Apple TVプラス:リエゾン

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これは個人的満足度は高いけど人にオススメするという点ではややどうかな?と思いました。

フランス、イギリスの合作ですが、双方共にヨーロッパをリードするべき存在です。だがイギリスはEUから脱退した事で分裂気味になっているが、仮にイギリスが脱退してもフランスもイギリスもやるべき事は変わらないし、離れられないのだ、という事がストーリーの中でも主要キャストの関係にもにもあらわれていると思います。

本格的、シリアスなスパイものですが、情に走るところとかこの重要な局面に?という気持ちになったし、そこいらへんがフランス人らしいというか、理解できないところといえばいいか。ただラストは好みでした。

 

シーズン2が作られるか微妙かなと思いつつ、作られたら見るのは間違いないかなというのが感想です。

 

リエゾン星⭐️5つに対して

 

個人的満足度:🌟🌟🌟

 

オススメ度:🌟🌟🌟

 

ディズニープラス:キャシアンアンドー

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こちらはスターウォーズ/ローグワンの主人公、キャシアンアンドーの生涯にスポットライトを当てたドラマです。

これはもしかしたらスターウォーズをこよなく愛してる人ほど微妙で、社会派ドラマやヒューマンドラマが好きな人ほど絶賛する内容かも知れません。

スターウォーズのファンタジーな部分よりも民主主義について焦点をあてたドラマで、スターウォーズを全く知らない人でも大丈夫な作品です。

 

正直無理矢理ねじ込みましたw。スパイアクションものではないですが敵側に潜伏しますし、実際帝国側についてるとみせて反乱軍の手助けをしている人物もいます。ここの人間模様がとても緊張感があってよいし、尊厳と自由を奪取さらには人生そのものをなげうたなければいけないという事を独白するシーンはとても感動しました。

まだ配信未定のシーズン2では反乱軍のリーダーとしてスパイ活動もする事になったりすると思います。そういう意味でも無理矢理ではありますが紹介したいと思います。

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最初に3話あたりはブレードランナーを彷彿される未来観があるのですが、かなりスローペースで眠くなります。しかしミッションをしてからとてもグイグイ引き込まれました。

ユダヤ系や身体障害者の人々の収容して惨殺したアウシュビッツ刑務所をイメージさせるシーンがあったりするし、その刑務所の中で宣言と行動をするシーンは、それこそナチスによって殺された人々の想いとその刑務所の中にいて苦しんで死んでいった人々の夢を体現するかのようでボロボロ泣きました。

スターウォーズといえばライトセーバーとフォースでジェダイが戦うシーンがありますが、そういうシーンは一切ないところが個人的には好感が持てるポイントでした。故にスターウォーズファンから物足りなさがあるという点も理解できます。

帝国側にむしばまられていく様で必死に抵抗する様はとても緊張感があっていいし、しっかりと普遍的なテーマに基づいて揺るぎなく力強い作品になっているところも魅力です。

スターウォーズ作品は見たくない、という人もぜひ見てもらいたい作品です。

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キャシアンアンドー星🌟5つに対して

 

個人的満足度:🌟🌟🌟🌟🌟

 

オススメ度:🌟🌟🌟🌟🌟

 

次の記事ではApple TVプラスの窓際のスパイを紹介したいと思います。

こちらは今回のスパイアクション作品の中では最も素晴らしい作品だったので窓際のスパイのみ紹介したいと思います。

 

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16.マンダロリアンについて ディズニープラス

今回はマンダロリアンを紹介したいと思います。

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マンダロリアンは映画スターウォーズから生まれたシリーズで、ドラマではシーズン3まで制作されているディズニープラスでは人気コンテンツとなっています。

これはスターウォーズを見てない人でもオススメしたいドラマです。スカッと面白いドラマを見たいというならば、この作品が1番オススメです。スターウォーズを見てない方もいると思いますが、マンダロリアンの場合は見てなくとも大丈夫です。もちろん見ていた方がより楽しめますが、問題ありません。このドラマはだいたい30分くらいでサクサク見れるというところも良いところですね。

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さて前回の記事でゲームオブスローンズと日本映画とその歴史について書きました。

実はこの続きがマンダロリアンと関係してきます。知ってる人も多いと思いますが、ゲームオブスローンズでマンダロリアン役のペドロパスカルは出演してますし、この出演が大きくマンダロリアンに関係してると思います。

 

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詳しくはぜひ前回の記事を読んでいただきたいのですが、ザックリ書くとゲームオブスローンズは七人の侍の影響がかなり影響がある事。

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七人の侍は農民は国民で、侍は政治家や軍部の人間でお互い仲は悪いが、共に結託して盗賊を打ち倒すという社会構造を入れ込んだ七人の侍に対して、ゲームオブスローンズもかつて七王国のイギリスの歴史を下敷きにしつつ、お互い地方/国で仲は悪いが、最後は結託しながら謎の軍団と戦うという流れがあります。

現代でもイギリス、ヨーロッパの北部にはロシアという強敵があるのだから仲悪くせずに共に結託する事をベースにおいてもいるドラマだという事です。

 

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黒澤明や脚本家の橋本忍、他にも多くの映画人は太平洋戦争を経験した者であり、かつ従軍していました。

国のために死ねと言われて育ち、結果的に敗戦してそのような精神性は完全に否定された。

国とはなにか。

人間とはなんなのか。

 

太平洋戦争、第二次世界大戦戦勝国アメリカやハリウッドにはそのような問いかけは発動しなかった。それゆえにいつも同じ勧善懲悪な物語やラヴロマンスばかり量産されていました。

敗戦国の人間だからこそ、そのような問いかけが発動し、映画や小説の世界に満ちていきます。

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ハリウッド含め世界の映画業界は羅生門、生きるという映画にかつてないヒューマンドラマを見た上に七人の侍でさらに社会的構造が含んだドラマと、雨の中で泥まみれになりながら戦う戦闘シーンに度肝を抜かれます。

さらに血の演出を入れた用心棒と椿三十郎でその衝撃はさらなるものになった。

 

