今回紹介する作品は現在U-NEXTで配信されているニコラスケイジ主演の映画PIGです。
これはあまりに宣伝の仕方が間違っているし、届くべき人に届いてない気がします。こんなに素晴らしいヒューマンドラマはそうそうないのになぜ豚の争奪戦だのＢ級映画のような宣伝を打ったのか。
そもそも豚の争奪戦なんかしません。
これは2022年個人的映画ランキングならば5本の指に入る傑作だと思いますし、ニコラスケイジ主演映画としてもベストな一本です。
予告編はこちら⬇️⬇️⬇️
少なくともキリスト教を信じてる人は見るべき映画だと思います。
もしこの感想を読まれる方がいるならば、できれば一度鑑賞後に読んでいただければと思います。
ストーリーのネタバレはしないけど、本質的なところのネタバレはしますのでお気をつけください。
冒頭の森の映像がとても美しい。主人公は敬虔な仏教徒というセリフがありますが、ブッダは森の洞穴で悟りを開いたと言われてますから、その事が大きく関係しています。さらにほぼ自給自足のような暮らしぶりをしてるところから、自然の恩恵を授かっている／天国のような場所とも言えると思います。
ここから本質的なネタバレになるので注意してください。
ニコラスケイジ扮する主人公の顔と佇まいはイエスキリストに似ています。神の子と言われ、キリスト教においてとても重要な存在です。白人の多くはキリスト教を信奉している、そして白人を侮蔑する言い方がありますが、これは白人の前では決して悪口として言ってはいけませんが、それがこの映画のタイトルです。
つまりイエスキリストと共に信徒は暮らしていて、道なき森を彷徨い、かぐわしい匂いを放つ真実／真理を探しているという事だと思いました。そのような生活をしているけど、白人自ら造り上げた社会構造と欲望にてさらわれてしまい、それをイエスキリストが救いに行くという風に感じました。
人生の路頭に迷ってる子羊とともに黄色い光のように速い車／時代に乗って街に降りてゆく。ポートランドは食の街として有名です。
都市の、人間の奥深い闇の部分／アンダーグラウンドという地下の世界でなにが起きるのか。
イエスキリストが理不尽な極刑／十字架にかかる事を無抵抗に受け入れる。その結果と重なります。
他にイエスキリストが丘で話をした時にあまりに沢山の聴衆にわずがなパンをちぎって人々に与えるという話があります。
夜の闇で時代という車を停車してあるシーンがとても良かった。
そしてワインというのはイエスキリストが十字架につけられた時に流した血であるという例えがあります。これも本編では重要なシーンに絡んできます。
ニコラスケイジはじめ俳優の演技がとても素晴らしかった。特にシェフと語りあう時のシーンでのシェフの迫真の演技には本当に涙が出ました。ニコラスケイジもラストまで本当に良くて、なぜアカデミー主演男優賞にノミネートされてないのか不思議でした。
森の映像の美しさを始め、どこも捨てるシーンがなかったし、演出も素晴らしい上に音楽もとにかく良かった。ラストの映像は詩的でありながらとても美しい名シーンだと感じました。
キリスト教徒でもなんでもないけど、これはヒューマンドラマとして本当に極上の一本と言っていいと思います。90分と時間も短くとても見やすいです。
どうしてこんな宣伝をしたのか、この映画の本質とかけ離れた宣伝方法した人間と会社は、猛省すべきだと思います。
星５つに対して
個人的満足度:🌟🌟🌟🌟🌟
オススメ度:🌟🌟🌟🌟🌟
