前回の記事でノースマンという映画を紹介しましたが、今回はノースマンの主演をしたアレクサンダースカルスガルド×フローレンスピューのW主演で制作されたリトルドラマーガールというドラマを紹介したいと思います🙌
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オールドボーイ、復讐者に憐れみを、お嬢さん、JSAなど好きな作品が多いパクチャヌクが製作総指揮を務めたドラマ。
驚きました。フローレンスピューとパクチャヌクがタッグ組んだドラマがあったなんて。なぜパクチャヌクが務める事になったのかは後に書くとして、もう本当に面白かったです。
ただこのドラマには問題があります。吹き替えしかないのとWOWOWの放送時間に合わせて編集してるのが大きな減点です。
見ていて面白ければ面白いだけ、なぜこれが吹き替えしかないんだという不満も大きくなっていきました。
おそらく映画好きであるならあるだけ字幕にこだわる人が多い傾向がするし、特に実力があるフローレンスピューの演技が堪能したい人はその声も聞きたいでしょう。
全8話のドラマでイスラエルのスパイ組織／モスルがイギリスの小劇団の主演女優を誘ってパレスチナのテロ組織に潜入させるという物語。
モスルそのものもどんどん無理難題な要求を女優にしてくるし、イスラエル側も報復でパレスチナの人々を殺戮するので、やがてモスルについてるのかパレスチナ側についているのかわからなくなるという展開です。
とにかくフローレンスピューの体当たりの迫真の演技が素晴らしい。ストーリーオブマイライフ、レディマクベス、ミッドサマーなどで演技が光っていたけど、個人的にはこのドラマが1番輝いているように感じました。
ストーリーとしては何があって潜入する事になるのか、そして潜入捜査するための準備など最初の4話目まではかなりスローテンポで我慢が必要です。
いかにもBBCのクライムサスペンスって感じで、慣れてない人が脱落しても仕方ないと思いました。でも4話目の後半からは本当にずば抜けて面白いです。
怒り、哀しみが生まれる故に復讐の連鎖が続く展開はまさにパクチャヌクのお箱というか、もう目が離せない。ラストまで一気に見せてくれて満足のいく作品でした。
イギリスはEUから離脱する事になったり右傾化するところがあって、これは世界史観から見ると黄色信号になるようなものなのです。
根本的に中東問題はイギリスが絡んでいてユダヤ人が元の地域に帰りたい、再び建国したいと血で争うシオニズム運動があり、イギリスはそれを支持する反面、オスマン帝国の崩壊のためにアラブ人にも帝国から脱して建国するように促します。
いわゆる二枚舌外交によって同じ地域で独立を元にした紛争があり、今でも報復合戦として中東問題があるわけです。
世界最大の植民地支配をして中東、インドにしても未だに禍根がイスラム教徒とヒンズー教徒との間にあるのはイギリスのせいでもあるし、世界情勢に大きな傷をつけた国でもある。
だからEUから離脱すると決まった時に歴史を知っているとまたイギリスがやらかすのではないか、と思う国や人がいてもおかしくないし、BBCも右傾化して暴走するのを危惧した所はあると思います。
今一度、イギリスがどのような事をしたのか中東問題をテーマにドラマ制作したいがイギリス人が監督／制作総指揮をしたら角が立つというか、どんなに公平に描いても中東をルーツに持つ人々には不満が残る結果になる恐れがあるし、日本のNHKにあたるBBCが制作するにはなかなか難しいところがあります。
そこで白羽の矢が当たったのは中東問題とは直接関係ないアジアのパクチャヌクだったのではないか、とドラマを見ながら推察しました。
BBCサイドとしてはパクチャヌクが制作総指揮を務めることによって、彼の指示のもとでこのドラマを作ったのだいう言い分が成り立つわけです。おそらく彼の作品でJSAという映画があるけど、あの映画です彼ならいけると思ったのではないかな。
その期待に充分応えていたと思います。主人公の経験する事によっていかに問題が根深いか、わかると思うしまた推理／サスペンスものとしても、さすがだと思いました。
ドラマの背景にある裏側の事情の事も考えながら、フローレンスピューの演技とパクチャヌクの演出の素晴らしさも堪能してくれればと思います。
考えてみるとこの作品からパクチャヌク映画の質が変わったような気もしますね。
俳優の演技、脚本の素晴らしさ、中東問題をしっかり扱いながら、BBC得意のサスペンスドラマ風味を存分に味わえるし、パクチャヌクが描き続ける、復讐と嘆きを通して人間の心理をえぐり出す物語としても、そしてその先に何があるのか、パクチャヌク節が炸裂している作品になっております。
星５つに対して
個人的満足度🌟🌟🌟🌟
字幕があれば5つでした。
オススメ度🌟🌟🌟🌟