クールでハンサムな俳優とプロポーションが抜群の女優が主要キャストを務め、泥まみれになるなんてあり得ない時代に、世界中の映画業界は衝撃を受けます。自分達はあまりに子供じみた事ばかり、毎回同じ事ばかりやっていやしないか。

日本の、黒澤明の映画からしてみるとあまりに志もストーリーもレベルの低い事をやっていやしないか。

そして日本の小林正樹大島渚溝口健二小津安二郎など日本の映画が世界中の人々を魅了していきつつ、ハリウッドを含めた世界の映画業界はリアル志向に方向転換していきます。

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現在はストリーミングサービスの時代になり、契約してる視聴者から毎月定額料金を徴収するこのビジネスモデルは、スポンサーの意向は地上波のテレビや映画ほど影響は受けません。

ヨーロッパにあった歴史、リアルな戦闘シーンを盛り込みつつストーリーを展開したゲームオブスローンズは、到底地上波での放送できる内容ではないが、世界で大ヒットして2010年代の代表的なドラマとして玉座に君臨しました。また実はブレイキングバットも黒澤明の生きるから大きな影響を受けているドラマです。

 

こちらもいずれ書きたいと思いますが、チラッとその事を載せていますので、ぜひ前の記事を読んでいただけたらと思います。前置きが長くなりましたが、ここを踏まえてマンダロリアンとのつながりを書いていきます。

 

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まずは七人の侍によって日本では時代劇のあり方が変わってしまった事。それまではチャンチャンバラバラやるチャンバラが主流だったのに、リアルな演出が大きな影響を与え、さらに用心棒、椿三十郎の血の流れる演出で、映画を見る観客の目がリアル志向になり、もうチャンバラ劇はヒットしなくなります。

特に東映は大打撃でした。時代劇をメインにしていたからです。

東映大映のスタジオから独立した新興企業でしたが、資金難で金がなく映画制作もままならない状況でした。

松竹、東宝大映黒澤明の世界的に評価されたのを受けて、こぞって世界に向けて映画祭に出品できるような、いわば文芸作品を作る事に活路を開いていこうとします。

しかし東映は違いました。予算がかかる文芸作品は制作できず子供が好きな時代劇ばかりを量産していました。子供向けの映画としてジャリすくいと他の映画会社からバカにされていたそうです。

 

それでも戦争が終わり、時代劇が作れるようになって空前の大ヒットが続きます。文芸作品が作れなくとも、質が悪いと言われようとも、ヒットする事が多額の借金のある新興会社には絶対条件でした。

空前のヒットを飛ばしていてもここで黒澤明のリアル志向で社会構造の含んだ時代劇によってまったくヒットしなくなったと。

これによって東映の時代劇も変わらず得ません。

血が流れる演出を見て、だったらもっと血を流す演出をした過激なヤツを作れば良いと、ストーリーそっちのけで血まみれ映画を量産していきます。

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特に十七人の忍者は有名で、これが忍者を知らないアメリカなんかではヒットしました。

つまりハリウッドでも黒澤明のように血が流れる演出をして子供じみた物語は作らないようにしよう。そしてそこに小林正樹切腹だとか重たいヒューマンドラマに衝撃を受けつつ、東映のヒューマンドラマは関係ない血みどろだが軽すぎる作品にも衝撃を受ける。

そして極めつけの軽い作品の代表作が勝新太郎こと勝プロダクションで作られた兄の若山富三郎主演の子連れ狼です。

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腕、頭、ありとあらゆる部位が飛び、子供を入れた乳母車からはヤリが飛び、さらにはマシンガンのような物まで装着して子供が撃ちまくり敵をズタボロにしてゆく。

ハリウッドなんかは特に驚いたと思います。乳母車からヤリとか銃とか子供が撃ったりなんなん?この映画なんなん?っ具合に。でもこれがオオウケして大ヒットします。

 

奇しくもスプラッター映画の始まりともいえるこの作品に世界中が衝撃を受けて、さらにそんな簡単に毎回毎回スパッと人間の部位が斬れるわけではないのに日本の刀はヤバいと、勝手に日本刀に対して刀信奉とも言うべき崇拝をはじめてハリウッドはじめ多くの映画に日本刀が出るようになるというかw。

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ゲームオブスローンズはストリーミングサービスが始まってファンタジー作品でありながらリアル志向な作品であり、七人の侍の影響が強くある。

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子連れ狼という作品は七人の侍や用心棒、椿三十郎があってこその作品である。マンダロリアンもゲームオブスローンズのヒットによって制作された可能性は高い。

この両者は互いに歴史の延長上にあって、ゲームオブスローンズやマンダロリアンを見る事によって歴史の追体験ができると言えば大袈裟ですが、同じ系譜を辿っているのは間違いないと思います。

 

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☆アクション映画の変革

 

おそらく日本刀の斬れ味の凄味というか、本当の部分でも誤解してる部分でもやはり黒澤明の用心棒と椿三十郎だと思います。一瞬にして斬り倒す迫力あるシーンがありますが、これでかなりアクション映画は変わったと思います。

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西洋のアクション映画では銃による、いわゆるガンアクションがメインですが二人で対決するシーンはなかなか同じ画面で二人の男が向き合って撃ち合うというシーンは距離が近すぎて迫力にかけるというか。

しかし椿三十郎のラストの対決シーンなんかは違います。二人が同じ画面に向き合うからこそできるシーンです。そして刀で斬ると血がドバッと噴き出る。これを私も中学の時にテレビで見ましたが、いまだにあの対決シーンを超える作品はないと思います。それくらいインパクトがあった。

 

そしてこれはなかなかガンアクションではできない。しかも血の流れる演出なんてまだ日本の客も世界の客も見慣れてないのだから、そのインパクトたるものや絶大な効果があったと思います。

ですからスターウォーズはガンアクションではなくライトセーバーで最終的には斬り合うという流れが生まれるわけですね。

 

もしスターウォーズが最終的にガンアクションで決着をつけるならばここまでヒットしないし、熱心なフォロワーもそんなにいなかったのではないか、と思います。

ちなみにジョージルーカスは三船敏郎にオビワンケノービの役を打診した事は有名な話ですが、これには大きなワケがあります。

黒澤明三船敏郎が俳優のなりたての頃に酔いどれ天使という作品でヤクザのボスを演じさせます。

続いて野良犬という作品で新人の刑事役で、七人の侍では侍になりたい農民の役として村を守る役になり、天国と地獄では会社の幹部の役として人を牽引する役、そして黒澤明との最後の作品の赤ひげでは医者として人を癒す役をやります。

酔いどれ天使のヤクザの親分から赤ひげでは人を癒すという、人間の成長譚物語としての側面もあります。

 

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オビワンケノービはジェダイの騎士という役で、フォースというパワーを持って人々を守る役です。

赤ひげの人々を癒す役からさらに神格化したポジションとしてジョージルーカスは三船敏郎にぜひ出てもらいたいと思っていたし、どれだけ尊敬してるのかがわかります。

 

残念ながらそのオビワンケノービの役は実現できませんでしたが、これができていたら、アジアのキャストに対するハリウッドの姿勢も当時から違ったものになっていたかも知れません。まぁ、それは言っても仕方ない事ですし、アレックギネスのあの落ち着いたたたずまいは本当に素晴らしいです。

ちなみにディズニープラスのオビワンケノービは見てません。ちょっと映画のエピソード8、9があまりにひどかったと感じたため、熱が冷めてしまい、マンダロリアンとキャシアンアンドーは見ましたが、フォースを使える人間の物語はちょっと見る気になりません。

 

 

マンダロリアンシーズン3

 

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というわけでマンダロリアンについてその物語の面白さだけでなく、日本映画との関わり合いやこの作品を視聴する事によって歴史の追体験できるところもあるという事を書いてきました。

 

もちろん様々な影響を受けているので日本映画だけの影響だけではありません。それについては今後、シーズンごとを振り返りながら書いていきたいと思います。

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シーズン3はネタバレありの感想はシーズン4の時にあらためて書きたいと思います。

今回のシーズンはコメディ要素もあったり、過去のシリーズよりもゆっくりとしたテンポで進んでいるような点があげられると思いますが、どちらかと言えば、前シリーズまでの緊張感溢れる展開でそんなにコメディ要素はなくとも良かったかなと思ったりしました。

ただマンダロリアンにはコメディ要素が欠けているという人ももちろんいらっしゃると思いますので、個人的な感想です。

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でも第6話でサプライズゲストが出てきたのは嬉しかったですね。2023年のフジロックのトリでもあるあの人はとても緊張していて笑ってしまいました。その旦那役は余裕たっぷりな感じで演技していてとても良かった。

ただあの6話自体もう少しなんとかならなかったかなと思ったりもしました。

とは言ってもラスト2話はとても面白く、満足がいくものでした。

 

全体的には次のシリーズに向けてのポップステップ、だったと思います。次のシーズンはこの助走を踏まえて確実に傑作シリーズになるのではないかと思います。楽しみですね。

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ここ最近は海外ドラマ、Netflixで話題になっている相撲のドラマ、サンクチュアリもそうですが、落ちこぼれから成り上がる物語が量産されつつあると思います。特にNetflixイカゲーム、イジメられた人間が復讐するグローリー、ディズニープラスでは過去の犯罪からボクシングにうちこむマイクタイソンの自伝ドラマ、タイソンなどあります。

背景にはアメリカでも白人よりもラテン、アジア、黒人という有色人種が多数派になり、世界的にも白人よりも有色人種の方が多くなります。

 

ストリーミングサービス自体、世界の人々が相手になるので、そうなると必然的に有色人種の方も主要キャストになってくる。

韓国ドラマの勢いはそこにもあります。今まで脚光を浴びなかった国、土地、そして人々が表舞台に立ち、世界に立ち向かい、ここにいると確かなストーリーで世界を席巻していく。

 

マンダロリアンも日陰者として、用心棒として恐れられていたが、ついにシーズン3では大きく変わっていきます。ついに日陰から表舞台へ。

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様々な人種、宇宙生物w、そして思想とスタイルが違えどもこれからどのような方向にストーリーは進んでゆくのか。

確実に時代を掴んでいるこのマンダロリアンをぜひ見ていただければと思います。

 

 

マンダロリアン/シーズン3

 

星⭐️5つに対して

 

個人的満足度:🌟🌟🌟

 

オススメ度:🌟🌟🌟🌟🌟

 

見てない方はぜひシーズン1から見ていただければと思います。またディズニープラスの面白いドラマも近々特集するつもりです。

 

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15,ゲームオブスローンズと日本映画

今回はU-NEXTで配信されているゲームオブスローンズとディズニープラスで配信されてるマンダロリアンについてを紹介します。

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今回はゲームオブスローンズについて。これはU-NEXTに入っていたり、あるいはこの作品を見てない方に、このゲームオブスローンズがどれだけ歴史的意味があるか、書きたいと思います。かなり暴力描写もあるので子供は厳禁は当然のこと、見る前に注意してください。

まだマンダロリアンも知ってる方も多いと思いますが、日本の子連れ狼という作品がとても大きな意味を持っています。この子連れ狼がなぜアメリカで大ヒットしたのか、わかるとマンダロリアン自体の見方も変わってくると思うのでぜひ読んでいただけたらと思います。

ただゲームオブスローンズはあまりに膨大な情報量で、一回でレビューする事は難しいですし、このブログでは複数回に渡ってゆっくりと解説していきたいと思っています。

 

また鑑賞/視聴済みの方は、ゲームオブスローンズ、ハウスオブザドラゴンを詳しく解説している心はウェスタロスという番組がありますので、そちらをぜひ聞く事をオススメします。おそらく日本で1番詳しく解説してくれている番組で私も愛聴しています。

 

Spotifyでこちらから聞けます。

https://open.spotify.com/show/2lV1RNIKbb4rgPptYNzkmm?si=z5QbEqu_QhGVOFANn76eQQ

 

 

そして見た事がない人は個人的にはゲームオブスローンズの前日譚であるハウスオブザドラゴンから見る事をオススメします。

そちらの方が多分物語に入りやすいのではないか、と個人的に思います。

 

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ゲームオブスローンズは大好きなドラマです。まだ終わってない原作小説も読んでますが、今回は黒澤明の映画とゲームオブスローンズについて言及していきたいと思います。

イギリスの歴史を中心に様々な影響を受けていて黒澤明だけではありません。

ただ映画史において黒澤明と日本映画がもたらした影響がとてつもなく大きく、映画/ドラマの根幹部分である脚本、演出、演技、全てにおいて制作サイドの意識を塗り替えたのは間違いなくて、それはゲームオブスローンズにも色濃く反映されているし、同時にゲームオブスローンズによって新たにドラマ制作が変わった、という事を書いていきたいと思います。

 

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1.黒澤明とゲームオブスローンズ

まずはストリーミングサービス/動画配信サービスの人気を世界中に決定づけた作品として有名なのが2010年代ではゲームオブスローンズとNetflixのブレイキングバッドが有名です。

ゲームオブスローンズはイギリスとその周辺の歴史を参考にしつつファンタジーも入れて制作されたこの作品は大人も楽しめる作品としてとして幅広く支持され、いまだに絶大な人気を誇りつつもこれからもゲームオブスローンズの続編はあと10年は制作され続けられる事でしょう。

 

いわばスターウォーズシリーズが長い歴史を誇るように、このゲームオブスローンズも同じように長い歴史を持つ作品になっています。

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これはゲームオブスローンズの制作者が認めているところですが、黒澤明の映画に影響をゲームオブスローンズは受けてるという事を話しています。

 

その最も影響を受けている作品が七人の侍です。

 

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七人の侍は小さな村の農民に雇われて一緒に村を襲う野盗を撃退するという作品です。農民と侍の仲はとても悪い。侍はいくさに明け暮れ、田畑を荒らすからです。そして侍も普段は知らぬ存ぜぬと下を向いて生きてるくせに、何かあれば、都合の良い時だけ助けてくれ、と頼みこんでくる農民が嫌いです。その両者が利害は一致しないが団結して野盗と戦うというストーリーです。

ゲームオブスローンズは謎の軍団を撃退すべくお互いの国/地方同士仲が悪いが一致団結して敵を撃退するという話です。

七人の侍もゲームオブスローンズもお互い仲は悪いが団結して戦うという点では一緒です。

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そしてゲームオブスローンズのシーズン5では泥まみれになって戦うシーンがあります。これは明らかに七人の侍のオマージュでしょう。さらにもう一つ共通点があります。

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それはリアルな演出を盛り込んでいるところ。

 

七人の侍は社会構造を盛り込んでいます。侍とは政治家であり、軍人である事。知らぬ存ぜぬ下を向いている農民は国民の事です。政治家は国民のために、国民は政治家をしっかり監視してないと野盗/海外からの侵入者にやられるぞという事を娯楽作品に盛り込んでいます。

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ゲームオブスローンズはどうか。7つの王国が歪みあっている状態です。これはイギリスの歴史においても7つの王国だった時代があり、その当時の事がモチーフになっています。そして現在においても実際にもめているという内実があります。イギリスという呼び名はスコットランドアイルランドウェールズ地方などと人々からしてみると、一緒にしないでくれ、と思う人は大勢います。

 

原作の氷と炎の歌の作者は、その長年にわたって繰り広げてきた戦いと未だに根強い対立感情を嘆いている部分があるし、イギリスは、ヨーロッパは、北部の地域にはロシアという国家がある事を念頭にして書かれている部分はあるのかなと思います。この事については七王国時代と照らし合わせてゲームオブスローンズ特集をいつかやりたいと思います。

 

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七人の侍の話に戻ります。七人の侍の制作者の多くは太平洋戦争に従軍した人が多かったから、リアルな戦闘シーンが展開していました。森の中から銃撃されるシーンは、おそらくジャングルで戦ったリアルな体験から脚本にまとめられたものではないかと思います。

これは日本の映画史においても、ハリウッドを中心として映画業界にもなかった事でした。

さらに用心棒、椿三十郎では、黒澤明は血が流れる演出をします。これも日本でも海外でもなかった事でした。

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つまり、七人の侍でリアルな社会背景と戦いを盛り込んだ作品に世界中は度肝を抜かれた上に、用心棒、椿三十郎でまるで本当に人を斬ったかのような血がでる演出で、その後の映画の歴史を塗り替えたわけです。

ちなみに椿三十郎の決闘シーンを見守る役で田中邦衛加山雄三がいますが、決闘シーンでどんな結末になるか知らなかったらしく、本当に斬り殺したとビビったらしいですw。リアルに驚いてる表情はいつ見ても面白いですね。

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日本のチャンチャンバラバラよろしくチャンバラの時代劇に限らず、ハリウッドの西部劇も勧善懲悪で。今でならありきたりな事しかやっていなかったところに、まともな社会背景をぶち込んだ作品を見て衝撃を受けた上に、そこで血の演出を見た多くの映画界の人々は、もう自分達のやっている事が全て子供じみた事をやってると思ったし、ここで一気にチャンバラ的な事はやめてリアル志向な演出をするように転換する事になったのです。

さらにこの1959年に公開された映画を調べてみると、美男美女が主演をはっています。

 

主人公の男は常にクールな役で、女性はお姫様的な役が多い。しかし七人の侍三船敏郎はヒゲがのびてる上に汚らしい身なりで、クールなところは一つもなく感情を爆発するかのような演技をする。その上で雨で泥まみれになって叫びまくるような演出はまず日本でも世界でも考えられない事でした。

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かつハリウッドは雨がほとんど降りません。機材も雨に濡れたら壊れるので雨の中での撮影はしないのは当たり前でした。

ですが黒澤明の映画は雨のシーンが多いという事も撮影の仕方が変わりました。

つまり脚本、演出、演技、撮影の仕方、全てにおいて黒澤明の映画は映画/ドラマ業界に影響を与えたわけです。

 

そしてリアル志向な演出とヒューマンドラマを盛り込んだ映画が量産されていき、映画のシナリオと映画館やテレビドラマの質も変えていった背景があります。

 

それで映画は文芸作品/芸術と呼べるくらい高い位置を獲得したし、同時に商業/産業として大きな発展をしていく事になります。だがこれが同時に弊害も起こした。

 

映画館/テレビ共に商業主義が肥大化して鑑賞/視聴者が喜ぶもの、問いかけるドラマよりも、スポンサーが喜ぶ娯楽作品が作られるようになったし、それによってラヴシーンや暴力映写は好まれなくなりました。

 

R指定がつけば見られる人が限られてくる。スポンサーは好まない。そうするとありきたりな物語ばかり作られるようになる。ある意味で映画、テレビドラマの衰退は自身の内包する問題によって魅力を削がれる結果になってしまった。

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そこにきたのがストリーミングサービスです。スマホで、PCで、好きな時間に好きなだけ見られる定額サービスによって大きく変わりました。

 

視聴者はアメリカではなくヨーロッパでもなく、世界中の人々です。場所も時も選ばない。世界中の人々が好むドラマは何か。Netflixにせよゲームオブスローンズ制作のHBOにせよ、この会社の利点は今時点ではスポンサーに気を使う必要がない事です。毎月定額料金を徴収して成り立つビジネススタイルですから。

 

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映画/ドラマの監督やクリエイターにとって大きな弊害はスポンサーです。彼らスポンサーがノーと言えばそれで終わりです。しかしnetflix やHBOはそこに大きな障害をクリアしている。

 

多くのクリエイターがNetflix、HBOに流れていき、優秀なクリエイターがつくとそこには当然有名な俳優もついていきます。

 

名作と言われるほとんどは悲劇です。悲劇にはかつてあったむごたらしい戦いがあり、それにともなう絶望と情愛がある。つまり暴力とラヴシーンはある程度つきものになってくる。

ストリーミングサービスの最大の利点は、過激描写が含まれてますという警告を一枚貼っておけば良いところですw。言ってしまえば本当にそうで、それだけでOKなところです。しかし映画館や日本の地上波テレビはそうはいきません。

あーー。

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話をまとめます。かつて映画に新たな改革をもたらした一つの大きな因子は、日本の映画でした。まだ暴力映写やラヴシーンにそこまでうるさくない時代でしたから、クリエイターはこぞって描きました。それによって作品自体に深みがましたわけです。

そして現在、形も質も違うけど時代性が似ている。ストリーミングサービスでは暴力/性的映写があるならば警告を出すだけでいい。

 

ゲームオブスローンズはイギリス、ヨーロッパの歴史をモチーフにしてかつてキリスト教が布教する前の、男性同士が愛し合ったりするような現実をしっかり映していたり、遊牧民の生活となぜ強いかという事を見せていたり、薔薇戦争七王国時代、カノッサの屈辱に近い現象を映像化していたり、歴史が好きな人からしてもなるほどこんな感じだったかもな、と説得力に溢れるストーリー展開でした。そして戦闘シーンは特に臭い/匂い以外は全て見せるというくらい迫力ある一方でで、その残酷さからいかに愚かな事かという事を見せています。その説得力のある演出で、日本でいう歴史を扱った大河ドラマを見ている感覚になってくるし、少なくともこのドラマを見た後に日本の大河ドラマはちょっと見る気にはなれないですw。あまりに天下泰平、世のため人のためという薄っぺらい記号にもたれすぎている。

ゲームオブスローンズの原作の氷と炎の歌は、奇しくも七人の侍と同じような構造?をした物語であり、制作サイドは黒澤明の映画を徹底的に参考にしたのは間違いないです。

 

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似てるなぁと思うのは俺だけでしょうか?七人の侍三船敏郎は侍になりたいと思ってるがその身分ゆえになれない農民の男の役でした。

ジョンスノウは落とし子として差別され優遇されない役です。両者の境遇も似ていますね。

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ドヴォイが出た時は、あ、志村喬/しむらたかしだ、と思いましたw。という事はザコキャラでは死なないなと推察したし、役柄も同じような立ち位置です。

 

ってか志村喬は映画史上最も影響を与えた俳優の1人だという事は断言できます。その事は今回は書きませんが、バットマン、ブレイキングバッド、ブレードランナー 、リーサルウェポン、セブン、他クリントイーストウッドの作品関連、true detective、とにかく志村喬の影を見る事ができます。

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偶然の一致ではないんですね。

 

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ブレイキングバッドの彼と生きるの彼。なぜなのか?

バットマンダークナイトのゴードン警部。これも偶然似てるというわけではありません。

こちらも理由がちゃんとあります。

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このように見ると黒澤明は形も質も違うけどシェイクスピアのような存在に近いくらい影響力のある人だという事がわかりますが、

もっと深く掘りさげると、それは日本が第二次世界大戦で敗戦国になったという事にあるのではないかと思います。

 

国のために死ねと学校の教科書には書かれていて、多くの人々が死んでいった。戦争が終わるとその教科書は全て黒く塗り潰されて、なかった事になっていた。

政治家や軍部の人間は責任を取ったのはごく一部で、その犠牲者の数と責任を取った数は比較にならない。

 

国とはなにか。人とはなにか。ヒューマンドラマにおいて向き合わざる得ないこのテーマは、戦争に負けた国の人間だから向き合う事ができたのだと思います。

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黒澤明は確かに影響力はあります。でもそれ以上に政治、戦争に翻弄された人生の数々がそこにあった、という事が大きな「気づき」を与えのだと思います。これは戦勝国の人では考えられなかった。

 

黒澤明と組んだ橋本忍という脚本家がいます。名作のほとんどが悲劇と示しましたが、彼の書く脚本ほど悲劇をまとった作品はありません。

 

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橋本忍は軍隊に入り、戦争に行ったが結核によって余命数年と言われて帰国しました。帰国した際に見舞いに来た父親からは、死ぬなら迷惑かけずに死んでくれ、と言われたとの事です。

戦争で死ぬ事が名誉と言われた時代に、戦いもせずに帰って来た息子を一家の恥とみなしたのでしょう。

その後、同じ部隊であった仲間はインパール大作戦でほぼ戦死して、戦争は終結した。国のために死ねと言われたその教訓という亡霊が頭の中に居座り、自分は死ねなかった思いに際悩まされつつ、その政治家に、軍部に、この国に怒りと哀しみを滲ませたのではないかと思います。悲劇を書く理由は充分過ぎるほどあった。

 

黒澤明橋生きるという映画を制作します。余命いくばくもない男の一生をテーマにしたストーリーを、かつて余命宣告された橋本忍に脚本を書かせます。橋本忍はある男の一生のストーリーをつむぎながら、最終的には社会や周りの人間は何も変わらないというストーリーを考えました。

 

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周りの人間がわかってくれなくとも、社会が変わらなくとも、それが一体なんだというのか。それはあなたの人生となんの関係もない。評価と賞賛されるために人の人生はあるわけではない。

祖国の暴走によって人生を翻弄され充分すぎるほどの怒りと哀しみをもった男の脚本の根底には国や社会に対しての不信感がある。

かつて男性はより戦いに勝つような男性像を求められ、女性はそんな男性に好かれるような女性が求められた時代です。

そのような幻想が作り出した社会に、国に、一体なんの意味があるのか、それよりも自分の人生を必死に歩むべきだ、と映画で訴えたわけです。暗闇の雪の降る下でブランコに乗る男の物語は、世界中に静かに、しかし確かな衝撃をもたらしました。

 

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生きるという事はどういう事か?そこで初めて映画は、制作者達は考えはじめた。私達は幻想に浸かっていただけではないか?

そこから国や社会の構造を下敷きにした七人の侍が公開されて、政治家、軍部、貴族と庶民の関係をアメリカでもヨーロッパでもその映画から見出しつつ、娯楽作品だけでなく幾つもの人生を、そしてそれにともなう悲劇を描くようになり、人権の尊重が求められ、その頃アメリカでは少数派の人々である黒人をはじめとした有色人種に少しずつ人権が求められてくる。

1990年ごろにはアメリカの少数派の黒人のスパイクリーがマルコムXなどの作品にて、私達もここにいる、と人権と尊重を訴えます。怒りと哀しみを持って。

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そして現在、少数派であり弱い立場の存在にとどまらざるを得なかった女性やLGBTQプラスの人々も私達はここにいて、生きているのだ、という事をテーマに盛り込んだドラマが制作されている。

 

ゲームオブスローンズもそういう側面はとてもある。女性やLGBTQの人々には息苦しくなる瞬間はとてもあると思うけど、残酷な運命に翻弄されながらドラマ内での女性達の立ち位置はどうなるのか。

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歴史は権力者によってページはめくられますが、書く文字はいつも少数派の人々の言葉で紡がれてゆく。その始まりはいつも悲劇を経験した人々からです。黒澤明橋本忍の影響は確かに絶大ですが、それは多くの失った人生の叫びからきているという事ではないかと思います。生きる、七人の侍で、生きる事と社会構造ともなった物語が紡がれた事。

 

弱い立場にとどまらざるを得なかった女性やLGBTQプラスの人々の事をファンタジーに盛り込みつつ、社会構造を盛り込んだ作品をストリーミングサービスという新たな空間で配信されたゲームオブスローンズ。

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奇しくもゲームオブスローンズの主要人物はアイルランドケルト系の血を引いた俳優がだったりする。ケルト系の人々はのちにゲルマン系、デーン人にズタズタにされた歴史があります。そのような歴史と血をもつ俳優が物語の主要キャストである事は偶然ではないのかなと思います。

 

ぜひU-NEXTに加入されたならこの作品は見てもらいたいなと思います。この作品は面白いだけでなく、形も質も違うけど、歴史を追体験する事でもあるし、自分達がその歴史の一部である事が実感できるからです。

まー歴史好きな妄想と言ったらそれまでだけどw、これは本当に大きな転換地点にいるという事が少しでもわかっていただければ幸いです。

 

今後先もゲームオブスローンズ、ハウスオブドラゴンに関しては記事を書いていきたいと思います。今回は違った切り口から書いてみました。ぜひドラマを見ながら、心はウェスタロスも聞いてドラマの関心を深めていただければな、と思います。

 

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実は最初マンダロリアンのシーズン3が終わったので、その感想を書きたいと思っていて、日本の歴史とこのゲームオブスローンズの事を書かないとなぜマンダロリアンが作られたか、その経緯がわからないんですね。ちょっとだけゲームオブスローンズの事を書いてマンダロリアンのはずだったのが、書いてるうちに長くなってしまってw。

 

こりゃゲームオブスローンズ特集第一弾にした方が良いと思って書きました。次にマンダロリアンの事を書きたいと思います。かなりこちらは面白いと思いますので、ぜひ読んでいただけたら幸いです。明日の夜にアップします‼️

 

 

 

 

 

14.U-NEXTのオススメドラマ

 

海外ドラマの傾向の次にU-NEXTのオススメドラマについて書きたいと思います。

動画ストリーミングサービスでオススメは?と言われたら迷いなくU-NEXTをオススメします。問題はU-NEXTと他に何に入るか、が問題というか、それくらいU-NEXTで配信されるHBOドラマが大好きです。

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料金が高いからという意見はわかります。月額負担は大きいですが、無料期間も1ヶ月あるのでぜひ試していただければと思います。

さて前回は最近のドラマの傾向を書きました。まずはアメリカでは白人よりも黒人、アジア、ラテンの有色人種の方が白人層よりも多くなるので、有色人種の主人公が増えているという事。そして西洋近代社会/白人の作り上げた世界の終焉を予感させる作品が作られている事。

 

次に高齢化社会に突入しているので、その事をテーマにしたドラマが作られている事。

 

そしてLGBTQや女性を中心としたドラマが増えているという事です。

 

遠くから見れば喜劇で近くで見ると悲劇というプロットによってヒューマンドラマやコメディドラマが作られてるのが多く、ヨーロッパ全体の歴史が殺戮が何度となくあり、一神教の内包するある点が悲劇を引き起こしているという事から、常に悲惨な現状が待っていて、泣くのを通り越して笑うしかない、悲惨であればあるだけ笑いに変える、それを茶化す、茶化せば茶化すだけ真実が炙り出される、という事を書きました。詳しくは前回の記事を参照していただければと思います。

ではU-NEXTオススメのドラマを紹介しましょう。

 

 

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メディア王/華麗なる一族

 

映画のアカデミー賞にあたるエミー賞をこの作品は受賞できるか?ではなく、いくつ受賞するのだろうか?が焦点になるでしょう、大傑作のこの作品。全10話まであって5月現在7話まで配信されてますが、もう面白すぎて早く続きが見たいが、もうあと3話で終わってしまうのか、と寂しさも募っています。

メディアを創業しながら手広く事業を運営している一家。

まだ子供達に事業は継がせないと意気込む父親と誰が後継者になるのか、という一家のお家騒動です。

 

それはかつてからある王家の姿でもあり、その王家に振り回される周囲の歴史でもあり、それを食い潰そうとする他の王家の存在もある。そして白人層よりも有色人種の方がが人口比率において増えていく現在で、かつて辣腕を振るい、多くの犠牲者も共に出した王家の、西洋近代社会/白人の作り上げた世界の終焉を予感させるところもある。

時代をあけ渡さない高齢者の姿、白人ばかりが主要キャストをしめる事によって、その違和感を引き出している人種問題。

アメリカの現状と問題を全てこの物語で語りながら、メディア/真実を伝えるという事を土台にして、今までのあるいはこれからも変わらぬ人間の真実の姿をあらわすこのドラマは、ドラマ史上に名を残すのは間違いないです。いずれ最終回を迎えたらやりたいと思います。おそらくエミー賞でも俳優陣はノミネートされるでしょうが、ここでも骨肉の戦いが繰り広げられるでしょう。

 

遠くから見ると喜劇、近くで見ると悲劇、見ている私達ももしかしたら悲劇の1人かも、、、。2023年現在、見るべきドラマNo.1です。

シーズン4で完結。 

 

ハウスオブザドラゴン

 

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エミー賞の行方を左右する上で、メディア王/サクセッションの受賞を阻む対抗馬として間違いなく名乗りを上げるならこのハウスオブザドラゴンとNetflixのベターコウルソウルではないでしょうか。

 

こちらも後継者は誰か?こちらも父親が第一後継者として娘を指名しますが、女性である事を理由に違和感を唱える者がいて、やがて不穏な空気がたちこめてその不穏な空気がやがて大きな波になり、少しずつ巨大な渦になっていき、欲望もトグロを巻いて全て巻き込んでいきます。この緊張感、この描き方、全てにおいて手を汗握り、もう終わりだ、始まるぞ、始まってしまうというストーリーがたまりません。残酷な描写があったりするので苦手な人は多いかも知れませんが、U-NEXTのお試し期間中にぜひ見て欲しい作品です。

シーズン1全10話

 

 

ラストオブアス

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これ本当にゲーム原作なの?ゲームを全くやらない自分としてはとても驚きました。こちらも第1シーズンが終わったばかりですが、エミー賞に必ず絡んでくる作品でオススメする作品です。第一話の完成度の高さ、ゲームを知らなくてもその細かなところまで再現してるのがわかるセットの凄さ、緊迫感の溢れる展開とこちらも全てにおいてこれでなにも受賞できないのは可哀想というくらい、素晴らしい出来になっています。お互い警戒しながらもかけがえのない存在として旅路を続けるそのストーリーはとても素晴らしかった。

こちらも無料期間中にぜひ見ていただきたいです。

全9話。

 

ダークマテリアルズ/ライラの冒険


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さっきから大人が見るようなドラマの過激な描写が多いドラマばかりオススメしてましたが、実はU-NEXTに入ってない方も、入ってる方も見てもらいたいドラマはこちらです。おそらく小学生3年あたりから見れるようなドラマになっています。自分の息子も小学2年ですが、第1シーズンは人身売買など子供が標的になるシーンがあるので、そこは早送りで飛ばしましたが、それ以外は夢中で見てました。

 

ちなみに施設で働いている看護師はAmazonプライムの力の指輪で主人公役をやっている女優です。

宗教と科学の対立、犠牲になる子供、環境問題と動物、物語と別に色々と考えさせてくれるドラマで大人でも充分見れます。というか、かなりハマりました。

正直、ストーリー展開にイマイチ感はあります。コロナ禍も影響してるし、シーズン2まではとても素晴らしかったのですが、結末まで至る展開はちょっとなー、というポイントはありますが、でもラストは戦いよりも子供達に何を伝えたいか、そこにとても重きを置いていてそれがかなり胸を打たれました。

そこはゆずらないというか、展開そのものに欠点があってもラストだけは本当に丁寧に描いていて完璧でなくとも、記憶に残るドラマだったと思います。こちらのドラマに関しては詳しくレビューをしたいと思います。無料期間中にシーズン1だけでもぜひ見て欲しいですね。

シーズン3で完結です。シーズン1は1話およそ1時間で全8話。

 

イルマヴェップ

 

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映画が大好きな人、ミニシアター系の映画を好んで見に行くにはオススメのドラマはこちらイルマヴェップがオススメです。

俳優とは精霊で映画とは魔術的儀式。

この台詞が気に入りました。演じるとはなにか。映画とは、そして見る側はなぜ見るのか。そして、、、

スポンサー、わがままな俳優、プライベートなゴタゴタ、全てが混乱していくが、回を重ねる事によってどんどんと闇夜に暗躍し、私たち見る者を魅了するある姿がそこにある。個人的に昨年のNo.2のドラマでした。もうすでに2回見ていますが、また見たい。おそらくエミー賞の1シーズンのみのリミテッド部門でもノミネートされると思います。

無料期間中にどうぞ。

8話完結です。

 

ステーション11

 

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ベストセラーになった原作のドラマ化。個人的昨年のNO,1作品です。

映画も通して1番印象に残った作品でした。コロナ禍に公開されたのが不運だったかな。

ストーリーはパンデミックを引き起こして人類はの多くは死んでしまってその後を描いた作品です。

世界経済は破綻しても文化は残る。転々と移動しながらシェイクスピアを演じる旅一座の物語。

ヒロムライの演出が本当に素晴らしくて、第1話は特に良かった。

つながっていないストーリーがやがてつながってくる展開や、舞台を中心に活動してる旅一座の話だけあって空港の回ではその広さを活かして舞台劇のように見せる展開は本当に素晴らしかった。

物語は再生へと動きますが、ラストはとても印象的でした。原作自体が村上春樹の影響があると思われます。

 

舞台が好きな人、映画が好きな人、それぞれ刺さる部分はあると思います。この静かで美しく、哀しくてそれでも生きる事を、歩く事をやめない物語をぜひ見ていただきたいです。いずれ詳しくレビューしたいです。

 

全8話で完結。

 

サムバディサムウェア

 

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面白いのはわかる。けど大掛かりなセットや予算を使った作品は見てると疲れる。そういう作品ではなくてもっと生活感のあるようなものが見たいという時があります。

このサムバディサムウェアはそういう時にオススメです。誰も知らない俳優ばかりでそこがちょっと見てみようという気になったのですが、これはホントにごく普通の日常で幸せなるというのはとても大変なのだという事がわかる一方で、同時に見ている側に寄り添ってくれるドラマです。静かな感動がそこにある。

アメリカではシーズン2が配信されていて、HBO maxの4月のチャートではトップ10に入る人気になっています。

 

ここでは誰か殺されたり、飛んだり、レザービームを撃ったりする人はいません。ごくありふれた日常です。隅に追いやられた人々が、ささやかに祝杯を上げ、笑おうと懸命に生きている。

そしてこちらまで笑顔になり、泣けてくる。ぜひご覧ください。

はやくシーズン2が見たいです。アメリカでは静かながらこのドラマとても支持されているようです。

 

 

ジ・オファー

 

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ゴッドファーザーを見てない人も見た人もこのドラマはオススメですし、ぜひ無料期間中にご覧ください。

プロデューサーの仕事って大変なんだなと思いつつ、マフィアものの映画を作るのはかなり命懸けなんだなというのもわかります。

やや簡潔にまとめすぎかなと思ったりもしましたが、でもラストはとても良かった。映画史に誇る1ページの裏側をぜひ堪能してください。

あれ?ジョージルーカスじゃね?って思う人物が写り込んでいたり、他の有名な映画セットが写っていたり小さな部分でもこだわりのある作りになっています。

 

 

ウイニングタイム

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NBAのLAレイカーズの買収、そしてマジックジョンソンを加入させて一年目を描いた作品。

八村塁が現在レイカーズで活躍中です。バスケが好きでこれからジョーダンのドキュメンタリーやアップルプラスでステファンカリーのドキュメンタリーも見たらレビューしたいと思っていますが、レブロンと同じメイトだという事自体だけで凄いのに、彼の活躍はとても元気をもらえます。

ウォーリアーズを下した先日の一戦は泣けましたね。

コッテリ油っこいドラマですが、こんな時代があったのかとびっくり驚いてしまうような内容でバスケファンならずとも楽しめる内容となっています。

白人の無謀極まりない社長、そしてかつていなかった明るい笑顔で恐れ知らずのマジックジョンソン。

チームメイトとぶつかりながらもチャンピオンロードを走ってゆく。

ややセルティックスやラリーバードを悪者にしすぎる演出は気に入らなかったですが、それぞれチームメイトの黒人が過去に受けた苦しみを盛り込みながらそれを乗り越えようとするマジックジョンソンの躍動はとても現在を現していると思います。

 

シーズン2が制作されるとの事ですが、シーズン1は全10話、1時間ドラマです。

 

チェリノブイリ

 

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今までの作品は昨年配信されたドラマばかりですが、HBO作品でも最も有名な作品はゲームオブスローンズとこのチェリノブイリでしょう。

別に日常の延長上にある問題なので社会派ドラマという言葉自体好きではないですが、原発事故を扱った作品でここまで緊張感をみなぎらせ、そして最後の裁判で真実をあぶり出して終わる見事な展開は、見事です。

福島原発事故があったからトラウマは日本人にはあります。しかしこの作品はなぜ博士は死ななければいけなかったのか、その真相を探る作りにもなっているし、原発が爆発して以来、あるミッションをやらなければいけないというシーンでは、見ている視聴者がそのミッションに挑んでいるかのような演出になっています。

実は上記で紹介したラストオブアスの製作陣が作っているのですが、ゲームというかある一種の体験型ドラマのような作りになっていてとても演出が上手い。いずれウクライナの歴史と合わせて書きたいと思います。

その歴史自体を知るとウクライナの人々がなぜロシアに対してあれだけ抵抗するのかがわかります。

全5話、無料期間中にぜひどうぞ。一話見ると止まりませんが、一気に見るのはもしかしたら精神的負担が大きいかも知れません。

 

他にもいっぱいあります。NOPEやゲットアウトでお馴染みの最もお気に入りのクリエイターの1人ジョーダンピールのラブクラフトカントリー、ウォッチメン、ピースメーカーなどもとても面白い。ただラブクラフトウォッチメンはある程度前提条件として知っていなければいけない事があるので、そこのところは今度詳しく書きたいと思います。

 

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そしてきたる将来、マーベルのようにDCコミックも映画、ドラマ連動して動くというので、こちらもおそらくU-NEXTで配信されると思われます。できれば料金体制は変わらないままやってほしいけどどうなんでしょうか?

 

DCコミックの方がマルチバース展開を先にやっていたらしいのですが、さっぱりわからなかったのでYouTubeで調べたところ、しゃべんじゃーずの皆さんがDCコミックの内容を予想していたのですが、正直、メチャクチャ楽しみになりました。

 

ぜひこちらの動画二つをチェックしてみてください。

 

https://youtu.be/1c2vG3MaTdE

 

https://youtu.be/6ZrMIew74TY

 

U-NEXTの魅力は他にもあります。国内ドラマも充実していてエルピスは特にオススメです。

 

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今現在、U-NEXTでメディア王、イエローストーン、ラヴ&デス、I may destroy youを視聴中です。

 

他にもオススメはたくさんありますが、とりあえず無料期間中に見れるドラマ中心で書いてみました。ぜひご覧ください。

 

そして明後日あたりにU-NEXTで2010年代のドラマの覇者、ゲームオブスローンズの記事をUPしたいと思います。日本映画との関わり合いについて書きましたが、ほとんど指摘されてないので楽しめると思います。見てない方もきっと楽しめると思うので宜しければぜひご一読よろしくお願いします。